土俵の矛盾 - 大相撲 混沌の中の真実

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408453507

作品紹介・あらすじ

大相撲の問題点をひとつずつ明らかにし、明るい未来に向けて解決へ導くには…?土俵を誰よりも愛する魂の男からの提言書。

感想・レビュー・書評

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  • 大相撲のテレビ放送解説者として私は舞の海さんのファンです。他の解説者の多くが大相撲アルアルの言葉だけで表面をなぞっただけの解説、あるいは「気持ち」、「前に出る相撲」、「自分の相撲を取る」などの曖昧な、ともすれば根性論的、精神論的な話で片付けてしまう事が多い中、舞の海さんは素人の私達にもなぜ勝者が勝ったのか、なぜ敗者が負けたのかを理詰めで教えてくれる。
    そして本書の中で著者はこう書いている
    〜解説では「プロとはなにか」「どうあるべきなのか」を伝えるために、知識を学び取材をした上で発言し、「誰のための放送か」「誰に一番楽しんでもらわなくてはなならいのか」を考えて、視聴者にむけれ解説することが大事になる〜
    なるほど、だから舞の海さんの解説は面白いんだと納得。

    ところが、それだけにこの著書を読んで意外な感触を得た。
    理詰めで合理的な解説から、舞の海さんはともすれば閉鎖的、非合理的な感じのする相撲界に対して批判的な方だと思っていたからです。
    本書の中の舞の海さんの姿勢は日本の伝統としての、また神事としての相撲を大切にし将来に残すべき宝であるとしているようであり、何かと多い相撲界への批判を相撲社会を知らないゆえのものが多いとしている。

    相撲はスポーツではない。
    相撲を良く知らない人が安易に批判することはいけない。
    タイトルにもあるように、大相撲はカオスであり外の世界からは計り知れない特殊な世界であるから、今後の相撲界の改革も本来ならば協会内部で行うべき、というような事まで書いている。
    八百長問題にしても「犯罪ではない」と言い切る。
    むしろ週刊誌報道とまともに組んでそれを訴えたのはやり方がよくないとも。
    大麻所持事件の当事者であったロシア人力士に対しても協会の処分に疑問を呈している。
    さらに外国人力士の人数制限にも伝統としての相撲会を守るためには必要な対策と考えているようだった。

    これらは生かじりな相撲ファンの私にはかなり衝撃の内容だった。
    閉鎖的な協会はもっと開かれて外部組織からの監査も必要と思い、何か事があった時の協会や親方衆の対応をテレビ画面から判断して「もっとキッチリとしろ」と憤り、とにかく批判的であった私は舞の海さんの言う「相撲界を知らない者」だったかもしれません。

    ひとつ面白い思ったのは、ここ数年舞の海さんは横綱白鵬に対して批判的な言葉が多いと思っているのですが本書では白鵬に対して相撲に対する姿勢の謙虚さ、真面目さを絶賛している事です。
    そして本書の出版年が2011年であり、その頃の白鵬関は前年に引退したヒール役の朝青龍の反対側にいる心正しい、品行方正な横綱であったと記憶しています。

  • もう少しじっくり読み込まないと、なんかピンと来ないな。大相撲の曖昧さが大相撲たる理由だ、というこの本の肝が。

    • moboyokohamaさん
      私も舞の海さんはの文章の書き方に多少違和感を感じて、意味が汲み取りにくいところが多いと思いました。
      けれど大相撲の曖昧さが大相撲のそのもので...
      私も舞の海さんはの文章の書き方に多少違和感を感じて、意味が汲み取りにくいところが多いと思いました。
      けれど大相撲の曖昧さが大相撲のそのものであるとか、相撲界の混沌さを丸ごと認めた上で考えなければいけないのではないかという感じはつかめた気がします。
      2019/06/10
  • 携帯八百長メールはあまりにも次元が低く杜撰でナメすぎで論外でいい加減にしろと怒り叩かれてもしょうがないですが、舞の海氏の言う通り人情相撲の存在まで否定するのは問題だと私も思います。

    しかし「どこまで許すか」は、その人その人の相撲観によって異なると思います。私個人の感覚を書きますと、例えばかつて藤島部屋VS二子山部屋の実質同門対決はアウトで、ハワイ出身力士の先輩後輩対決はセーフ(「まぁ仕方ないよね」という感じ)でした。あと万年角番大関はアウトです。かつての舞の海VS曙はセーフです。当時子供だったのでエキサイトしました。

  • 筆者が本音で書いたと思われる相撲観です。自分としては、かなり納得できる部分が多いのですが…一般受けはしないんだろうなぁ。

  • つい新聞の広告→アマゾンで買ってしまったが・・・。立ち読みで十分な内容。小兵がどういう精神で闘うか、みたいなことが書いてあるのかと思ったけど、協会や八百長が云々という内容。力士の給料とか今まで知らなかったことも載っていたけど。

  • 内側から見た、都合のいい擁護論。としか見えなかった。
    確かに、大相撲をスポーツと見るのは間違っている。神事、OK。伝統文化、OK。
    それと、いろんな不祥事、八百長も含めてだけど、何でそれが許容されるのか。許容とは言ってないか。
    世の中が、なぜそれくらい怒ったのか、もうちょっと謙虚に受け止めてもらっていいんじゃないの。
    プロレスと同じ?
    同じところはあると思うけども、興行だから。
    都合のいいところで都合のいい理屈で、あまり一貫性を感じない。

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著者プロフィール

1968年2月17日生まれ、青森県鯵ヶ沢町出身。身長170cm、体重85kg。日本大学相撲部で活躍。山形県の高校教師に内定していたが、夢であった大相撲への道をかなえるため周囲の反対を押し切り大相撲入りを決意。しかし基準の身長に足りず1度目の新弟子検査に不合格。頭にシリコンを入れ壮絶な1ヶ月を過ごし、2度目の検査で合格。大相撲の生涯通算成績:385勝418敗27休。幕内通算成績241勝287敗12休。左四つ、下手投げが得意技で、最高位は小結。三賞は技能賞5回受賞。

「2016年 『舞の海秀平と学ぶ 知れば知るほど大相撲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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