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- Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9784409010341
感想・レビュー・書評
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二段組400Pちょい読むのに3週間近く費やした。上巻は孤児であるジュネの青年期までの生い立ちをなぞり、サルトルの実存哲学を実証する試みがなされている。単なる評伝と思ったら大間違いだ。サルトルのジュネへの共感を基に、自身の哲学への昇華が第一義にある。つまり、ジュネは生贄なのだ。他者からの眼差しにより悪のレッテルを受け入れた泥棒かつ男色のジュネは、絶望の中に突破口を見出し悪を意欲する。自由が運命と戦う姿に詩性が立ち上る。難解で非常に労苦を伴う読書だが、時折訪れる硬質の耀きは捨てがたき稀少な感覚を齎すので諦めない。下巻へ。
ジュネ論の鍵となる「仮像(みかけ)」と「回転装置(トウルニケ)」についてはまだぜんぜん噛み砕けていない。下巻読了までに何かしら感想を持てるようになれたらいいが。サルトルのねちっこい反復をあてにして、(いささかうんざりしながら)下巻に進もう。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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