カレーの時間

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408538068

作品紹介・あらすじ

僕の祖父には、秘密があった。

終戦後と現在、ふたつの時代を「カレー」がつなぐ
絶品“からうま”長編小説

ゴミ屋敷のような家で祖父・義景と暮らすことになった孫息子・桐矢。カレーを囲む時間だけは打ち解ける祖父が、半世紀の間、抱えてきた秘密とは――ラスト、心の底から感動が広がる傑作の誕生です。


【感動の声、続々!】

「ひとの持つどうしようもなさ、そこから生まれる愛おしさ。味わい深く余韻ある作品」――町田そのこさん

「あの時代を生きてきた祖父と、この時代を生きているぼく。どうしようもない噛み合わなさと、どう向き合うか。いま必要なテーマをじっくり煮込んだこれぞテラチ風味の極うま長篇」――瀧井朝世さん

カバー撮影/山本まりこ

感想・レビュー・書評

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  • あなたは『カレー』が好きですか?

    ラーメンと『カレー』、この二つの料理は私たち日本人にはもはやなくてはならない存在と言っても良いと思います。いずれも元は外国の食べ物、それを長い歴史の中で日本人が日本人の口に合うように作り変えてきた、そんな先に、今の私たちにとって欠くことのできない大切な料理の姿があるのだと思います。

    そんな両者のいずれに、より魅力を感じるか、これこそ人それぞれとも言えます。しかし、匂いだけで勝負すれば『カレー』の圧勝だと思います。誰かが注文すると、その匂いにやられて、自分も『カレー』にすれば良かった…と後悔もすることになる『カレー』。匂いだけで強烈な存在感を主張する『カレー』にはやはり強力な引力を感じもします。

    さてここに、そんな『カレー』が二つの時代を繋ぐ物語があります。終戦まもない混乱の中に空腹を感じながら生きた主人公。女性ばかりの家族の中に育ち、コロナ禍の今の世を生きる主人公。この作品は、そんな二人が一つ屋根の下に暮らす様を見る物語。『カレー』の美味しそうな匂いが本から漂ってきそうな物語。そしてそれは、寺地はるなさんが描く『カレー』が人々の心を繋いでいく物語です。
    
    『戦争は終わった。日本は負けた』と『多くの大人が言う』のを聞くのは主人公の一人・小山田義景(おやまだ よしかげ)。『今の日本でなにが起こっているか』は『おれにはどうでも』よく、『今日は食いものにありつけるか、明日はどうか、それだけが大事だ』と思う義景は『橋の下』の『掘っ立て小屋の中で』『ぼろきれにくるま』る男を見ます。そんな時、『なんだ、おまえ』と『だしぬけに男が声を発した』ことに腰を抜かす義景。男は義景の『腕を摑』むと『腹が減ってるんだろ?』、『食えよ、ほら』と飯盒から盛った飯を差し出します。『六歳の時、母親が死んだ。自殺だった』という先に、遺された父親は『育てられない』と『知り合いの家、遠縁の家』と義景を『たらいまわし』にしました。そして、『今いるのは五番目の家』という義景に、男は『こんどはお前が腹を空かした子どもに飯を食わせてやれよ』と言うのでした。
    場面は変わり、『母たち三人姉妹』と子どもの七人がマンションに集まったという中に『二十五歳の誕生日』を祝われるのはもう一人の主人公・佐野桐矢(さの きりや)。インターホンが鳴り、『桐矢!出てこい!』という声に『うわ、義景やん。小山田義景来てるやん』と妹の あずきが言うのを『おじいちゃんを名前で呼ぶのやめなさい』と注意する母親。祖父が来たことを知った面々は『なんでおじいちゃんも呼んだん?』、『え、呼んでない』、『でも来てるやん』と揉める中に、桐矢は脈が早くなるのに気づきます。『この数年、ぼくは祖父を避けてきた…もとから苦手なタイプだからだ』と思う桐矢は誕生日に『これほど迷惑なサプライズはない』と思います。部屋に入ってきた祖父は『お前、これ好きやろ!』と『レトルトカレー』を桐矢に差し出します。十箱ほどの『ピースカレーゴールデン甘口』は、『祖父が定年まで勤めあげた「ピース食品」』の看板商品です。そして座った祖父に『救急車呼んだんやて?』と母たちは問いかけます。『祖父にひとり暮らしを続けさせてよいのか』と揉めてきた母親たち。『お前らの世話にはならん』と声を荒げる祖父は、一方で『桐矢とやったら一緒に住んでもええと思ってんねん』と言います。そして祖父が帰った後、『お父さんが桐矢と一緒に暮らしたいって言い出した時、チャンスやと思ってん。いや将来あんたに介護を押しつけるって話ではなくて』と言う母親は『わたしらを助けると思って』と義景に両手を合わせます。『助けるっていうか、生贄やろ』と目を逸らす桐矢は『レトルトカレー』の箱を見ます。『甘口、甘口、ぜんぶ甘口。もしかしたら祖父はまだ、ぼくのことをおさない子どもだと思っているのかもしれない』と思う桐矢。
    場面は再度変わり、大阪へと向かう電車の中で偶然に出会った一人の女性と話をする義景は、『大阪の紡績工場で働いて、もう十年以上になる』という女の話を聞いて、『おれも大阪で働くんです。ピース食品という会社です』と行き先を話します。そんな女に『あんたの人生、これからはじまるんやで』と言われ『これから、はじまる』という言葉を思う義景。八十三歳になる祖父の義景と二人暮らしを始めることになった桐矢の物語と、義景の若かりし日々を描く物語を『カレー』が鮮やかに結びつけていく物語が始まりました。

    “ゴミ屋敷のような家で祖父・義景と暮らすことになった孫息子・桐矢。カレーを囲む時間だけは打ち解ける祖父が、半世紀の間、抱えてきた秘密とは ー ラスト、心の底から感動が広がる傑作の誕生です”と内容紹介に意味深に記されるこの作品。ドライカレーの上に目玉焼きが乗った表紙が食欲を強く刺激します。インド、タイ、と『カレー』が有名な国は他にもありますが、私たち日本人にとっても『カレー』はなくてはならない料理です。そんな『カレー』という料理を小説のテーマに持って来られた寺地はるなさん。あまり、食を描写する作家さんという印象はありませんでしたが、この作品は『カレー』を書名に標榜するくらいですから、その魅力が鮮やかに描写されていきます。そして、五つの章から構成されているこの作品は、その章題が全て『カレー』を表してもいます。そうです。章題が示している通り、それぞれの章の中には章題で示された『カレー』が美味しそうに描かれていくのです。これはたまりません。まずはそんな章題をご紹介しておきましょう。

    ・〈第一章 ピースカレーゴールデン(甘口)〉

    ・〈第二章 夏野菜の素揚げカレー〉

    ・〈第三章 ドライカレー 目玉焼き乗せ〉
    ※ 表紙の写真がこれ

    ・〈第四章 キーマカレーのサンドイッチ〉

    ・〈終 章 ピースカレーゴールデン(中辛)〉

    では、そんな五つの『カレー』の中から調理の場面と食する場面を見てみたいと思います。〈第一章〉で、桐矢が義景の家に大量に保管されていた『ピースカレーゴールデン チキン(中辛)』を食べるという場面です。

    ・『写真のカレーはおいしそうだけど具が見当たらないし、これだけをもそもそと食べるのもちょっとさびしい』と思う桐矢
    → 『葉月さんにもらったオクラとナスとピーマンをざくざく切って、フライパンに油を注ぐ。温まった油に野菜を落とすと、じゅっという音とともに細かな泡がいくつも生まれた』
    → 『もう一方のコンロでカレーを温め、電子レンジでごはんを加熱する。カレーを器によそって、素揚げにした野菜をもりつける』

    ↓ 食す場面

    → 『うっすらと金色の油の衣をまとったナスが光っている。歯を立てると、ぷちんと皮がはじけて、舌の上でやわらかく潰れた。ほのかに甘みが広がる。ピーマンはほんのりと苦い。オクラの種の食感も楽しい』

    『ふたりとも無言で食べた』というこの場面で桐矢は思わず言葉を発します。

    『レトルトカレーって、おいしいな』

    『野菜や鶏肉のうまみと多彩なスパイスの香りを、鼻の奥と舌で同時に受け止めた』という桐矢は、『母がつくるカレーよりもずっと深い、複雑な味がする』とも思います。そんな桐矢に

    『おれたちのカレーなんやから』、『おれたちのカレーがまずいわけないやろ』

    と語る祖父。祖父・義景の『カレー』への深い思いを感じるこのひと言。そして、幼い頃からそんな『カレー』の味を祖父から伝えられてきた桐矢。『レトルトカレー』というものに対する思いは人それぞれだとは思いますが、祖父と孫の微笑ましい関わり合いの先に、寺地さんの一工夫を入れたちょっと贅沢な『レトルトカレー』が登場するこの場面。”食”を描く寺地さんの魅力が開花した作品でもあると思いました。

    そんなこの作品は、”終戦後と現在、ふたつの時代を「カレー」がつなぐ絶品’からうま’長編小説”ともうたわれています。この作品の主人公は小山田義景と佐野桐矢です。祖父と孫という二人ですが、寺地さんはそこに一工夫を入れられ、祖父の若かりし日々を作品に取り入れ、二つの時代を交互に登場させながら展開していくという構成をとっています。読者が混乱しないように、桐矢が主人公となる現代の物語では、白抜きのスプーンが、義景が主人公となる終戦後の物語では、黒のスプーンがその切り替わりに描かれています。二つの時代は当然に対照的な描写を見せます。次にこの表現を見ておきましょう。まずは、終戦後です。

    ・『戦争は終わった。日本は負けた。多くの大人が言う。おととしの八月の十五日、校庭に集められて玉音放送というものを聞かされた』

    ・『田中角栄と周恩来が笑顔で手を握り合う写真を眺める。日中国交正常化。なんだかすごいことだということは理解できる』

    ・『東京の銀座にマクドナルドができたのは去年のことだ。日本初だという』

    終戦直後から時間がどんどん経って現代へと近づいていく描写がなされていく義景が主人公の物語。こういった時代表現が描かれていく物語はとても好きです。その時代その時代に数多取り上げることができるものがある中で、何を取り上げるかに作家さんの個性が垣間見えもします。一方で、現代はどのような描写がなされているでしょうか?

    ・『近頃はどんな店にも入り口に消毒用のアルコールが置かれているし、おつりなんかも手渡しされなくなった。昔はなにをしても「神経質すぎ」と笑われていたけど、今では誰もそんなこと言わなくなった』

    ・『ぼくとしては、なによりもまず祖父のマスクが下にずらされすぎて鼻が露出していることのほうが気になる。そんなマスクのつけかた、パンツから性器が露出しているぐらい無意味だと思うのだが』

    ・『たしかについ最近まで、マスクはどこにも売っていなかった。売ってない、出回ってない、というわりに行き交う人びとがみんなマスクをしているのはなぜなのだろうとふしぎだった』

    はい、マスク、マスク、マスク…と辟易する他ないコロナ禍真っ只中の描写です。この作品は2022年6月の刊行ですので、これはやむを得ないことかもしれませんが、リアルな今を描いているとも言えます。一点、寺地さんの描写で興味深いと思ったのが上記した『昔はなにをしても「神経質すぎ」と笑われていたけど、今では誰もそんなこと言わなくなった』という表現でしょうか。確かにこれは言えると思います。コロナ禍で私たちの生活はさまざまに影響を受けましたが、『神経質』という言葉を安易に使えなくなったようにも思います。この辺り含め、私たちの日常はコロナ禍以前と全く同じように戻ることはもうないのでしょうか?…そんなことも考えてしまいました。

    そんなこの作品は、上記した通り”終戦後と現在、ふたつの時代”を義景と桐矢という二人に順に視点を切り替えながら展開していきます。こういった構成の作品は他にもあると思いますが、私の読書経験からは男性と男性という組み合わせ、しかもそれが祖父と孫という組み合わせの物語は記憶にありません。そして、そんな二人を繋いでいくのは、終戦後を生きた義景が就職した『カレーのルーやレトルトカレーのメーカー』である『ピース食品』の『カレー』です。そんな会社で営業を担当する義景は一つの壁にぶつかります。

    『会社が満を持して発売を開始したレトルトカレーについては、どうにも売れ行きが芳しくない』

    今の世では『いちいち料理をする必要もないなんて、もう完全なるカレーの革命だ』という語りが全くその通りと思えるくらいに当たり前の存在であるのに対して『レトルトカレー』という発想が一般的でない当時の人々にとっては、人々の意識も向かず販売に苦労する義景の姿が描かれます。そんな義景を支え続けるのが、幼き日々に食べ物を分け与えてくれた男が語った一言でした。

    『お前が大人になった時に、どこかで腹を空かした子どもに会ったら、飯を食わせてやれ。そいつを腹いっぱいにしてやれ。約束だ』。

    そんな言葉を支えに、またヒントにして働き続ける義景の物語は、終戦後の時代を生きた男の姿を強く感じさせます。その一方で、コロナ禍を生きる桐矢の物語はいかにも現代感に満ち溢れるものです。女性に囲まれた中に大人への階段を上がっていく桐矢は登場時点で二十五歳の今を生きています。しかし、その年齢が示されないと桐矢が二十五歳の大人であると気づく人はいないかもしれません。なんとも頼りない存在である桐矢。そんな桐矢は『わたしらを助けると思って』と母親たちに懇願される先に祖父である義景と二人暮らしをスタートさせます。『この数年、ぼくは祖父を避けてきた…もとから苦手なタイプだからだ』という一方で、幼い頃から祖父とは切っても切れない『ピースカレーゴールデン甘口』とともに育ってきた桐矢。物語は、寺地さんには珍しく?どこかはっちゃけたストーリー展開を基本に、ちょっぴり切なく、ちょっぴりほろ苦い物語が展開していきます。そんな二人の会話の中に義景の思いを見る一言が桐矢の心に刻まれます。

    『おれたちは橋や…橋がないとみんなが困るんやから』

    言われた時にすぐにその意味を理解できなかった桐矢、そんな桐矢が『橋』という言葉の意味を理解する結末。まさしく大団円と言って良いその結末に、良い話を読んだ感いっぱいに包まれる、そんな物語がここには描かれていました。

    『ぼくはおじいちゃんが、苦手なんです。昔から』

    そんな思いを抱く二十五歳の桐矢が、『カレーのルーやレトルトカレーのメーカー』である『ピース食品』に一生を捧げた祖父・義景と一つ屋根の下で暮らす姿が描かれたこの作品。そこには、”終戦後と現在、ふたつの時代”が並行して描かれるからこそ見えてくる奥深い物語の姿がありました。美味しそうなカレーの描写に食欲が強く刺激されるこの作品。祖父と孫という二人の関係性を微笑ましく描いていく寺地さんの上手さに魅了されるこの作品。

    『カレー』という料理が二つの時代を紡ぐ物語の中に、人のあたたかい感情を見る素晴らしい作品でした。

    • アールグレイさん
      さてさてさん(^_^)/お久しぶり

      いつもいいねをありがとうございます!
      私は、カレーよりラーメンのほうが好きです。残念ながら、ここ数年ラ...
      さてさてさん(^_^)/お久しぶり

      いつもいいねをありがとうございます!
      私は、カレーよりラーメンのほうが好きです。残念ながら、ここ数年ラーメン店へは行っていません。
      カレーって最近ではレトルトカレーのほうが売れ行きがいいとTVで言っていました。
      味いいし、便利ですから。家でも常備しています。私が作れない時の為にもあるといいんです。
      2023/08/19
    • さてさてさん
      アールグレイさん、
      こちらこそお久しぶりです。お元気でいらっしゃいますでしょうか?
      こちらこそいつもありがとうございます。
      なるほどラ...
      アールグレイさん、
      こちらこそお久しぶりです。お元気でいらっしゃいますでしょうか?
      こちらこそいつもありがとうございます。
      なるほどラーメンの方が好きでいらっしゃる…。レビューの対象がカレーだったのでカレー優勢に書いてしまいましたが、私もラーメンの方が好きかもしれません(ナイショ(笑))
      ただ、レトルトカレーの便利さは間違いないですね。ささっと食べれてしまう、それでいて十分に美味しい!そんなレトルトカレーへの愛をこの作品には感じました。う〜ん、なんだか無性にカレーが食べたくなってきました!
      2023/08/19
  • ◇◆━━━━━━━━━━━━
    1.感想 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    「なぜ、人は広げようとするのか」という投げかけからはじまりまり、主人公の桐矢の考えに共感を感じながら、物語にスッと入ることができました。そして、現実的な物語に、深く入り込むことができました。私は、とても好きな作品でした。

    この物語はおじいちゃんと孫という組み合わせ。
    おじいちゃんと孫娘の組み合わせに弱い私ですが、孫が女の子だとしても、このおじいちゃんはどうなんだ?という人物でした。
    しかし、、、物語を読み進めると、おじいちゃんの見えていなかった面が見えてきて、かっこいい一面が見えてきます。

    やっぱり、見えない部分にどれだけのものがあるのか、、というのを考えてしまい、そういうかっこいい一面を持っている人に憧れます。

    小説の世界のお話ですが、じいちゃんは、幸せだったのかな〜と、考えちゃいました。
    じいちゃんが幸せだったかは分かりませんでしたが、じいちゃんは、幸せをたくさん与えるという志をもち、それをかなえることができたなと、感じることができました。

    なにか、そんな一面を持っていたいなと、自分の人生を見つめる瞬間にも、つながる作品でした。


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    2.あらすじ 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    食料不足に苦しむ時代を生きた祖父と、その孫、その娘たちのお話。
    大きく異なる時代のお話が交互に展開されていきます。
    もう、嫌われて当たり前な感じの祖父義景と、現代っ子の桐矢の世界の乖離の大きさが、時代の急激な変化を感じさせます。
    涙溢れるというより、しみじみと味わう作品です。
     

    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    3.主な登場人物 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    佐野桐矢

    ■小山田関連
    小山田義景 よしかげ、三姉妹父
    桐乃 母、離婚

    尾木
    桜井正人
    桜井幸四郎

    ■三姉妹と娘
    誠子 長女、まさこ
     ミクル 娘
    美馬子 次女、みやこ
     七海
    俊子 三女、桐矢母
     あずき、桐矢姉

    ■株主会社カルチャー・アンド・クリエーション
    新谷 30代、男性
    谷口さん
    北野丸幸子 70代ぐらい、生徒、旧姓田村

    ■近所
    生田葉月 バツイチ、小山田家の裏に住む
      弦 葉月息子

    • Manideさん
      今調べたら、扱ってない店もあるみたいです。

      うちの近所の店は取り扱いありでした(^^)♪
      今調べたら、扱ってない店もあるみたいです。

      うちの近所の店は取り扱いありでした(^^)♪
      2023/11/08
    • かなさん
      Manideさん、おはようございます♪
      試験モードのアイコンから冬モードですね(*^^*)
      お疲れさまでした!!
      私このおじいいちゃん...
      Manideさん、おはようございます♪
      試験モードのアイコンから冬モードですね(*^^*)
      お疲れさまでした!!
      私このおじいいちゃんみたいな人、
      結構好きです♪
      2023/11/09
    • Manideさん
      かなさん、こんにちは。

      ありがとうございます(^^)
      アイコン変更楽しんでます。

      このおじいちゃんが好きだなんて、さすがですね〜
      かなさ...
      かなさん、こんにちは。

      ありがとうございます(^^)
      アイコン変更楽しんでます。

      このおじいちゃんが好きだなんて、さすがですね〜
      かなさんは、心が広そうです。

      じいちゃんは、心が良くても態度が悪いですよね〜
      (笑)
      2023/11/09
  • 佐野桐矢25歳の家族の物語。
    桐矢には母の俊子と5歳年上の姉のあずき、母の一番上の姉で離婚した誠子とその娘ミクル。母のすぐ上の姉で未婚で娘の七海を産んだ美海子。そして祖父の小山田義景83歳がいます。
    桐矢の父は日本各地に単身赴任中です。

    祖母の桐乃は子どもたちがまだ幼い頃に祖父に女性がいた為に離婚したと聞かされています。
    祖父は昭和の男で、自己中な性格で「なんでこの家は女ばかり生まれてくるんや」と女系家族をことあるごとになじります。

    ミクルに言わせると「あの人は女が嫌いなんよ。嫌いっていうかバカにしてる。みっともないっていわれた」ということになります。

    そんな時一人暮らしの祖父に、桐矢は「桐矢とだったら一緒に住んでもええ」と言われて悩みます。
    桐矢も祖父と二人きりは嫌なのです。
    でも、祖父と暮らすうちにだんだん祖父のことが少しづつわかってきます。

    義景は、若い頃ピース食品というレトルトカレーを作る会社で働いていました。だからこの物語は、

    第一章ピースカレーゴールデン(甘口)
    第二章夏野菜の素揚げカレー
    第三章ドライカレー目玉焼き乗せ
    第四章キーマカレーのサンドイッチ
    終章ピースカレーゴールデン(中辛)

    というとても美味しそうな章立てになっています。
    祖父は自己中な性格ではありますが家族のとても大事な秘密をずっと隠して自分一人で背負っていました。

    終章はこれはちょっとずるいよね。と思ってしまいました。

    • かなさん
      まことさん、こんばんは!
      カレーの時間、私このおじいちゃんのこと憎めなくて
      こういう昔かたぎで頑固だけれど筋を通す人、
      なんだか、すご...
      まことさん、こんばんは!
      カレーの時間、私このおじいちゃんのこと憎めなくて
      こういう昔かたぎで頑固だけれど筋を通す人、
      なんだか、すごく好きなんです(^^)
      でも、きれいにまとまったラストには、
      まことさんと同じような「ちょっとずるい…」そう思いました(^^;)

      最近まことさんの読んでいる作品を
      私も読んでいることが多くなりました!
      これからもまことさんのレビュー、参考にさせてくださいね。
      いつもありがとうございます。
      2022/10/29
    • まことさん
      かなさん。おはようございます♪

      こちらにもコメントありがとうございます。
      『カレーの時間』のおじいちゃんは確かに憎めないキャラクター...
      かなさん。おはようございます♪

      こちらにもコメントありがとうございます。
      『カレーの時間』のおじいちゃんは確かに憎めないキャラクターでしたね。ラストはちょっときれいにまとまりすぎでしたよね。
      私は、寺地はるなさん、初読みでした。

      そうですね、かなさんとは、読書の好みが似ているかもしれないですね。
      こちらこそ、かなさんの本棚、レビュー参考にさせてくださいね。
      こちらこそ、ありがとうございます!
      2022/10/30
  • 男らしさが何より大事と思う祖父と、女だらけの環境で育ち、神経質なほど綺麗好きな孫の桐矢。
    一緒に住むことになるが世代の違い、性格の違いからうまくいきっこないのは当たり前。
    このおじいちゃん、私の父と同じ年代です。昭和の男ってこんな感じですよね。まぁ、みんながみんな同じではないでしょうけど。
    威圧的で、言葉少なで、うるさいうるさい俺の言ってることが正しいんじゃー!って感じ。
    やっぱりこんなお父さんを持つ女子は反抗してしまいますよ。はいはい私も、何じゃこのクソ親父!と思ってましたよ。
    でも自分も親になってみると、母親より父親は損な役回りだよなぁとちょっと可哀そうになってしまうことがあります。これもまた、みんながみんな同じではないでしょうけど、母と子の方がベッタリ近い関係というのが多いような気がします。その上で、このおじいちゃんの様に口下手だったりすると勘違いされてしまうことはあるのだろうと思います。
    でもこの小説は、こちらから見た物語もあちらから見れば全く違う物語になることを教えてくれます。人はどうしても自分が信じたいものだけを信じてしまうけれども。
    でも昭和の男だから、いくら勘違いされようともカッコつけていたかったんだろうなぁ。

  • ひょんなことから母方の祖父と同居することになり異世代交流が始まった。孫とは60年の隔たりがあるわけでもはや異民族。
    女系家族の中で育った孫の桐矢は潔癖症の平和主義者。領土を広げようとか相手を意のままにしようとかそんな野望は微塵も持たないタイプ。

    祖父の義景は終戦の貧しい環境を乗り越えて逞しく生きてきた頑固一徹で空腹が満たされれば分かり合えると自らの価値観を曲げない。
    昭和初期の量産型の性格で「男はこうあるべきだ」と寡黙に背中で語るタイプ。「女は弱く守らなければいけない存在だ」と疑わないし、力でねじ伏せようとするし、「男なら解るはずだ」とか性差別なんですけど。
    同世代を生きた仲間内では伝わるかもしれませんが、それでは何も伝わらないんですテレパシーとか使えませんので。
    離婚したのも、自分が浮気して愛想つかされたと言う話のほうが男としては体裁がいいらしく娘たちには真実を告げないまま墓の中まで持っていこうとするそんな人種なんです。
    時代によって考え方や価値観が変わり、アップデートしないとパワハラやセクハラと認定されちゃいますよ。
    私たちが生きてるこの時代は、今生きている人のパワーバランスによって変わってしまう価値観なわけで言ったもの勝ちの多様化なんですよね。
    ストーカーしてたおっさんも構ってちゃんだったところが良さげでしたし、隣の出戻り子連れ葉月さんのフリ方はすっきり納得いくものでカッコよかったな。

    カレーの包容力はどんな具材もグツグツ煮込んで美味しくしてくれる。
    でどうなるかといいますと、
    味付けは寺地はるなさんらしい作品で、しんみりと温かくなるような感じでした。
    だからどうだってことはないんですけどね
    家族ってそうゆうものでしょ

  • 寺地はるなさん、やっぱり面白いです。
    なかなか考えさせられる内容なのに文章が面白いから、やっぱり面白いฅ( ̳• ·̫ • ̳ฅ)
    そしてご飯が美味しそうだ、普通にカレーが食べたくなる。

    25歳潔癖気味男子の桐矢と、83歳の祖父との同居物語。
    ひとり暮らしの祖父の義景は家族全員から嫌われている、悲しいけれども。
    口が悪く、がさつで横暴で無神経な義景とは、誰も一緒に住みたくない、だが祖父は自分から桐矢を指名する。
    当然断りたいけど、家族からの圧力もあり桐矢は偵察に行く。
    「冷蔵庫が汚すぎて無理や。触られへん……」
    優しい桐矢が困っている、でも桐矢は正直者でもある。

    このおじいちゃん良い所が見つからない。
    最初は、あぁ私も無理だなこのおじいちゃん、知り合いたくもないわ〜 と思っていたけど、おじいちゃんがどう生きてきたのかを知っていくにつれて、分かってあげたい気持ちが増えていく。
    子供の頃に終戦しその時代を生きてきたおじいちゃん、確かに今ではもう何もかもが古すぎる。
    決して悪い人ではないんだけれども、とにかく無神経、だから嫌われる。

    苦手な自分の母親のこと思い出しました。悪い人ではないのは分かっているけど、なんせ性格が悪すぎる私の母親。顔を合わせるともうダメっ。
    うんざりして残念な気持ちになって当分は関わりたくないと打ちのめされて、やっと解放される。この繰り返し。
    将来、親の老後の生活に私はどう関わるのか…
    そんなことも頭を過りながら読み進めた。

    桐矢の母たちを置いて出ていった祖母の秘密が明かされる時、さすがのおじいちゃんも、やっぱり一人のおじいちゃんだ。
    物語終盤にわかるおじいちゃんの想い、愛し方は分からなくても愛は確かにあった。
    でも、愛情が相手に伝わらないということは本当に悲しいこと…
    おじいちゃんと一緒に住んでからの桐矢は、人としてどんどん成長しているようにみえた。
    本当に良いホームドラマだった。

    どんな人でも、なにか問題は常に抱えていると思う、悩むかどうかは別として。
    すぐには解決解消されなくても、それと一緒に生きるしかない、時間が経たなければ受け止めることができない事もあると思うし。
    でも、せっかく生きているんだし、できればご飯は美味しく楽しく食べたい、食事=感謝である。

    登場するどのキャラクターもなかなかのクセ強。
    桐矢の「豆入りキーマカレー目玉焼きのせ」
    美味しそうだったので作ります。

    • みんみんさん
      この作品人気すぎて借りれない_| ̄|○
      さっきまで他のブク友さんのレビューで
      親や介護の話で盛り上がったばかりです…
      そしてほぼ愚痴や不満で...
      この作品人気すぎて借りれない_| ̄|○
      さっきまで他のブク友さんのレビューで
      親や介護の話で盛り上がったばかりです…
      そしてほぼ愚痴や不満です( ̄▽ ̄)ウフ
      ぜひ次は参加してください笑

      カレー食べたい…
      2023/04/06
    • あゆみりんさん
      みんみんさん、こんにちは。
      親の介護の件、参加希望です。
      勉強させてくださいっ=͟͟͞͞(๑•̀ㅁ•́ฅ✧
      みんみんさん、こんにちは。
      親の介護の件、参加希望です。
      勉強させてくださいっ=͟͟͞͞(๑•̀ㅁ•́ฅ✧
      2023/04/06
    • みんみんさん
      あゆみりん入部希望…っと_φ( ̄ー ̄ )
      あゆみりん入部希望…っと_φ( ̄ー ̄ )
      2023/04/06
  • 戦後の激動の時代を生き抜いてきた祖父・83歳
    現代を生きる孫の桐矢・25歳

    考え方や価値観の全く違う二人が、同居をきっかけにお互いを知る


    桐矢は祖父を苦手としている。
    むやみにでかい声、がさつな動作、口癖…
    すべての受け入れ難い要素を持っている。

    確かに祖父の態度は時代錯誤で、いちいちイラッとする
    「女みたいな…」
    「男らしさ…」
    「出戻りの娘…」 等々の発言
    でも思い出すと私が子供の頃の大人って、こんな感じだったかも。

    気持ちの表現が下手で様々な誤解や悪印象を与えているが、内側の気持ちは本当は違うのだろう。
    不器用ながらも家族を大切に思っていたはず。
    でもやっぱり、自分の気持ちはちゃんと相手に伝えた方がお互い幸せかなぁ、と私は思う。

    カレーの食品メーカーに勤務していた祖父は、主力商品のレトルトカレーを「おれたちのカレー」と呼び、誇りをもっている。

    そこに至るまでの人生と現在の2つの時代が交互に描かれていくのだが、それらを繋ぐのはレトルトカレー。
    「ピースカレーゴールデン」
    これには色んな想いが詰まっている。



    私の父もカレーを扱う食品メーカーに定年まで勤めていた。
    なので我が家にはカレールーやレトルトカレーが沢山ストックされていたのを思い出す。
    父は年老いた今でもカレーが大好きだ。
    自分達が会社を支えてきたという自負があるのだろう、
    自社製品に対する愛を感じるのだ。

    そんなことから、どうしても父と重ね合わせてしまい、読みながら私の両親の人生についても思いを巡らせてしまう読書時間となった。


    今を生きる桐矢は、祖父から見たら頼りないのかもしれないが、しっかり自分らしい生き方を見付けたようだ。

    「時の流れ、という表現があるが、時間は流れ去るものだという感覚が、ぼくにはいまいちわからない。地層のように積み重なっていくものだと思っている」

    「慎重に積み上げた自分の世界を守りたい」

    祖父と過ごした時間が、桐矢を大きく成長させたのだろう。

    誰かと一緒に食べる食事って、あったかいな。

    • Manideさん
      ココ○チできましたか(笑)
      そして、なおなおさんの反応速度に、さらに(笑)

      私は持ち帰りで頼むことが多いんですよね〜
      月一は利用するんです...
      ココ○チできましたか(笑)
      そして、なおなおさんの反応速度に、さらに(笑)

      私は持ち帰りで頼むことが多いんですよね〜
      月一は利用するんですが、
      もう、野菜カレーオンリーが続いています。

      カレーうどんがあったことすら知りませんでした。
      カレーうどんも持ち帰れるかな…
      食べたら、報告しますね(^-^)

      ちなみに、すごい昔、はじめてのココ○チが秋葉原で、一緒にいた人たちが、xx辛頼む人たちばかりで、私もその流れで5辛を頼んで、舌が麻痺した記憶がいまだに苦い記憶として残っています。辛いの苦手なので、今は常に普通です(^^)
      2023/11/08
    • Manideさん
      aoiさん、おはようございます。
      もう、本の感想無視して、SNS的に使ってますが、、、

      昨日、ココ○チのカレーうどん食べてきました(^-^...
      aoiさん、おはようございます。
      もう、本の感想無視して、SNS的に使ってますが、、、

      昨日、ココ○チのカレーうどん食べてきました(^-^)
      ドロっとしているけど、あっさりしていて、美味しかったです。

      普通の辛さにしたけど、なかなかの辛さでした。
      辛いから福神漬け入れて食べたんですが、なかなかにマッチしていてGOODでした!

      急に寒くなって、カレーうどんがバッチリはまる感じでした。
      2023/11/12
    • aoi-soraさん
      こんにちは!
      早速、ココ◯チうどんのレビューをありがとうございます(⁠^⁠ ⁠^⁠*⁠)⁠/
      そうそう、結構辛いですよね
      私は福神漬入れずに...
      こんにちは!
      早速、ココ◯チうどんのレビューをありがとうございます(⁠^⁠ ⁠^⁠*⁠)⁠/
      そうそう、結構辛いですよね
      私は福神漬入れずに全部食べちゃいました(^^ゞ
      次は試してみたいです

      ホント急に寒くなって、「寒い」しか言葉が出てきません
      でも、モコモコを身にまとって読書するの、好きです(⁠ ⁠◜⁠‿⁠◝⁠ ⁠)⁠♡
      2023/11/12
  • タイトルどおりカレーに纏わる話。
    ただし、カレーはカレーでもレトルトのカレー。
    母親が作ってくれる家庭の味でないところがこの小説のポイント…なのかもしれない。

    祖父・義景と孫・桐矢の風変わりな共同生活を描く。

    義景が半世紀明かさなかった家族の秘密がメイン・テーマなのだけど、僕は桐矢とご近所の葉月さんの恋物語がとても気になった。
    そちらがもっと展開すればよいのに…。万博記念公園の続編はないのかな?

  • 「誤解され自分が悪者と思われようが、真実は知らさない方が皆のためなのだ。」
    という考えを美徳とすることが多かった昭和初期生まれの人が主人公の物語。

    平成・令和とは異なり、半ば強制的な見合い結婚も普通に行われていたり、決めつけられた男と女の在り方が社会常識としてはびこっていた時代があった。

    私の両親や両親の兄弟姉妹も似たような環境だったので、時代背景がよくわかる。
    私の母は幼児の時に親を失い、親戚の家で育てられた。
    母には1つ違いの姉がいたが、姉も別の親戚に育てられた。
    そんな境遇だから、見合いの話を断ることなど考えられず初めて会った父と結婚した。
    母は毎日それが当たり前のように飲んだくれて帰って来る父を毛嫌いしていた。
    我が家の話はこのくらいにしておく…

    こんな境遇の人は全国にたくさんいるのだろうと思うと、この物語のじいさんにも離婚して家を出た元嫁にも素直には共感できない。
    なぜ子供たちに真実を伝えなかったかを考えると、子供たちの気持ちを考えたからではなく、とことん自分勝手な振る舞いを隠すためだと思える。
    とても真実など話せたものではない!が本当の気持ちなんじゃないかな。

    だれもが、他人には知って貰わなくていい何かを抱えて生きているのでしょうね。

    ###

    P.267 5行目 誠子と俊子→誠子と美海子 の間違いとわかりますが、一瞬「えっ?」となりました。
    私が読んだのは初版第2刷ですが、もう校正されたかな。

  • ☆1なので辛口なコメントになります。

    登場人物の誰一人にもに魅力を感じず感情移入できないところが魅力な作家さんの作品も時々読むのですが、
    この作品はキャラクターを強引に作り上げている感が強く
    作品が目指していると思う方向へ自分自身が最後まで向かえなかった。

    せめてもう少し深いところが見えるか、粗雑な部分が丁寧に扱われていれば
    感想は違ったものになっていたはず。
    以前から気になっていた作品だけにとても残念。

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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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