感想・レビュー・書評

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  •  『温故知新3.11 #6 読切小説誌』
     ー『Feel Love』「コラム特集 2011.3.11
          そして、いま私が思うこと。」ー

     かつて祥伝社ムックから恋愛小説専門の読切誌として年3回刊行されていた『Feel Love』。本誌はそのVol.13で、2011年7月に発行されました。
     
     ブクログの本棚には登録していませんでしたが、久々の再読です。当時の購入目的は、上記のコラム特集を読みたいが為でした。
     地震発生時にどこにいたか、何を思ったか‥。67名の作家の方々が、一人800字程度のコラムを寄稿しています。以下の皆さんです(敬称略)。

     朝倉かすみ あさのあつこ 飛鳥井千砂 安達千夏 綾瀬まる 池田進吾 石井光太 石井ゆかり 市川拓司 伊吹有喜 大崎善生 大島真寿美 桂望実 唐沢俊一 蒲原二郎 貴志祐介 窪美澄 栗田有起 小池真理子 小手鞠るい 坂井希久子 坂崎千春 桜井亜美 佐藤和歌子 小路幸也 白石一文 杉浦昭嘉 平安寿子 高見広春 唯野未歩子 谷村志穂 辻内智貴 永嶋恵美 中島京子 中島さなえ 中島桃果子 中俣暁生 中村航 仁木英之 野中柊 延江浩 秦建日子 初野晴 林望 早見和真 原田マハ はらだみずき ピーコ 樋口毅宏 日向蓮 藤谷治 松本侑子 三浦しをん 三羽省吾 南綾子 宮木あや子 宮下奈都 村田沙耶香 椰月美智子 山口ミルコ 山中麻弓 山本幸久 結城光流 柚木麻子 柚月裕子 米田夕歌里 渡邉良重

     それぞれに、短いながら読み応えのあるコラムばかりで、その時に発した言葉は、全て虚飾を削ぎ落とした本音であり、大方の思考の行き着いた先は、「書くしかない」という決意と覚悟でした。
     また、対談「山本文緒×彩瀬まる」での山本さんの言葉も印象的です。
     「手記は瞬発力で忘れないうちに書くものですが、小説は時間をかけて出来事を発酵させて、その上澄みをとって形にするものですよね。だから、私はもっと時間が立たなければこの震災を題材に小説を書く事は難しいと思っています。」
     お二方の結論は、「辛い時に一瞬でも忘れられるフィクションは必要だ」‥全く仰る通りですね。

     おそらくは、震災直後に自分の思いを言葉にするのは難しかったはず。けれども、あの時感じた無力感は人としての当然の条件反射で、あの状況で発した言葉は無力だったのかと問われたら、今だからこそ声を大にして言えます。熱を持った数々の言葉の中に、その答えが確かにありました。
     言葉で人は救われ、本は人に希望の種を与えてくれるんですね。

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