5分間でいい声になる本 (プレイブックス 747)

著者 : 上野直樹

• 青春出版社 (1999年4月1日発売)

感想・レビュー・書評

[emumuemumuさんの感想 · 2009年5月20日]

　　　　　　1999年 4月10日第1刷　　　
　　　　　　2004年11月30日第7刷
著者の上野直樹さんは割り箸発声法の発案者である。


ヒタヒタと私にカラオケブームがやってきている。
私はクラシックで育ったので、ずっと裏声で歌っていた。裏声を磨き裏声を鍛え、良い声とともに高い声をだせるようになることで努力を評価される。訓練して、体や頭で響く良い「声」を探求してきた。
私の声域はソプラノに近いメゾソプラノ。イタリア歌曲が大好きだった。教育の成果で高い声は出せるようになったが、良い声は出なかった。
私の声帯には致命的な問題があった。裏声と地声の変わり目の3度ほど全く音程がとれない。音程がとれないというか、声がない。無声になってしまう。世の中の一番よくうたわれる音域の声が私にはないのだ。大げさに言えば、私のまわりには私が歌える曲が一曲もなかった。

学生時代それに気づいたので、試しにソルフェージュの試験の課題曲を、1オクターブ下の音域で地声で歌ってみた。ソルフェージュというのは、体操でいえば規定演技で、楽譜通りに歌えるかどうかの学問である。1オクターブ下で歌うと、音程もはずれず、声もしっかり出て響きもそこそこでとても気持ちよかった。私はすばらしく良い案だと思った。
しかし。
教授からしこたま怒られた。常識はずれだと。然り。
それ以来私は地声で歌わず、歌は、長い間の私のトラウマとなった。トラウマ時期でも必要があって訓練を重ねたが、この困難は克服できなかった。気がつくと、歌うことから遠ざかっていた。

昨年のことだ。
バッハのマタイ受難曲の「主よあわれみたまえ」という歌を、ユーチューブで見つけた。この曲は何十回と聴いていたのだが、動画で見た時、音痴である私がメロディーを口ずさんでいた。同時にあら〜歌えるじゃん！と思った。たまたま私の地声と裏声の変わるところが抜けている曲なのだった。
私は興奮した。どうしても歌いたくなり、楽譜はセットで何万円もしたので、聴き取って自分で楽譜をつくった。私は楽譜がないと歌えない。歌詞はドイツ語であるが、短い詞を繰り返しているので聞き取りやすかった。そしてユーチューブを見ながら練習をした。

自分の欠陥声帯で歌える歌があることを知った私は、演歌ならなにかあるはずだと思い立った。外国語がにがてなのである。うまいことに、ちまたでは私が歌えるいい曲がヒットしていた。『愛のままで』(2008年秋元順子）。オリコン1位。大変歌いやすい歌で、おばさん歌手というのもよかった。知らなかったが私の地声は思いのほか響いた。音痴からの脱出。

上野さんはいう、個性のあるいい声とは地声だと。
割り箸発声法とは、地声を素直に出す訓練である。
割り箸を１本ずつ奥歯でくわえて「い」といってみると、自分と他人の双方から聞いた良い「響き」がみつかる。読む前は眉唾ものだったがやってみると事実だった。自分の骨と肉にぶつかって出口をみつけていた息が、口から一気に外に向かって声となって出て行く。「密度」の高い声が出てびっくりした。割り箸を使わなくてもその声が出せるようにするのは、これからの私の課題である。

この本から私が学んだことは他にもある。
・響く地声で歌ってよい。
・口から息がぬけるように意識する。
・「あ」「う」をしっかり発音する。
・口の前のほうで歌う（クラシックは奥のほうででした）
・私は舌を奥に引っ込めている硬くする癖があるらしい、舌をリラックス
・引く声（蝋燭の火をゆらさない）の活用

カラオケマイブームは夫にも伝染し、
「おれ、お前の18番の『愛のままで』を取ってやるんだもんね〜」と意欲を見せはじめた。夫は声も音程もリズム感も良い。しかも頭がよい。歌と歌い方を知らないだけ。
深夜にユーチューブで夫婦で練習を重ねている。ほんとに取られそうだ。私は他の歌を求めて、昼の部もユーチューブを見るようになった。

[まぐろさんの感想 · 2005年8月9日]

家にある物で出来ちゃう練習方法やこんな声の出し方はダメと色んな内容がありますよ♪

[myrrhさんの感想 · 2005年1月29日]

５分でいい声になるのではなく、毎日５分ずつこつこつやっていくことでいい声になるのだと思いました。
でも、割り箸を使えば簡単にいい声を出せるやり方をやってみましたが、声に変化がありました。声の響きがよくなったです。私的には買いかと。