死体の汁を啜れ

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 378
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537917

作品紹介・あらすじ

豚の顔をした人間が死んでいる――

こんな死体、あり!?

ならず者たちが、異常すぎる死体の謎を追う


若き鬼才が描く、本格ミステリの新世界!



この街では、なぜか人がよく殺される。

小さな港町、牟黒市。殺人事件の発生率は、

南アフリカのケープタウンと同じくらい。

豚の頭をかぶった死体。頭と手足を切断された死体。

胃袋が破裂した死体。死体の腹の中の死体……。

事件の謎を追うのは、推理作家、悪徳刑事、女子高生、

そして深夜ラジオ好きのやくざ。

前代未聞の死体から始まる、新時代の本格ミステリ!



【目次】

前日譚

豚の顔をした死体

何もない死体

血を抜かれた死体

膨れた死体と萎んだ死体

折り畳まれた死体

屋上で溺れた死体

死体の中の死体

生きている死体

後日譚

感想・レビュー・書評

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  • 読書備忘録771号。
    ★★★★。

    「名探偵のいけにえ」で初読みして気になった作者の作品を試し読み。期待は裏切らなかったです!
    作品タイトルが良いですよね。ワクワクします。笑

    ミステリー作家の青森山太郎。
    東北地方の町、牟黒市と兎晴書房が共同で主催する牟黒市丸木戸史郎賞、新人賞を取った。
    同じ町の同じくミステリー作家袋小路宇立に騙されて借金させられ、挙句の果てにガラの悪い連中に金属バットで頭を殴られ、字が読めなくなるという後遺症を負った。
    字が読めなくては作家は続けられない。山太郎は自殺することにした・・・。

    人口7万5千人の牟黒市の殺人事件発生率は南アフリカのケープタウンと同程度という治安の悪さ。1週間に1件殺人事件が起きている。笑
    そして、やくざが2組。白洲組と赤麻組の存在が治安の悪さに拍車を掛ける。

    主要な登場人物。
    1発目の殺人事件でひょんなことから、自殺に向かう山太郎を救うことになった白洲組の若い衆、秋葉駿河。
    山太郎の執筆をサポートすることになった白洲組お抱えの女子高生占い師、神月歩波。
    牟黒警察で、殺人事件を闇に葬るためだけに活動している悪徳刑事、互目魚々子。
    彼らが中心となって、牟黒市で起きた殺人事件の謎を解く!

    殺人の設定はとんでもなくグロい。笑
    ただ、登場人物の名前がふざけているのと、山太郎の作品名がふざけているので、グロさを感じさせない。
    それがこの作者の特徴でしょうか。
    そして殺人のトリックはしっかり本格ミステリーです。

    さて、死体のタイトル一覧を。笑
    「豚の顔をした死体」
    「何もない死体」
    「血を抜かれた死体」
    「膨れた死体と萎んだ死体」
    「折り畳まれた死体」
    「屋上で溺れた死体」
    「死体の中の死体」
    「生きている死体」
    繰り返しますがグロそうでグロくない。笑

    そして、山太郎の作品群。
    受賞作「二階から目潰し」。
    「馬の耳に可燃物」「窮鼠寝転がる」「罪を煮込んで人を煮込まず」「寝耳に死す」「憎い坊主は袈裟まで燃やせ」。ウケるしかないです。笑

    そして、忘れてはならないウケネタは、短編の冒頭に出てくる牟黒日報の事件記事。
    必ず、事件に対して袋小路宇立のコメントが載る。そのコメントがどれもこれもめちゃくちゃウケるピント外れなコメント。

    文学としては。笑
    でもでも、大いに楽しめました。

  • 何故か殺人発生件数が多い東北の小都市牟黒市で次々転がる奇妙な死体の謎を解く連作短編集。頭の皮を剥がされて豚の頭を被ったり、胃が破れる程食べたのが死亡原因だったり、母親の腹の中に中学生の子が入ったダブル死体だったりとバリエーション豊富な死体が登場するが、現実での再現性はともかく論理的に解明される展開は相変わらず綺麗。「豚の頭をした死体」「何もない死体」「死体の中の死体」あたりが良かった。深夜ラジオ好きヤクザに女子高生占い師、悪徳女刑事に真相をすぐ見抜く推理小説家と登場人物が比較的普通で掛け合いがコミカルだし白井さんなのにグロ要素少なめ(麻痺しているかも)だからお勧めしやすい。しかし最後の後日談、いい話に見せて…はやはり白井さんだ。

  • グログロ短編パズラー。ヤクザと警察官がズブズブで殺人事件が大量発生する治安の悪い港町での事件簿。犯人も談合で決まったりする。
    首切りや死体損壊が苦手でなければ、意外性があってトリッキーで笑える短編集。大女の腹から10歳の少年が出てくるとか、どういう発想力なんだろか。やはり唯一無二の作家だと思う。

  • 悲惨さはいつも通り。
    謎解きは正統派

  • 2021.10.27読了。
    緻密に張り巡らされた伏線と、黒いユーモアのセンスは相変わらず。
    本格ミステリとしては正統派ですし、読めば読むほどクセになる作家ですね。
    白井さんの作品の中ではかなり読みやすく、初めて読む方にもお薦めです。

  • 南アフリカ・ケープタウン並みに殺人が多い牟黒市で起こる殺人事件を一癖あるメンバーが解決していく連作短編集。猟奇的な死体のオンパレードだけれどもコミカルな感じでサクッと読める軽めの作品。力技というかバカミス味を感じる謎解きもあるがが、作者お得意の端正なロジックでなぜか納得させられてしまう。

  • いちいち気持ち悪いけどその気持ち悪さが事件に関係してる。

  • 新刊コーナーから、薦めてもらった。

    よく読むとグロくていやだけれど、登場人物がみんな「ユニークなイカれ方」をしているので、気楽に笑いながら読めた。
    「謎解きすげぇだろ」小説はちょっと苦手なのだけど、それもユニークさが読み進めさせてくれた。

    最後の描写はちょっと引いたけど。

  • 牟黒市。それは殺人が多い市。猟奇殺人がじゃんじゃん起こる。論理的に解決されるなら、なんでもいいのか?感。いいんだろうな。
    騙された小説家、夜ラジオ好きなヤクザ、ヤクザとずぶずぶな刑事。金儲けしたい女子高生。
    読んでいくと、みんな愛らしい登場人物なのだが、最後に壊される。
    ただただ一生懸命生きていた。毎年一冊読みたいわ。

  • 牟黒市で次々と発見される異様な死体の数々…相変わらずくせが強いので読む人を選びそうだが、どの短編も楽しく読めた。
    事件を追う推理作家と刑事と高校生とヤクザのキャラクターがいいので、終盤になるにつれ物語に引きこまれる。本格ミステリとしての満足度も高くて、特に『折り畳まれた死体』が印象に残った。

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著者プロフィール

1990年、千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。『人間の顔は食べづらい』が第34回横溝正史ミステリ大賞の最終候補作となり、同作で2014年にデビュー。『東京結合人間』が第69回日本推理作家協会賞候補、『おやすみ人面瘡』が第17回本格ミステリ大賞候補となる。『名探偵のはらわた』は「2021本格ミステリ・ベスト10」で第3位。他の著作に『少女を殺す100の方法』『お前の彼女は二階で茹で死に』『そして誰も死ななかった』『ミステリー・オーバードーズ』『死体の汁を啜れ』がある。衝撃的な作品で読者の度肝を抜く、気鋭の本格ミステリ作家。

「2022年 『お前の彼女は二階で茹で死に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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