- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408339573
作品紹介・あらすじ
明治以前からある街道と、明治以降にできた鉄道。お互いは意識している? それとも無関係? 複雑な両者の関係を地形から読み解く。
感想・レビュー・書評
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まちづくりと鉄道の整備における、先人の構想力と因縁、果たせなかった夢がわかった。しかも自然の地形が人間の胆力、知力を試す。新しいものを受け入れるかどうか、人は葛藤し選択し、その影響は数年後〜十数年後に明らかになる。鉄道はそれくらい地殻変動をもたらすものなのだろう。
ヨーロッパの大都市は遠距離に向かうターミナル駅がバラバラであることが多いが、東京は山手線という存在があるがゆえに便利なのだと改めて思い知る。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あーー、面白かった。
知人曰く、ブラタモリと近しい話題だね、とのことだったけれど、関東の鉄道と馴染みの深い生活を長くしていた身からすると、発見が多く楽しい一冊だった。
馬車鉄道という歴史をまず知らなかったし、線路を引くときの考慮要素(寄りたい町を通らせる、用地買収が難しそうな場所を避ける、山谷崖など地形的障害物をなるべく避ける、大きな川は直角に渡る、急カーブ急勾配を避ける)というのも良くわかってよかった。
街道と関係ありなしで作られた鉄道の変遷も面白かったし、山手線の上半分と下半分の土地的性格や、北品川の由縁、関東大震災とその鉄道への影響、東急の当時の社長の先見の明の度合いなどなど……読んでよかった。
読み物として面白い。
この辺りのネタに興味のある人にはぜひ薦めたい一冊。 -
鉄道と街道の関係を見るとマリアナ海溝並みに深い。昔の絵や写真と地図を引用しながら説明している。
1872年に開業した新橋ー横浜間の鉄道は、海上に線路を敷いた。その理由の1つは戦後、首都高速を東京オリンピック間に合わせるために川沿いに建設した理由と似ている。
当時のメインストリートだった東海道に人家密集していて鉄道用の敷地を確保しにくかった。その上、漁船の船溜まりあり、線路を敷くと漁船の係留に困る。
この時代ならでは理由があった。それは陸海軍を統括する兵部省が鉄道建設よりも軍艦を建造することを優先して反対した。
様々な事情が積み重なって海上に線路を敷くしかなかった。ここだけでも鉄道と街道の密接した関係なのが分かる。
よく、沿道沿いの人々が鉄道建設に反対してきたと言われるが、必ずしもそうではなかった。鉄道史研究のパイオニアと著者が評している青木栄一氏によると、ほとんどの場合、事実とは異なる伝説にすぎなかった。著書の「鉄道忌避伝説」で明らかにしている。
当時を想像しながら鉄道に乗ってみるのも楽しいかもしれない。 -
ここでも、吉田初三郎の鳥瞰図が。
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地形と建設目的から鉄道を見つめ直す歴史テツ的視点の一冊。
ブラタモリ風の内容。鉄道忌避伝説を完全に否定した立ち位置は実に説得力がある。
2点間を結ぶことを最優先した国鉄。街道沿いの私鉄、その後の郊外鉄道まで。明治から大正、昭和、平成へ。凸凹地図と古地図を活用した鉄道路線の由来。
壮大なテーマを分かりやすく解説している。