- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408538112
作品紹介・あらすじ
全国の書店員さんも大絶賛!
感動のコメント続々!
不器用な心を救う、ヒューマンドラマの名手、
沖田 円の新たな最高傑作、ここに誕生!
とめどなく切なく優しく温かい。
「心の再生」の物語。
そして……これはあなたの物語。
さまざまな人生が交差し、疲れた羽を休めていく場所
――喫茶とまり木へようこそ。
そこは静かな街の片隅にある喫茶店。
決して繁盛しているとは言えないが、毎日、様々な想いを抱えたお客さんが訪れる。
仕事と家庭の両立ができず離婚した後も、母親になれなかった自分に苦悩する女性。
男子であることに縛られ、趣味のアクセサリー作りを誰にも話せないでいる高校生。
安定は手にしたものの、平凡で退屈な生き方から外れることに憧れる20代事務員女子。
そして、ある特殊な依頼によって大切なことを知る便利屋男性……。
それぞれの人生を紡ぐ温かな眼差し、沖田円渾身の「心に刺さる」連作短編。
何気ない毎日の中で、自分の生き方がほんの少しだけわからなくなっている人に捧ぐ、小さな人生の再生ストーリー。
読後は、生まれ変わったような希望に満たされて――。
【沖田 円さんから読者の皆様へのメッセージ】
どこにでもいる人たちの、どこにでもある物語を書こうと思いました。
自分が人生で体験しないだろうことを味わえるのは読書の醍醐味のひとつだと考えていますが、今作はあえて自分に身近な「そこら辺にいそうな人」たちを物語の主軸に置いてみました。
本作に主人公はたぶんいません。
喫茶とまり木にやって来た5人は、他の物語ならば名前も付かないモブかもしれません。
でも彼らにだって悩みがあり、躓きがあり、人生にちょっとしたドラマだってある。
今作は、そんな人たちのささやかな物語となりました。
皆様のそばにいつの間にかいるような、古い友達みたいな本になればいいなと思っています。
ほんのちょっとだけ明日が来るのが楽しみになりますように。
(作家・沖田 円)
感想・レビュー・書評
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とても心が温まる感涙短編集。
0話 きみのとまり木
だれかが心安まる場所であって、だれも拒まないそんな喫茶店で、級友の気になってる彼女と出会うが、すぐに会えなくなってしまう。
5話 僕らのとまり木
オーナーがこの「喫茶とまり木」を作った理由が0話から繋がる内容で、会えなくなった彼女の代わりに居場所がない人やちょっとだけ毎日に疲れた人が、羽を休められる場所であったらという願いが込められている。
ラストには奇跡が。
喫茶とまり木に集まるのはちょっと不器用だけど健気に生きている人たち。
1話 家族写真
離婚前も離婚後も仕事オンリーで娘にとっては、母親だと胸を張って言えることができないのに、それでも娘は優しくて「お母さん」とずっと呼んでくれる。
母親であろうとしてくれていることを娘は気づいている。
2話 コーリング・ミー
高校生の駆には、ハンドメイド友達の羽須美さんがいる。
喫茶とまり木のレジ横に彼女が得意とする刺繍を施した布小物はとても人気だ。
彼女から声をかけられて駆もビーズアクセサリーを見せて交流を深めている。
だが、小学生のときにからかわれたのが原因で、誰にも言えないでいたのだが…。
3話 蜃気楼の彼女
平凡で普通な自分が、高校時代にひとつ飛び抜けた個性的な彼女としばらくぶりに再会。
以前の彼女と違っていたが、何も聞けずにいた。
普通の型にはめられていた私とは違う生き方をして、怖いものなんてこの世にひとつもない彼女のままで現れてほしかった。
2人の本音は…。
4話 一輪の花へ花束を
一週間、一緒に生活するだけのバイト。
その相手が、なんとTVで観る女優だったとき。
彼女は、特別なこともせずただ普通に過ごすだけ。
これからも女優でいるために、普段の自分を知らない人に、まっさらな目線で見てほしかったと…。
自分の中では、2話が一番心に沁みた。
男だからとか…関係なく素直に好きなことをして輝いてほしいと心から思った。
そして、素敵なものを生み出す才能を羨ましいと。
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あったかい本だったなぁ。
自分のダメだなぁとか嫌だなぁとか思っているところを周りの人がそれでいいんだよと認めて受け入れてくれている感じが何か気持ちのいいものに包まれているような感覚になった。
最初の章に出てきた人は母親になれなかった自分を受け入れられずにいたけど、それはそれでちょっと羨ましいと思う部分でもあったり。
私は母の成分が強いと人に言われたことがあって。
でも自分の子どもが首が座るよりも前から仕事復帰してたりもして。
決して母親として褒められるような状況で生きてきたわけじゃないんだけど、誰か一人でもそんなこと言ってくれる人がいるとそうなのかって自分をちょっぴり好きになれたりそんな自分に少しだけ自信がもてたりして。
なんかそんなほんの少しの何かで自分を少し認められるような、そんな優しい感じのする本でした。 -
『喫茶とまり木』 オーナーが「居場所のない人、毎日に疲れた人が羽を休められる場所」にしたい、と願うお店なのでした。
全五話の連作短編集で、0話と5話が喫茶店オーナーの幼少期と現在につながる話。間の1〜4話に、母と娘、老婦人と男子高校生、若い女性と旧友、臨時で便利屋を引き受けた男と依頼主の若い女性等、様々な人たちが待ち合わせ場所からとして集います。
共通しているのは、自分の考え方が凝り固まっていて、他人や自分自身を決め付けていたり、思い込みで悩んでいたりしていたことが、ゆっくりと氷解する様に薄れていく、温かく包み込んでくれる物語になっているということです。
喫茶店のオーナーなどが重要な役割を果たすというよりは、喫茶店で待ち合わせをする人たちの関係性が良好になるための、きっかけとなる場所の提供の役割を担っていて、正に『喫茶とまり木』なのだなと実感します。
秋の夜長に、心がホッコリする読書としておすすめの一冊です。-
詳しい感想で、読んでみたい気持ちがとてもくすぐられました。
今、読み始めたところなのですが、すてきな本の予感です。
感想のおかげです、引き合...詳しい感想で、読んでみたい気持ちがとてもくすぐられました。
今、読み始めたところなのですが、すてきな本の予感です。
感想のおかげです、引き合わせてくださってありがとうございます☺️2022/10/17 -
しろくま みかん さん こんばんわ!
コメントありがとうございます。もうすっかり読書の秋ですね。
自分のレビューに反応していただき、...しろくま みかん さん こんばんわ!
コメントありがとうございます。もうすっかり読書の秋ですね。
自分のレビューに反応していただき、本を登録したり読み始めたり…という話を聞くと、とてもうれしく思います。
読書を通じて人とつながる、って素晴らしく幸せなことだと実感します。
今後ともよろしくお願いします!2022/10/17 -
NO Book&Coffe NO LIFEさん
本当、釣瓶落としで夜が長く、虫の鳴き声を聴きながらの読書でつい夜更かしして読み干してしまい...NO Book&Coffe NO LIFEさん
本当、釣瓶落としで夜が長く、虫の鳴き声を聴きながらの読書でつい夜更かしして読み干してしまいました。
読書でつながれる方々は、場所も年齢も環境も違う方々で、ふつうに暮らしていると出合わなかった方々。
それでも同じように感じたり、おもしろい、すてき、と沸き立った気持ちを分け合えるなんて、奇跡のようなことで、幸せなことですよね。
読みたい本がどんどん増えてしまう本棚で、私も読んだことがあっていいなと思った本、レビューを見させていただいて読みたくなった本などへ、いいねをたくさん押してしまっております…。
こちらこそよろしくお願いいたします!2022/10/18
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【うさぎまつり】の一冊。
表紙にうさぎがいることを知り、うさぎは登場しないけれど優しく癒されるまさにうさぎのような作品だった。
タイトル通り、物語のベースはとまり木という名の喫茶店。
でもあくまでも喫茶店が主張し過ぎないところが良い。
悩みもやつく主人公たちの一歩への添え木みたいな役割、距離感が良かった。
同世代、年齢の枠を越えての嘘偽りのない友情が育まれていく二話目にはこちらまで心晴れやかに。
数々の言葉で心の曇りを拭き取り、クリアなガラスのような心を復活させてくれるようなストーリー。
向こうに見えるのは清々しい空。 -
私もこんな喫茶店を開きたいと思っているので、とても興味深く読んだ。
人が疲れた時、羽を休める居場所の喫茶とまり木。どの物語も共感でき、そして自分をも癒される物語だった。 -
喫茶とまり木では色んな人々が待ち合わせをする。
母子、趣味友、友達、依頼人とバイトなど。
「一輪の花に花束を」が一番好きだった。
一点ものの女優花子と量産品のニート朔太郎が一週間同居する…という話。
心にほわりと火が灯るような優しい物語。 -
喫茶とまり木を中心に、日常を生きる人たちを描いた短編集。
はっきり言うと、目新しさはない、最近とくによくあるパターンの本だと思うが、安心して読めるし、登場人物の悩みや迷いが本当に普通で、それが共感を生みやすいのではないかなと思う。
最後はまぁ出来すぎ君だけれど、それも"安定"で良いのかもしれない。 -
この本が、とまり木になってくれていた。心がとても暖かくなれた。
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短編集だったが2話目の『コーリング•ミー』が良かった。
1話目の『家族写真』は号泣。
読んでいて自分の立場と同じ境遇だったり同じ年頃の子供が居たらつい重ねて読んでしまうよなぁ。