崩れる脳を抱きしめて (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 2911
感想 : 178
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408556192

作品紹介・あらすじ

愛した彼女が死んだ? なぜ、突然に……。今世紀最高のどんでん返し恋愛ミステリー、本屋大賞初ノミネート作品、待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 凄く面白かったです。
    夢のような物語でした。

    研修医の碓氷蒼馬は広島の病院から神奈川県の葉山の超高級ホスピスの岬病院に実習生としてやってきます。
    そこで28歳の脳腫瘍を抱えた女性患者の、弓狩環(通称ユカリ)と出逢います。
    ユカリは身寄りがなく莫大な遺産をもっていました。
    そして、親しくなった蒼馬に「わたしをこの鳥籠から連れ出してくれる」と言い、蒼馬は自分の父の不審死の謎を解いてくれたユカリに生まれて初めての本当の恋をしてしまいます。


    そこまでが前半の第一章で、以下ネタバレしていますのでお気をつけください。


    第一章の最後は「僕は二度と弓狩環と言う女性に会うことはなかった」と結ばれていて「えーっ、話はまだ半分残ってるんだけど、どうなるの~!」ということになります。

    第二章はユカリが4日前に亡くなり、ユカリの弁護士が蒼馬の元に以前話した父の借金3068万円を遺産として広島に持ってくるところから始まります。

    蒼馬はユカリの死に不信感を抱き、岬病院に行ってみますが、院長は「君は弓狩環さんを担当したことは一度もなかった。すべて君の妄想だ」と言われ愕然とします。
    蒼馬は病院の異常さに気づき、一人でユカリについて調べようとしますが…。

    前半は少々メルヘンチックな感じがしましたが、後半は謎だらけの展開で一気読みでした。
    ラストも全然予想がつかず驚きました。
    ホント、狐か狸に化かされたのかと思うような嘘みたいなミステリーでした。

  • 感動の恋愛ミステリーとのこと。
    確かに、これはやられた!
    第8回広島本大賞、第4回沖縄書店大賞、第1回一気読み大賞の3冠だそうです。
    (あんまり聞いたことない賞ばかりだけど)

    広島から神奈川の終末医療病院に実習に来た研修医の碓氷は脳腫瘍を患う女性ユカリと出会います。

    家族を捨てた父親の恨みが忘れられない碓氷。
    いつ、脳腫瘍で亡くなってしまうのかをおびえるユカリ。
    二人の距離は徐々に縮まっていき、お互いのトラウマを克服、ついには想いが通じ合うようになります。
    しかし、研修が終わって碓氷は広島に帰ることに...

    ここまでは、いわゆる恋愛小説ですね。

    しかし、後半、広島に戻った碓氷はユカリの死を知ることになります。
    なぜ彼女は死んだのか?その死の真相を明らかにするために再び神奈川へ。

    そこからは、ミステリー!
    前半で語られた違和感、伏線が回収されてすっきりです。
    彼女の死の真相が明らかになります。

    ここからはかけない。

    しかし、とてもよい読後感。
    これはとってもお勧めです。

  • うーーん...
    なんだろう。私が歳をとってしまったからなのか、2人の会話のシーンがダメでした。
    お互いに意識しあっていながら、相手の気持ちを探り合ってじゃれあっているような会話が、もう全く受け入れられなかった。ミステリーとして少し楽しめたので⭐︎2にしました。

  • 帯の言葉をお借りすれば、「物語を清々しく輝かせることができる真に優れた仕掛け」ということだろう。
    第1回一気読み大賞とのこと。読む手が止まらないのは確かだった。前半からとても読みやすく、それが逆にラノベ風(?)にとれたが、(思ったより)軽く感じなかったのは医師である著者の作品であり医療面での信頼があるからだろうと思いました。後半はミステリー要素が先に立って、一度騙され。そんなに甘くない仕掛けに心情よりも素直に恋愛ミステリーとして楽しめました。ユカリの命と向き合ったことで碓氷が医師として成長する姿が良かった。
    「けど、もうそろそろ気づいてもいい頃じゃろ。もっと自由に生きてもいいって」この言葉が心に残った。
    あまり読まない恋愛ミステリー、情景描写が美しく世界観が新鮮だった。

  • 脳に爆弾(腫瘍)を抱えるというのは、ある意味どんな病気よりも怖いかもしれない。死の恐怖はもちろん、自分が自分でなくなってしまうような恐怖もあると思う。
    ラブストーリーとしてはある意味余命ものなのかな。ミステリーとしてはなかなか凝った設定です。

  • ガチガチのミステリーではない。
    でもしっかり謎があって、伏線化もバッチリ☆
    スカッと爽快解決!なミステリーではないけど、ゆったりと優しい気持ちになれる恋愛ミステリーだった。

    当たり前のように今日を生きていて、明日があるかもわからない恐怖っていうのは、当人にしか理解できないことかもしれないけど、今日を楽しく生きて明日も誰かと会えるってささやかでもすごい幸せなことなんだと改めて思った。

  • おい!ちょ、ま、待てよ!

    ……すっげえ、いい話じゃねえかよ!

    と読後、思わずキムタクのモノマネしながら言ってしまいましたよ。

    知念先生の本を読むのは3冊目。『仮面病棟』『時限病棟』の病棟シリーズは既読でした。

    知念先生の本はストーリーはいいんだけど、ちょっと人物描写が薄いんだよな~、これは大丈夫かな~。
    なんてこと思いながら読んでましたけど、杞憂でした。
    面白かった。

    この本をカテゴライズするとなんだろうな?

      ~♪闘病系美少女小説ミステリー仕立てハッピーエンド風味医療知識を添えて♪~

    というような気取ったフレンチレストランのメニューみたいな感じかな(笑)。

    いや、最初は闘病系美少女小説のエースとして名高い『君の膵臓を食べたい』みたいなんですよ。それからミステリーチックというか、波乱万丈というか、実はそうなの?みたいな驚きというか。

    もういろいろなエッセンスが詰まってて、
       もう、アニメ化してください!!
    ってこちらから全裸でフライング土下座して頼みたくなるような本でしたね。

    BGMも決めました。
    主人公のユカリさんの心情の表す二曲。
    いずれもUruさんの曲で
      中間のBGMは
        『ホントは、ね』
      ラストは
        『奇蹟』
    で決まりでしょ。

    多分ね。
    この本の対象ってヤングアダルトだと思うのね。
    でも40をとうに超えた僕のような中年男子でも泣いちゃうよ。
    でも、もっと泣いちゃうのは女子だろうな。
    なんか有川浩の『レインツリーの国』を彷彿とさせるんだよね。
    いろいろある女の子を全部ひっくるめて包んでくれるイケメン男子。好きでしょ?夢でしょ?

    はい、この本持って妄想の世界にいってらっしゃい。
    オール・ボアール♪

  • 脳に爆弾を抱えた女性と研修医の恋バナと思いきや2転3転、恋愛ミステリー
    病院側が全て無かったことにして妄想と説明したのは無理があるなぁー妄想ててそれは無いわ
    映像化するのであらばユカリさんは新木優子希望

  • 知念実希人『崩れる脳を抱きしめて』実業之日本社文庫。

    幾つかの仕掛けがある恋愛ミステリー小説。第8回広島本大賞、第4回沖縄書店大賞、第1回一気読み大賞の3冠受賞作。あっさり読めてしまうのと、余りにも綺麗にまとまり過ぎているせいか、へそ曲がりのひねくれ者には退屈な作品だった。

    広島から神奈川の病院に実習で来た研修医の碓氷が、入院中の脳腫瘍を患い快復の見込みの無い大金持ちの女性・ユカリと知り合い、紆余曲折の後に恋に落ちるというストーリー。碓氷の抱える忌まわしい過去の経験とユカリが抱え込む秘密……

    本体価格700円
    ★★★

  • 「誰だって、明日まで生きている保証なんてない。誰だって爆弾を抱えて生きているって。けれど、その爆弾に怯えていたらなにもできない。だから、僕たちはただ一日一日を必死に生きていくことしかできないんです」

    読みやすかった。ちょっとライトノベルみたいな感じもある。

    ホスピスを兼ねる葉山の岬病院。
    入院している患者さんの台詞が心に残った。
    「つまり、ここはある意味、『超高級姥捨て山』ってわけだ。先生も見てるだろ。意識もないのに腹の穴からどろどろの栄養液流し込まれて生かされている奴らを。あいつら、本当にあんな状態になってまで生きたいと思っているのかね?」
    その治療は、本人の望みなのか家族の望みなのか。家族の罪悪感を消すための病院・・・
    人間は誰もが直面する死について考えた。


    ”この病院は患者やその家族のためならなんでもする“とは書いてあったけど、まさかそこまで・・・というラスト。ずるいな〜と思ったけど、切ない話。
    裏表紙にある「僕にしか書けない恋愛小説です」という著者の言葉がこの物語をすごく表している気がする。


    「人生で一度くらい、馬鹿やってもいいんよ。あんた、真面目すぎて、ずっと自分を追い込んできた。けど、もうそろそろ気づいてもいい頃じゃろ。もっと自由に生きてもいいって」

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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