- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408553894
感想・レビュー・書評
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穂高明『夜明けのカノープス』実業之日本社文庫。
日本では限られた条件でしか見えない星、カノープスをモチーフにした優しさと哀しさに包まれた傑作中編小説の傑作。
この小説に描かれる主人公の映子もそうなのだが、穂高明が描く小説の主人公は皆、真っ直ぐに生きている。真っ直ぐに生きているが故に様々な壁にぶつかり、時に挫折を味わうのだが、何とかその壁を乗り越えていく。その主人公たちの生き様は非常に魅力的だ。魅力的な生き様が我々に感動と生きる力を与えてくれるように思う。
教員を目指していた主人公の映子は夢叶わず、挫折し、小さな教育関係の出版社で契約社員で働いていた。とあるコラムの企画をきっかけに14年前に生き別れた実の父親と再会した映子は…
穂高明の小説は全く期待を裏切ることはない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カノープスとはシリウスに次いで二番目に明るい恒星である。にも関わらず影が薄い星のような気がする。少なくとも私は初めて聞いた。
そんなカノープスを題材にした作品。作者は元天文学者であるが、現実の星カノープスを題材にしてそれを物語として昇華しようとする試みは凄い。しかし、やはり物語としての面白みは今ひとつであるという感は否めない。割り切って文学として読むにも文章が今ひとつ。箸にも棒にもかからないと言ってしまえば身も蓋も無いが、終わり方も含めて満足の行く作品とは思わなかった。
批判だけするのもあれなので、表紙の絵を見る限り、風景と作画は綺麗そうなので、アニメ化とかメディア展開でもすれば化けるかもしれないというフォローを最後にしておく。 -
人を好きになると陥ってしまう孤独感の濃さに噎(む)せそうになるという表現が秀逸でした。もうとっくにそんな感情は残っていないのにね。郷里からは決して見ることのかなわないカノプはいつかは自分の目で見たいという憧れが今でもあります。