神に愛されていた

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408538402

作品紹介・あらすじ

木爾チレン、待望の最新書き下ろし長編! 才能と嫉妬、深い闇に蠢くそれぞれの類稀な人生。愛と憎しみのヒューマンミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • 木爾チレンさん、初めまして♪
    何気に立ち寄ったBOOK・OFF、本書が私を呼んでいました。

    ブクログで調べてみると、ブク友さんの評価も悪くない。

    図書館にも返却本を持って行く予定だったのですが、夕方から映画を見るまでの時間もあるしと購入することに。

    読む本が手に入ったので、今日は映画までの時間をいつものツタバではなく、ドトールコーヒーで過ごしてみました♪
    (結果、映画が始まるまでに読了とならず、帰宅後に残りを読み終えました)

    本作の主人公は二人の女性作家、冴理と天音。

    前半は冴理の視点で、そして後半は天音の視点へと移り変わります。

    視点が変われば見える景色が変わる。

    でも、なんて不器用な2人。

    度を越した不器用な2人が生きた物語。

    <あらすじ>
    才能と嫉妬、深い闇に蠢くそれぞれの類稀な人生を描いたヒューマンミステリーです。この物語は、二人の女性作家、冴理と天音の複雑な関係性を中心に展開します。彼女たちは同じ高校、同じ大学を出て、同じ新人文学賞を受賞するという共通点を持ちながらも、お互いに知らない感情が渦巻いています。

    冴理は若くして小説家デビューを果たし、その美貌と才能で一躍人気作家となりますが、人気絶頂のさなか、突然筆を断ちます。一方、天音は冴理の後を追うように作家となり、瞬く間に彼女を追い抜いていきます。冴理は書けなくなり、その後の人生は謎に包まれています。

    物語は、冴理の視点で始まり、彼女の過去と現在を交錯させながら進行します。彼女が小説を書くことに翻弄され、どうしようもなく背負ってしまう因果、無傷ではいられないのに、それでも書き続ける覚悟を描いています。後半部分では、天音の視点に切り替わり、今までの事実が一変し、読者はもどかしさを感じずにはいられません。

    この物語は、才能への羨望と嫉妬、そしてそれによって生じる狂気を描いており、特に女性特有の感情が強く表現されています。読者は、二人の作家が抱える切ない思いや、すれ違う感情に共感し、彼女たちの人生に深く思いを馳せることでしょう。

    『神に愛されていた』は、希望と絶望、羨望と嫉妬が交錯する、ふたりの女性作家が才能を信じて生きた物語です。



    小説を書くことに翻弄される二人の女。
    どうしようもなく背負ってしまう因果。
    無傷ではいられないのに、
    それでも私は書き続けるのだ、
    という覚悟。
    そのすべてを封じ込めた物語を
    チレンさんは書いてしまった。

    ――――窪美澄(作家) 

    彼女は己の何もかもを削ぎ落しながら、
    美しく繊細な物語を紡ぐ。
    そうして生まれた作品は眩いばかりの光を放ち、
    同時に深い闇を孕む。
    この作品は、まさしく木爾チレンそのものだ。

    ――――町田そのこ(作家)

    窪美澄さん、町田そのこさんも激賞!!

    一気読み必至!! 2023年の大本命!!

    最旬にして俊豪・木爾チレンの真骨頂、
    深き心の闇に愛憎蠢くヒューマンミステリー!!

    女にだけわかる、狂気。
    過剰な嫉妬は、やがて強大な殺意へ…。

    若くして小説家デビューを果たし、その美貌と才能で一躍人気作家となった東山冴理。
    しかし冴理は人気絶頂のさなか、突然、筆を断った――。
    やがて三十年の時が経ち、冴理のもとに、ひとりの女性編集者が執筆依頼に訪れる。
    「私には書く権利がないの」そう断る冴理に、
    「それは三十年前——白川天音先生が亡くなったことに関係があるのでしょうか」編集者は問う。
    「あなたは、誰かを殺したいと思うほどの絶望を味わったことってあるかしら」
    ――そして、この時を待っていたというように、冴理は語り始める。
    高校文芸部の後輩、白川天音が「天才小説家」として目の前に現れてから、
    全ての運命の歯車が狂ってしまった過去と、その真実を……。

    希望と絶望、 羨望と嫉妬……
    これは、ふたりの女性作家が、才能を強く信じて生きた物語。

    すべてを読み終えたあと、
    あなたはタイトルに託された〝切ない意味〟を知り、
    ぎゅっと、胸を締め付けられる。

    ヒット作『みんな蛍を殺したかった』の俊英女性作家による、
    1年ぶりの書き下ろし長編小説。

    満を持して、待望の最高傑作、降臨!!

    著者について

    1987年生まれ。京都府京都市出身。2009年、大学在学中に執筆した短編小説「溶けたらしぼんだ。」で新潮社「第9回 女による女のためのR-18文学賞」優秀賞を受賞。2012年、『静電気と、未夜子の無意識。』(幻冬舎)でデビュー。その後は、ボカロ小説、ライトノベルの執筆を経て、恋愛、ミステリ、児童書など多岐にわたるジャンルで表現の幅を広げる。2021年『みんな蛍を殺したかった』(二見書房)が大ヒット。翌2022年には『私はだんだん氷になった』(二見書房)、2023年には『そして花子は過去になる』(宝島社)を刊行。

  •  「女にだけわかる狂気」って何?ドロドロ系?わからなかったら? うーん、最近の帯過激じゃね?
     タイプの違う冴理と天音、2人の女性作家の才能と嫉妬を中心に、各視点で描かれる物語です。

     2人の対比が、光と影、羨望と嫉妬、希望と絶望‥と、相反する(表裏一体の)ものとして象徴的に描かれます。狂気とまでは思えませんでしたが‥。
     一つの事象の捉え方は人により違い、言動の伝わり方等で誤解を招くことはままありますね。それが魂を削るように生み出す作品世界だと、とりわけ複雑で過剰な思いに駆られるのかもしれません。

     本作を読みながら、三島由紀夫の『金閣寺』と映画『アマデウス』を思い出していました。

     『金閣寺』は、金閣寺の美に憑りつかれた学僧が、それに放火するまでを、告白の形で綴った物語(実際の事件をモチーフ)でした。
     美に対する嫉妬や参拝者への反感が、呪いと執着の心理に変貌する辺り、さらには、本作の2人が独白や手記の形で語られ、放火場面もあるので相通じる気がしました。

     『アマデウス』は、モーツァルトの圧倒的な才能にサリエリが嫉妬し、その才能を潰すため策略に打って出る内容(毒殺を含め事実は不明)でした。
     この設定を、女性作家2人の関係に落とし込んでますね。また、人の名前、章立ての楽章、13/33の年齢だけど拍子記号、モーツァルトの言葉の引用、同人誌や小説タイトル‥。モーツァルトへのオマージュと音楽的要素が、実にたくさん散りばめられていました。

     内容は妬みや憎悪が渦巻いているものの、小説という作品への深い愛情・想いを感じさせる物語でした。

  • ゴミ箱の中で住んでいたと語る少女が、唯一楽しいと思える時間は、本を読んでいるとき。
    文字だけが彼女の心を救ってくれた。

    そんな少女が、やがて小説家となり一躍人気作家となったが、後を追うように同じ高校から京大卒までいっしょの後輩が、瞬く間に作家となり追い抜いていった。
    それから書けなくなった彼女は…。


    小説を書くというのは、かなりのエネルギーを消費するもので、そう易々と生まれてくるものでもないことが、痛いほどにわかる。
    そのなかで、自分の小説をどれだけ愛して読んでくれているのか…その《雨》さんが実は。


    小説を読めないことが、死ぬよりも悲しい。と
    それほどの愛はどこにもないだろう。


    希望と絶望、羨望と嫉妬…と帯に書かれてあるが、もっと違うものを感じた。
    今までに感じたことのない重くて深い何かを。
    喩えられない何かを。






  • 読みやすくて一気読み!
    著者が「私はこの小説がとても好きだ」と、あとがきで書かれてたけど、私も好きだった〜\♡︎/
    せつないけど、面白かった!

    羨望、嫉妬、焦り、、才能ある若い二人の女性作家をめぐる愛憎劇。
    物語を生み出すって、ほんとに身を削るほど大変な事なんだろうな。

    物語は前半は冴理の視点で語られ、終盤は天音の視点で語られる。
    視点が変わると今まで見てきた景色が変わる。

    どちらの気持ちも分かるとこあるな〜。
    もし素直な気持ちを伝えれてたなら、とタラレバを思わずにはいられないけど、思いが強いほどこじれてしまうんだろう。
    それにしても、結婚までとかやり過ぎだけど笑
    女ってそういう狂気じみたとこあるよな〜。

    こんな風に書くとドロドロ激しい話を想像してしまうけど、全然そんな事なく、むしろ穏やかで静かなる狂気といった感じ。
    最後、せつなさが後引くけど、とても良かったです♪♪


    ✎︎____________
    装画が素敵。
    木爾チレンさん初読み
    木爾→きなと読むらしい
    あとがきが良かった〜




  • 2人の女性小説家の感情が生々しく描かれており、そのストーリー展開に魅せられ、一気読みでした。

    本作は2人の女性の小説家、「冴理」と「天音」の物語。2人は歳は少し離れているが、同じ高校、同じ大学、そして同じ新人文学賞を受賞するという経歴を持つ。そんな2人の間には、お互いの知らない感情が渦巻いていて…という物語。

    本作を読んで思ったのが、非常にドロドロしたお話しだなぁという印象を受けました。もともと、木爾チレンさんといえば、「みんな蛍を殺したかった」や「私はだんだん氷になった」のような女性視点の作品が多い印象でしたが、今回は特に女性特有の羨望と嫉妬の感情が出てて、より印象に残りました。

    正直、男性かつ若輩者の私からすると、人を殺したくなるくらいの才能への嫉妬や、自分の人生を捧げるまでの他者への羨望という感情は経験がありませんでしたが、なぜか妙にリアルに感じました。

  • この物語は2050年から始まります。
    平成の回想を中心とした内容や少女小説を感じさせる文体に懐かしさを感じるのに、スピーディーな展開とセンチメンタルになりすぎない潔さが、むしろ新しいイメージの作品に仕上げていました。
    近未来からのスタートの謎も最後に納得。
    多少強引なストーリー展開ではあるものの、甘いのに、どこか苦味も感じさせる本作品はとても好みでした。

  • 木爾チレン|note
    https://note.com/kinachiren/

    木爾チレン lit.link(リットリンク)
    https://lit.link/chirenkina

    日下 明 | Akira Kusaka
    https://akirakusaka.com/

    神に愛されていた|実業之日本社
    https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-53840-2

  • 初めて読む作家さん。題名に惹かれたので手に取った。まず、装画がとても素敵!パラパラめくると字が少ない!

    題名から重厚な文章を期待したけれど、文は割とポップだった。ライトノベルのよう。なので、若い作家さんなのかな?とも思ったけど、登場人物の名前やキャラ設定が、割と平成初め頃な感じの雰囲気だったので、ちょっとパンチの効いた中堅の作家さんという印象を受けた。

    筋は面白く、どんどん先を読みたくなった。作家さんが本を書く大変さが少し垣間見れたので、小説を書いたこともない一読者が、あーだこーだ感想言うのはなんか申し訳ない気がした。ミステリーとは言えない気がした。

    ドラマ化すると良さそう。天音役は、恒松祐里さんが直ぐに浮かんだ。冴理役は今ひとつぴったりくる方が思いつかなかったけど、鶴田真由さんとか?若い時代は別の俳優さんを起用してもらって。
    嬰役を柄本佑さんのような色気あり、雰囲気あり、そして演技上手な俳優さんに演じてもらったらしまっていいなぁ、なんて一人で楽しく考えてました。

    読者の感想なんて、お気楽で申し訳ないなぁと思いつつ…

  •  なんて切なく優しさに溢れた物語なんだろう。2人の天才作家、冴理と天音の物語がそれぞれの章で綴られていくわけだが、冴理の章を読み終え、天音の章を読むと、今まで自分が描いていた事実が一変し、なんで、どうしてと、もどかしく思わずにはいられなかった。

     天才作家、冴理は人気絶頂期の中、突然筆を絶ってしまった。30年後、冴理の元にもう一度小説を書いてほしいと編集者が訪れる。編集者に語る冴理の物語は、もう1人の天才、天音の存在に苦しめられ、天音を殺したいとまで思わせるものだった。

     そして、編集者の花音から語られる天音の物語は、冴理が想像もしていなかったものだった。

     誰しも苦手な人はいると思うが、もしかしたらその人は自分のことを誰よりも愛してくれる存在なのかもしれない。

     天音にもう少し勇気があったなら、冴理がもっと天音のことを分かろうとしていたならと思わずにいられない。

     この物語の中で『冷静と情熱のあいだ』を取り上げ、冴理と天音が共作を描くわけだが、この物語自体がそのような作風になっているなど、心理描写だけでなく、その技巧にも唸らされた。

  • これはなかなか借りられなかったので、やっと。

    嫉妬、妬み、羨望。
    私は歳をとったのか、今はこういう感情って全く無いのだけれど。
    若い頃はこういう思いでいっぱいだったと思う。
    ただ、純粋な思いは切ない。

    内容はシンプルだけど、私はけっこう好き。

    あとがきが、なんだかうるっとした。

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著者プロフィール

チレン(きな・ちれん)
京都府出身。大学在学中に応募した短編小説「溶けたらしぼんだ。」で、新潮社「第9回女による女のためのR-18文学賞」優秀賞を受賞。美しい少女の失恋と成長を描いた『静電気と、未夜子の無意識。』(幻冬舎)でデビュー。その後、少女の心の機微を大切に、多岐にわたるジャンルで執筆し、作品表現の幅を広げる。近著に、引きこもりの少女の部屋と京都が舞台の恋愛ミステリ『これは花子による花子の為の花物語』(宝島社)がある。黒歴史と少女の淀みを描いたミステリ小説『みんな蛍を殺したかった』に続くのが、本作『私はだんだん氷になった』である。

「2022年 『私はだんだん氷になった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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