30年でこんなに変わった! 47都道府県の平成と令和 (じっぴコンパクト新書)
- 実業之日本社 (2024年1月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408650593
感想・レビュー・書評
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1990年代(平成)から2020年代(令和)にかけて日本全体がどう変わったか、また、47都道府県それぞれがどう変わったかを共通項目で分析する。
まず、日本全体では、①76年、アメリカが発表した漁業専管水域を12カイリから200カイリに拡大したことによる北洋漁業の衰退、②「鉄の町」、「造船の町」、「産炭地の町」の衰退③ほぼ全県で起きた地方百貨店、商店街の衰退など、負のトレンドが印象に残った。
都道府県ごとの分析はベーシックな地理歴史、人工変化に加え教科書記述の変化、地方百貨店の興亡、進学校の実績、民放テレビ局でキー局の番組がどれだけ見られたか、地元の大企業の売上高ランキングの推移などの共通項目で構成されている。
それらの中から自分にとって興味深かったものを幾つか列挙しておく。
①平成の大合併で新潟県では112の自治体が30にまで減った。
②健康のための減塩運動に県民が素直に従った長野県では、脳血管疾患の死亡率が向上した。
③四大公害病のひとつ、四日市ぜんそくで悪名をなした石油コンビナートは、今や幻想的な夜景の整地になり、疫病神から観光資源への大変貌を遂げた。
④可住地面積が最下位は奈良県(854平方キロ)
⑤和歌山県の人口減少率は西日本一、対照的に沖縄県の人口増加率は全国2位(1位は東京都)
⑥東京、大阪などの6大都市に次ぐ規模として「札仙広福岡」が近隣の都市に与える影響がこの約30年間で大きくなった。(ストロー現象)
⑦岡山県は学生服の生産量日本一。4大メーカーのうち3社が立地。児島湾の干拓、綿織物工業の発展が背景にあり、特に盛んだった足袋づくりの厚手縫合技術が学生服生産に移行
⑧徳島県阿南市は世界で初めて青色LED(発光ダイオード)を実用化した日亜化学工業の本社があり、キャッチフレーズが「光のまち阿南」
⑨熊本市は阿蘇山からの伏流水に恵まれ、全国の大都市では唯一の例となる水道水の水源が全て地下水。周辺には豊富な水を求め、半導体工場が立地。
全体を通して、写真、地図、イラストなど、分かりやすくするための配慮がなく、解説はあるものの、知識やデータを定型的に並べただけの味気なさが残った。また、地方百貨店の興亡、民放テレビ局のキー局カバー状況、進学校の実績については、地域ごとに記述しても、読者はほとんど関心がわかないのではないと思った。地方百貨店の興亡については、過去から記述しているが、現在の状況から入り、過去はこうだったと表す方が、わかりやすかったのではないかとも感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
病院の生協で購入。各県のデパートの動向が面白いと感じた。あと、鹿児島県のさつまいも一位が茨城県に脅かされているとか。