- Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
- / ISBN・EAN: 9784403030246
作品紹介・あらすじ
ロマン派オペラの傑作。呪いをうけ、幽霊船で永遠に海をさまようオランダ人船長を救うのは、乙女ゼンタの清らかな愛の誓い。ワーグナーが謳い上げる愛のロマンティシズム。
感想・レビュー・書評
-
ノルウェー、オランダ舞台に、懐かしいわ~
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ワーグナーの楽劇「さまよえるオランダ人」のノベライズです。戯曲ではないんですが、まぁお芝居のうちということで。
ストーリーを書かないほうがいいかも…と思いますが、オペラ関連のものはなじみが薄い向きもあるので、少し書きます。裕福な商人ダーラントの家には1枚の肖像画がかけてあります。ダーラントの娘、ゼンタは会ったこともないその人物が妙に気にかかります。彼は世界の海を股にかける船乗りですが、ある時、あまりの荒天に「この世には神というものがいるのか!」と呪いの言葉を吐いたがために、永遠に海をさまよわねばならなくなりました。なかなか厳しいなぁ、神様(笑)。ある日、家にそのオランダ人が訪ねてくることになり(つかの間の上陸はできるらしいので)、彼を見たゼンタは…と続いていきます。
オペラは大がかりな舞台装置や歌手の技巧を見せるものなので、ストーリーは概して大味だったりするのですが、これはオランダ人とゼンタとのかかわりが生む、張りつめた空気が現代劇のようにリアルに描かれます。ゼンタが彼に抱く感情は恋か、狂気か?といった点は現代でもさまざまな演出がこらされています。結末は「まぁ、ワーグナーの時代だったらこうかなぁ…」と思うのですが。
このやや陰鬱ともいえる舞台と、天野喜孝さんのイラストが絶妙な取り合わせです。画像が出ないのが残念すぎ!菊地秀行さんの「吸血鬼ハンターD」シリーズの前半くらいの画風かな、と思います。怖いというよりも、近寄りがたい…でも、ひと声かけてみたいという色気と気品のあるオランダ人が描かれています。 このシリーズはどれも分量がほどよく、オペラを好きになるきっかけにはおすすめです。でも、今となってはあまり手に入らないのが残念ですので☆1つ引きました。
(2007年中にAmazonにアップしたレビューをこちらにお引越しさせ、一部書き直しました。お引越しさせるときに、正確な日付をメモし忘れました。すみません。)