吉宗の星

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 68
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537825

作品紹介・あらすじ

紀州藩主の三男坊として生まれた吉宗が将軍へと成り上がっていく裏には母とある男の存在が…。気鋭が描く全く新しい吉宗小説誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 切ない。

    彼が欲しかったものは手に入らず、望んだものも得られない。

    権力者とはなんと孤独なんだろう(T ^ T)

    読みながら、胸が苦しく痛い作品でした。

    うう、伊織!

  • 「徳川将軍といえば?」と問われると、吉宗と答えます。だからこの小説を読む事は必然的で、どんな吉宗が描かれているのか楽しみでした。
    帯に書かれていた「瞬く星となり、見守っております」「天下をおとりくださいませ、殿」という文言が凄く気になり、興味をいっそう惹き付けられました。そして読んでみると、そこには、とても孤独な吉宗がいました。

    ***ネタバレ***
    その私が気になり惹き付けられた言葉は、伊織の最期の言葉だった。
    「天下をおとりくださいませ、殿・・・・・。この星野伊織、天に瞬く星となり、見守って、おります」
    ここで出てきたのかと、涙が出てきた。
    悲しくて美しい言葉だった。伊織の生涯の想いが込められた言葉だった。しばらくこの一文が、私の中でこだましていた。
    そして、作品の最後に、吉宗が伊織にむけて発した言葉もぐっときました。
    「天下第一の座には何もなかった。されどー、お前と分かち合いたい景色はあったぞ、伊織」
    将軍の座には何もなかったというこの言葉に、吉宗のすべての思いが込められている気がし、少し切なかった。でも、伊織と分かち合いたい景色はあったのだと、少し晴れた気がした。
    将軍となり政を治める吉宗の側に伊織がいたら、この言葉は違う言葉になっていただろうか?その座には何かあっただろうか?何か違って見えただろうか?
    そんなことを思いながら、読後、しばらく余韻に浸っていむした。

  • 暴れん坊、で有名な江戸幕府第8代将軍徳川吉宗が、ドロドロの権謀術数を繰り広げて将軍の座に上り詰め、清濁併せ持った将軍としてうにうにする物語。けっこう爽やかな感じで始まったのが、途中から忍びや隠密躍動の想像力豊かなフィクション要素が増していき軽く戸惑うものの、案外江戸城とはこういうとこだったのかもとも思わされたりして。ちょっと吉宗のキャラクターが掴みきれなかったのが残念といえば残念。

  • 歴代徳川将軍の中でも一番好きなのが吉宗かもしれない。なんとなく知っていたことも事細かくわかり納得しながら読んでしまいました。ラストの将軍継嗣の場面では迫力あるシーンでした。もし伊織が生きていたらと思ってしまいました。吉宗について読むならこの一冊と確信しました。波乱万丈の生涯をぜひあなたもお読みください。

  • 入院生活21冊目。
    ようやく退院の目処がついたので、これが最後かな。

     吉宗といえば享保の改革、暴れん坊将軍のイメージだった。
     幼少期からの不遇、そこから這い上がろうとする気概と才覚。意固地と思えるほど強い信念を持って政を行った。その結果、自分では意図せず民衆からの支持を集めていた。
     世の中から名君と讃えられても、その内面は民には知る由もない。良い政をしようと高い志を持つ者が良いリーダーになれるとも限らない。良いリーダーとは、良い政とは、良い世の中とはなんなのだろう。そのようなことを考えた。

  • 組織の中でトップに立つことは、孤独になることだと思っている。周りは何かと言ってくれる(言ってくる)かもしれないけれど、最後に断を下すのは自分。責任と自分の、サシの勝負。

  • ストーリーテリングはとても巧妙なんだけれども、ちょっと吉宗が長生きしすぎてるせいで冗長になってしまってる。作者ではなく吉宗のせいだわね。

  • 谷津矢車、この才能あふれる作家は、吉宗という、あまりに有名な将軍の一生を、虚実の壁をひらりと行ったり来たりしながら素晴らしい物語に書き上げた。

    友情の縦糸に、母親への思慕、天下取りという野心、そして為政者としての苦悩。
    思いテーマながら、今までにない吉宗像が描かれている。

  • テレビドラマの大岡越前を見たから、徳川吉宗に親しみを感じる。将軍とは何かを考える良本。

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著者プロフィール

1986年東京都生まれ。2012年『蒲生の記』で第18回歴史群像大賞優秀賞を受賞。2013年『洛中洛外画狂伝』でデビュー。2018年『おもちゃ絵芳藤』で第7回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。演劇の原案提供も手がけている。他の著書に『吉宗の星』『ええじゃないか』などがある。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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