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- Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
- / ISBN・EAN: 9784406028806
作品紹介・あらすじ
「文明開化」や「自由民権運動」の高揚をへて新しい時代の胎動をつかみだした近代日本の知識人たち。その思想的格闘を壮大な輪郭で描く。
感想・レビュー・書評
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『日本思想史序説』および『日本近世思想史序説』(ともに新日本出版社)の続編で、明治時代前期の思想を概観し、著者自身の立場から批評がおこなわれています。
上巻でとりあげられているのは、西周、加藤弘之、田口卯吉、福沢諭吉、中村正直らの啓蒙思想のほか、キリスト教を中心とする宗教の新しい動向と、自由民権運動および中江兆民の思想などです。
西周の美学にかんする議論にかなり立ち入って紹介をおこなったり、加藤弘之のスペンサー主義への批判を展開したりといった点に、著者の立場がある程度押し出されていますが、なによりも福沢に対する厳しい評価が目を引きます。著者は、安川寿之助の『福沢諭吉のアジア認識―日本近代史像をとらえ返す』(2000年、高文研)に依拠して、福沢がアジア蔑視の態度を示していることを指摘し、さらに福沢の思想に強靭なリベラリズムを見ようとした丸山眞男の解釈に対しても異議を述べています。
本書における著者の議論にはおおむね同意できるように感じたのですが、福沢のような多面的な思想家を考察するにしては、著者の議論はやや教条的な態度に終始しているような印象もあります。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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