東京のドヤ街・山谷でホスピス始めました。―「きぼうのいえ」の無謀な試み
- 実業之日本社 (2006年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408403427
感想・レビュー・書評
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再読。
東京のドヤ街、山谷で「きぼうのいえ」を設立するに至ったまでのこと。
施設長になる前の彼は、いわゆるニートのような生活で目標も持てずにうつ病のような状態だった。
きっかけは、1985年8月12日の日本航空ジャンボジェット機の墜落。
当時の彼は、心理学研究会とボランティアサークルに入っており、やみくもに哲学書を読む日々を過ごしていた。
だがこの惨状を見て、辛い人とともに歩こうという使命感を覚える。
それからボランティアを勤しみ、ファミリーハウス運動の活動に専念する。
だが、理事長と合わずに精神的に追い詰められ、うつ病になる。
燃え尽き症候群のような状態だった。
一歩違えば、自分もホームレスになる可能性はある。
ただ家はあり、心配してくれる父もいる。
そう思い何ができるか、と考えホスピスだと。
それから山谷にある「山友会」というホームレス支援をしているボランティアに参加。
そこで妻となる美恵さんに出会い、山谷に「きぼうのいえ」を設立する。
だが、そこまでは苦難続きの連続。
とうてい無理では、と思うような費用に人材確保。
精神的にも脆くて、ストレスや疲労が重なり、うつ病もたびたび発症。
過酷な現状を突きつけられて、ちょっと読んでいても苦しくなった。
以前もこんな感情だったのかと、思いだしながら読んだ。
これを再読したのは、介護ジャーナリストがこのホスピスの山本さんを取材して本にしたからである。
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濃密な実践の記録。
ワンカップの意味が、心に残りました。
「今はこの一本だけ」という、自制のきっかけであるという。
アルコール依存では、自分でも何とかしたいという気持ちがこんなところにも出るのですね。少し切なくなりました。
いろんな生き方があって、いろんな支え方があって。
リアルな日常の記録が心に響く、一冊でした。 -
簡単には感想が書けないなぁ。
施設長の山本さんは、大変な苦労をされている。とても真似できない。
(それゆえに、自分の参考にはできない)
キリスト教あってのホスピス(と言うか、キリスト教のような宗教の支えが無いとホスピスは成り立たない)?という疑問が自分の中で再燃。
「ホームレスのためのホスピス」では無くて、「行き場をなくしたひとのための終のすみか」というのは、今いちばん求められている場所だと思う。 -
人生を感じます。ここまでできるってすごいです・・。
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三葛館一般369.9||YA
東京のドヤ街に建つホスピス施設「きぼうのいえ」。
この施設では難病を抱え、身寄りもなく、住む家もない人たちを受け入れています。
「きぼうのいえ」を建てるに至った経緯や著者である施設長の思い、実際に入居者たちを看取った経験が記されています。
家族でもない他人ために力を尽くして活動するという精神は医療従事者にとって大切ではないでしょうか。
和医大OPAC → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=48940 -
自分の人生のミッションって、結構当たり前のように自分のとなりにすわっていたりする。
気が付くのが幸せなのか、気が付かないのが幸せなのか?
生きる意味を、
自分が存在する価値を見つけることが幸せなのか。
自分の遂げたい想いには、
必ず敵がいる。
戦う覚悟がある人は違う。 -
すごい体験談だと思う。
ここで生涯を終えた人はとても幸せだっただろうな。
人が天使になろうとすると、悪魔になる。
これを肝に銘じて人のためにならなきゃな。<<2007 02 23>>