新・人間革命 (第24巻)

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  • 聖教新聞社出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784412014978

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  • 「母の詩」「厳護」「人間教育」「灯台」の4章からなる。

    「母の詩」の章の冒頭部分で、山本伸一とアンドレ・マルロー氏の対談「人間革命と人間の条件」ついて触れられる。本書は、両氏が1974.5と1975.5の二度対談した内容が収められたものである。

    マルロー氏は、フランスのド・ゴール政権下で文化相を務める等、行動する作家、戦う知識人と呼ばれた人物である。また、この対談には、日本のフランス文学の権威・桑原武夫氏も序文を寄せている。

    本書の中で、地球的、世界的課題に対し、マルロー氏が「行動の必要性」を説き、伸一は「エゴの克服」という視点を説いている。この「エゴの克服」という視点は、この第24巻全体を通して貫かれた重要なテーマであると感じた。

    伸一は自身の母親の死と向き合うなかで、自身の母を思うと同時に、世界中の母という存在について思いをはせ、母を讃える詩を創り、それを皆が歌える「母の曲」へと創り上げた。

    伸一には、この曲の入ったオルゴールをどうしても贈りたい人物がいた。故ラジフ・ガンジー元首相の妻ソニア夫人である。女性初の首相であった義母インディラ・ガンジーを銃弾で亡くし、そしてまた夫を爆弾テロで亡くした夫人に、同苦と激励の意味を込めて、「母の曲」と「人間革命」の曲が入ったオルゴールを贈ったのである。女性蔑視の歴史が根深いインドという国に「母」の偉大さを讃える曲を贈られた意義は深いと感じる。

    世界のすべての母が自身の母であり、すべての父が自身の父であり、すべての子どもが自身の子どもであるのだいうスケールで考える、伸一の境涯の偉大さを感じずにはいられない。

    「厳護」の章では、学会青年部の人材育成組織、「牙城会」「創価班」「白蓮グループ」の歴史や意義について述べられている。その中で、信心の上での重要なポイントが明確にされていく。

    ◆創価学会の信心になぜ大功徳、大福運があるのか。
    ①日蓮大聖人の御書に仰せの通りに実践し前進している唯一の団体である。
    ②財の供養という次元から見ても、仏法を守るために報恩と供養の誠を尽くしている団体である。
    ③法の供養、すなわち仏法上最も重要な折伏・弘教を命がけで推進している団体である。

    ◆本門とは何か
    ・仏が本地を表すということ
    ・地湧の菩薩として、創価後継の弟子として、広宣流布の本舞台に躍り出て、一切の責任を担っていくということ
    ・「理」から「事」に至ること
    ・決意や誓いを語っている時代から、現実に勝利の実証を示す時が来たということ

    ◆責任と一念について
    天候などの自然現象(不可抗力)でさえも自身の責任と捉える(「教主釈尊を動かし奉れば、ゆるがぬ草木やあるべき、さわがぬ水やあるべき」)。「これこそが山本伸一の生き方に他ならない」と述べられていた点が重要であると思った。

    ◆地湧の菩薩の本領とは何か
    ・誓願とは法華弘通なり
    ・広宣流布への誓願の唱題こそが大事
    ・「誓願」なき唱題は、地湧の菩薩の唱題ではない。この厳しいフレーズは重要。

    ◆宿命を劇的転換するには
    題目を唱えればもちろん功徳はある。しかし、”病気を治したい”という祈りが、深き使命感と一致していく時、自身の根本的な生命の変革。境涯革命、宿命の転換への力強い回転が始まる。広宣流布を誓願し、唱題に励むとき、自身の胸中に地湧の菩薩の大生命が湧現し、日蓮大聖人の御命が脈動して、己心の仏界が開かれるのである。そこに境涯革命があり、宿命の劇的な転換も可能になるのだ。

    ◆絶対的幸福とは
    有為転変する周りの条件に支配されるのではなく、自分が心に決めた使命、目的に向かって実践していくなかで生ずる生命自体の充実感、満足感です。ここで最も重要なことは、自分の定めた使命、目的が宇宙を貫く常住不変の法に合致していること。結論すれば、広宣流布の使命を自覚し、大願に生き抜く心にこそ、真実の絶対的幸福が築かれる。

    「人間教育」の章
    主に教育部の活動を通じて、「人間教育」について述べられている。

    教育部は1961.5.3に誕生した、教育者のグループである。1974.2.11には「人間教育研究会」が設立され、様々な現場での教育実践事例や、研究成果の発表が行われている。

    また1975年は「教育・家庭の年」とされ、大白蓮華1月号の巻頭言に、伸一の「教育」と題する詩が発表された。

    「子どもは我が所有物ではない」
    「子ども自身が所有者であり、ひいては人類共有の宝であるという尊敬の上に立った教育が時代転換のエネルギーとなるからだ」

    冒頭からするどい指摘であると思う。

    「人間教育」について、最後は、「結局は忍耐であり、執念であり、気迫であり、勇気だ」と結論づけられている。そしてこれは、教育に限るものではなく、すべての分野で勝利する秘訣であると述べられていた。

    最後の「灯台」の章では、前半、聖教新聞社の記者との語らいを通じて、不撓不屈の闘魂について学ぶことができる。後半では、1973.10.24に設立された「社会部」「団地部」「農村部(のちの農漁光部)」「専門部」の活動を通じて学ぶことができる。

    「社会部」の活動については、「開目抄」の「柱」「眼目」「大船」という言葉を通して、「会社を守っていこう」「会社を必ず発展させよう」「皆を幸福にしていこう」という精神をもつことの大切さが述べられていた。

    また「団地部」の活動については、「人ために火をともせば我がまへあきらかなるごとし」の御文のとおり、地域貢献の使命について示されていた。「地域の幸福責任者」という言葉は、この使命についてわかりやすく示されていると感じた。

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著者プロフィール

池田大作(いけだ・だいさく) 1928年、東京都生まれ。創価学会名誉会長/創価学会インタナショナル(SGI)会長。創価大学、アメリカ創価大学、創価学園、民主音楽協会、東京富士美術館、東洋哲学研究所、戸田記念国際平和研究所、池田国際対話センターなどを創立。『人間革命』(全12巻)、『新・人間革命』(全30巻)など著書多数。世界の識者と対話を重ね、『二十一世紀への対話』(A.J.トインビー)、『二十世紀の精神の教訓』(M.S.ゴルバチョフ)、『地球平和への探究』(J.ロートブラット)など多くの対談集を刊行。

「2023年 『完本 若き日の読書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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