布団の中から蜂起せよ: アナーカ・フェミニズムのための断章

著者 :
  • 人文書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409241523

作品紹介・あらすじ

今、この人の話していること、聞かないとだめじゃないかな。
耳を傾けるだけじゃなくて。体ごと傾けて。
――斎藤真理子(翻訳家)推薦

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あなたに死なないでほしい。

家父長制、資本主義、天皇制に抗して、あらゆる生存のためになにができるのか、なにが言えるのか。金子文子やデヴィッド・グレーバーを参照軸に、アナーカ・フェミニストの立場からこのくにの歪みを抉り出す、ライター高島鈴の初エッセイ集。脈打つ言葉は、きっと誰かの心臓と共鳴する。

「どうせ生まれてしまったんだから、他人のために、少しでもこの世をマシな方向に動かそう。自分のために殺意を使うな。首にかかった手を外して、ゆっくりと社会に向かって拳を握り直そうではないか。いろいろなものに追い詰められて、布団の上に横たわったまま動けずにいる身体は、あなたの意志ひとつで蜂起に参画できる。私はあなたと、そういう戦いをしたいのである」(本文より)

◎目次
序章
第1章 アナーカ・フェミニズムの革命
第2章 蜂起せよ、〈姉妹たち〉
第3章 ルッキズムを否定する
第4章 布団の中から蜂起せよ――新自由主義と通俗道徳
第5章 動けない夜のために――メンタルヘルスと優生学
第6章 秩序を穿つ――ナショナリズム/天皇制に抗する
第7章 儀礼から遠く離れて
第8章 死者たちについて
終わりに
初出一覧

感想・レビュー・書評

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  • 高島鈴×北村紗衣トークイベント「布団の中から批評せよ」2022/12/10(土)17〜19時 – 本屋lighthouse
    https://books-lighthouse.com/portfolio/from-our-ofuton/

    高島鈴(Takashima Rin) – ALTSLUM
    https://altslum.com/takashima-rin/

    布団の中から蜂起せよ - 株式会社 人文書院
    http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b612114.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      布団から出られないあなたへ 「がんばらない」ことも抵抗になる:朝日新聞デジタル(有料記事)
      https://www.asahi.com/a...
      布団から出られないあなたへ 「がんばらない」ことも抵抗になる:朝日新聞デジタル(有料記事)
      https://www.asahi.com/articles/ASR18449HR15UPQJ00W.html

      書評「布団の中から蜂起せよ」 (高島鈴著) 生きることに難渋し正気保つ|信濃毎日新聞デジタル 信州・長野県のニュースサイト(有料会員記事)
      https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2023010600399
      2023/01/13
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「弱いまま生きていく」ということをまず肯定したい。高島鈴に聞くこれからの社会のこと | CINRA
      https://www.cinra.ne...
      「弱いまま生きていく」ということをまず肯定したい。高島鈴に聞くこれからの社会のこと | CINRA
      https://www.cinra.net/article/202305-rintakashima_iktaycl
      2023/05/26
  • 「今日もまた一日生き延びた」
    そんなことを思わせてくれる一冊だった。

    「生きづらい」という言葉が人口に膾炙して久しい。
    実際、生きづらい。
    税金はべらぼうに高いし、物価上昇は止まらないのに賃金は上がらないし、老後の不安は消えないし、差別は蔓延しているし、格差は広がる一方だし。

    だが、私はこの言葉が嫌いだ。
    少なくともすんなり口に出すことができず、ざらりとした違和感がある。
    諦めばかり感じられるから、我が身を憐れむばかりに思えるから、ありきたりな“キラキラ”に回収されて終わることが多いから、そう言いつつ「頑張ろうね」と個人の努力を請求してくるから……「生きづらい」と言おうとする度に何かが抜け落ちるような違和感がある。でも、実際、生きづらい。

    そんな葛藤をこの本は丹念に言葉していく。
    儀礼と「優しい」「美しい」言葉に流されそうになる時は、ただ布団の中に力なく寝そべるだけで既に抵抗だ。
    誰も殺さず、誰にも殺されず、日常の小さな違和感を言動に反映させることが蜂起の始まりだ。

    そう解釈した私は、筆者のサイン会で旧姓でサインされることを希望した。
    愛する人との生活と引き換えるかのように、家父長制が奪っていった私の名は金色のインクで書かれ、確かに輝いている。

  • 色々印象深いことばがあったのだけど、これは、その中のひとつ。
    「どのコップで入れた水がプールを決壊させるかわからないのだから、どんなコップも割らなくていい。」

  • 生存こそ抵抗
    高島鈴さんが苦しみながら生み出した言葉たちの凶々しいまでの鋭さは確実に希望だと思った。というか同じようなことを考えて、苦しんでいる人がいるんだという発見でもあった。
    特に三章、ルッキズムに関する章立てはハッとすることだらけで、自分の今までの鈍感さを恥じる。
    僕もアナーカ•フェミニストを名乗っていきたいと思います。自分の加害性も同時に引き受けた上で。

  • これを今読むべきかもしれないと思って読んだため、勇気づけられたり、考えさせられたり、共感したり、色々な感情が呼び起こされた。
    そして、もう少し頑張って生きてみても良いかもな、なんて思ったりもした。
    あと文章も書きたくなった。
    意外とやりたいことがあってまだまだ死ねないな、と思えたことが何より嬉しかった。

  • 全ての人とは分かり合えないし、自分も変えられなしし、誰かの為に自分を変えたくもない。

    ましてや他人なんて変えられないし、私のために変わって欲しくもない。

    世界は私にとって100%ではないけど、誰かと戦って何かを勝ち取る労力をかけるぐらいなら、自宅に引きこもって好きな本を読んでる時間を大切にしたい。

    人生で何かに成し遂げたい気持ちは全然なくて、いつか運命の人に、いつか運命の本に、いつか運命の料理に、いつか運命の何かに出会えたらいいなって思うけど、でも、それが成し遂げられなくても、きっとそれまでに出会った人たちで人生は満足するんだろう

    そんな私にこのエッセイで共感できる部分は全然といっていいほど少なかったです。

    それでも彼女の言いたい事は理解はできるし、きっと人は認めあうこともできる。

    わかりあうことはないだろうけど人は認め合うことはできる。

  • 弱者を弱者のまま受け入れるには、効率性とか達成といったマッチョさ(≒経済性、真性さ)から離れなければならない、という理解であっているのでしょうか。
    何もしなくても抵抗になる、だからこそ何もできなくても人は尊重されなければならない、という強烈な煽りを受け取りました。

    電車のルールの攪乱という章は個人的に興味深く、「誰にも迷惑をかけずにルールを破る人に驚愕しないという心構え」はルッキズムやジェンダー差別をしないための心の準備にもなりそうです。

  • アナーカ・フェミニズムの入門書としてすごく良くて、日々社会的なマイノリティとして上手く適合できずに布団の中から出れないでいる自分にとても刺さる本だった。エッセイ形式でどこから読んでも良い、というのもありがたい。

    家族というシステムに適合できないこと、通過的な儀式への参加を「しない」という事に強い意味を見出す社会。マッチョイズムへの批判。結局は対象と向き合いたくないという無責任な気持ちから生まれる野放図な殺意や好意。抽象的でふわっとした「善い」で包んで押し広げられるナショナリズム、「伝統」、家族主義……などなど。景観の、「日常に溶け込む」暴力性。意思表示する野良犬はいればいるほど良い事。「シスター」という、家族の中の血の繋がりを大事にした言葉で家父長制に対抗する空虚さ。でも性差別を打破するためには戦略的に「シスター」という言葉を書き換えながら利用していく必要があること。

    今羅列しただけでも、自分の中でずっともやもやと考えていた事象ばかりですごく勉強になった。付箋をたくさん貼ったし、また何度か読み直すと思う。

  • 私のための本だった。もやもやを抱えて、世の中の理不尽に抵抗したいとは思っていたものの、私には思想というものが無かった。いろいろ教わる事が多かった。
    いつも疲れて横になってるだけで、一貫した思想すらなくとも、生きるのが良い事と思えなくても、とりあえずほんの少しだけ生き延びることを目標にしようと思う。

  • 力強さに引き込まれてぐいぐいと読んでいった。力強くて尖ってるけど同時にとても優しい。
    最悪な社会に適応してうまくやっていくのではなくて、最悪な社会を揺るがしたいし変えたい。社会問題を個人の問題に矮小化したくない。もっと自分の力を信じてみたい。

    ----
    私の立場は一つではないし、私は立場だけで生きているわけでもない。
    成熟した人間でいたいし、そう見られたい。「かわいい女の子」が誰かの救いであろうと知っていてて、(私/俺/わし/自分/?)はどうにも「そう」じゃない。
    私は「女性が酒を注ぐ」表象になりたくない。

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著者プロフィール

高島 鈴(たかしま・りん)
1995年、東京都生まれ。ライター、アナーカ・フェミニスト。
ele-kingにてエッセイ「There are many many alternatives. 道なら腐るほどある」、『シモーヌ』(現代書館)にてエッセイ「シスター、狂っているのか?」を連載中。ほか、『文藝』(河出書房新社)、『ユリイカ』(青土社)、『週刊文春』(文藝春秋)、山下壮起・二木信編著『ヒップホップ・アナムネーシス』(新教出版社)に寄稿。CINRA、WEZZYなどウェブマガジンにも寄稿。

「2022年 『布団の中から蜂起せよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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