感染症社会: アフターコロナの生政治

著者 :
  • 人文書院
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409041130

作品紹介・あらすじ

混乱の本質とは何か、そしてこの先にある世界とは

新型コロナウイルスは何度も繰り返されてきたパンデミックに過ぎないのか? 医師であり注目の医療社会学者でもある著者が、COVID-19に関する医学的知見と発生以来の経緯、そして社会学的分析をふまえ、事態を総合的に捉える迫真の論考。

「もし、COVID-19が諸国民の間を徘徊して恐怖をかき立てる妖怪なのだとすれば、〈感染症〉とは何よりも政治学の対象であって、医学と生物学の対象ではない。それは、チェルノブイリ原発、地球温暖化、エイズ、金融不安、テロ・ネットワークなど、次々に出没しては人々の脳髄を恐怖によって押さえつけて支配するスペクタクルの歴史にこそ位置づけられるべきものなのであり、医学史や環境史の一頁ではないのだ。」(本書より)

◎目次
第一章 感染症という妖怪
第二章 COVID‐19の誕生――パンデミック以前
第三章 コロナウイルスは存在する
第四章 感染源の図像学――クラスター対策とスーパースプレッダー
第五章 感染までのディスタンス
第六章 隔離・検疫の哲学と生政治
エピローグ 二〇〇九年には喜劇として、二〇二〇年には悲劇として
補論 感染症映画をみる

感想・レビュー・書評

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  • 筆者の美馬博士はCOVID-19による今の世界を単に医学的な立場からだけではなく、社会学的とも言える観点からも捉えて、ウイルス対人間という単純な図式を超えた構造(コンスティテューション)を理解しようとする。
    ウイルス対策は人個人の感染を防ぐ対策から、感染者、もしくは健常者であっても外部からの人の侵入を防ぐ国境での水際対策までさまざまなスケールのものがある一方で、ウィルスを悪として排除するかのように、感染者や自分の行動規則と異なる行動をする他者を排除=差別しようとする行動に至るなど、人、社会、国同士の対立につながるものがある。
    これからはエスカレートすれば人権侵害になるし、一部の国においては国の制度としてそれを許している事が問題視されながらも、ウイルス感染拡大への対策としては効果をあげているなどの皮肉な状況もある。
    美馬博士は今回のCOVID-19のパンデミックに至った経緯とそこで取られた対応を冷静に振り返り、過去のSARSや、スペイン風邪などの歴史も見返しながら、そこにおける生政治(バイオポリティクス)の状況を分析する。
    今の対策をとっている背景に過去のパンデミック対策の経験(成功体験と反省)があったりする一方で、それが強すぎて客観性を失って動いてしまったところなども明らかになってきて、、とても面白い。

  • h10-図書館2021-3-10 期限延4/7 読了4/5 返却4/9

  • 【琉球大学附属図書館OPACリンク】
    https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB31461020

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00275415

  • ◆10/18オンライン企画「なぜ人はあいまいさを嫌うのか〜コントロールしたい欲望を解き放つ〜」で紹介されています。
    https://www.youtube.com/watch?v=t2KA8IjVT9U&feature=youtu.be
    本の詳細
    http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b512224.html

  • 【OPACへのリンク先】【講座選定:救急医学講座】https://lib.asahikawa-med.ac.jp/opac/opac_details/?lang=0&amode=11&bibid=2000114907

  • 東2法経図・6F開架:498.6A/Mi31k//K

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著者プロフィール

美馬達哉(みま・たつや) 立命館大学先端総合学術研究科教授/脳神経内科医師。脳神経内科の臨床と同時に、社会学の手法で、医療や生に関わる人文学的研究を行う。近年は救急現場での患者選別(トリアージ)を調べている。著書に、『生を治める術としての近代医療―フーコー『監獄の誕生』を読み直す』(現代書館、2015年)、『感染症社会――アフターコロナの生政治』(人文書院、2020年)など。

「2022年 『自由に生きるための知性とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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