冥途の旅はなぜ四十九日なのか (青春新書INTELLIGENCE) (青春新書INTELLIGENCE 235)
- 青春出版社 (2009年5月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784413042352
感想・レビュー・書評
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仏教に含まれいる数学的な考え方や、その周辺の雑学について書かれた読み物。
数学的考えは、仏教世界の大きさを示したり、暦や建築に使われている。
初めて知って驚いたのだが、五重塔の心柱(大黒柱)は建物の中心に存在しているだけで、他の構造物とほとんど繋がっていないらしい。
日光東照宮の五重塔に至っては、心柱が上から吊るされて浮いているとのこと。
それが耐震構造になっていると。
昔の人はすごい。
当時の宗教は知性が集まる場所だったように思う。
仏教雑学に関心がある人におすすめです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
数学者が仏教を語るとこうなる、という本。
「十万億土」や、「弥勒による56億7千万年後の救済」といった途方もない巨大単位への想像力。
「曼陀羅に隠された黄金比」や、「薬師寺の設計に使われているサイクロイド曲線(最速降下曲線)」に見られる造形への感受性。
そして3×3(九品)、5×5(25菩薩)、7×7(49日)…などに見られる素数や乗数への傾斜。
仏教世界には、このように時には高等数学に属するような数の不思議が満ちている、というお話である。
ただしこれは、別に仏教世界がスゴイということではなく、人間の認識機構が宿命的に数学的な法則に繋がって行く、ということなんだろうな、きっと。 -
もう一歩踏み込みが足りない感じ.
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なせ、に答えてくれてない。
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兆・京・垓(がい)・秭(し)・穰(じょう)・溝(こう)・澗(かん)・正(せい)・載(さい)・極(ごく)・それ以上は仏教用語
信長 幸若舞の敦盛 人間50年→戦国時代の平均寿命は16歳位、大正時代でも40歳位
月の満ち欠け
月天子が月宮殿に住んでいる→仕えているのが天子(15人の白黒の羽衣天子が交代で働く)
羽衣伝説→天女が地上で水浴び 羽衣を隠される 羽衣を取り返し天に帰る。
九は本来縁起がいい 割り切れない、最大の数
五重塔の心柱 一本の木ではない→支える役割をしていない 積み重ねの構造→地震で各階が逆に揺れることで力を分散
除夜の鐘 6323→人間の感覚器官は六根(眼耳鼻舌身意)、三不同(好平嫌)、染と浄、三世
☆他の解釈もあり 六根に対して良・悪・平 六根の対象である六境(色・声・香・味・触・法)に対して苦・楽・捨 36×三世
怠け者の節句働き→しっかり働いていないと人が休むときに休めない。
節句 陽の数字(奇数)が重なった日
9月9日→菊の節句 本来、最強の日だが陰に変わるため役払いが必要 天武天皇の頃に菊花の宴
5 ローマ数字、漢数字でも棒を増やすことをやめる区切りの数→一目で理解できるぎりぎりの数
正五角形をなぜか美しいと感じる→黄金比率
平方数
1=1
1+3=4
1+3+5=9
1+3+5+7=16
1+3+5+7+9=25
洋の東西を問わず、2乗の数に正方形を感じ安定した気持ちを醸し出した。
審判を行う十王 7日ごと 7番目の太山王の審判
江戸のパズル 小町算 123-45-67+89=100 -
タイトルを見て(なぜだろう?)と思って読みました。
四十九日だけでなく、仏教界における数字の解説がなされています。
まず採り上げられたのが、信長の好んだ『敦盛』の「人生五十年」のくだり。
これは仏教観の中での話で、50yearsではないそうです。
当時の戦国時代の平均寿命は16歳で、五歳まで生きるのも大変なことだったとのこと。
その頃は理解できますが、大正時代まで、10歳までに25%が死亡し、大正時代でも平均寿命は40歳代だったと知って驚きました。
日本の平均寿命が50歳を超えたのは第二次世界大戦以降。
劇的に寿命が延びたことになります。
つい現代と同じ感覚で過去に思いを馳せがちですが、すべての生活習慣が変わったことを踏まえて歴史を顧みることが必要だと感じます。
日本では忌み数字である「九」は本来縁起のいい数字なのだというのは、意外でした。
二つに割れない奇数は吉であり、その中で最も大きな数字だからだそう。
重陽の節句が9/9なのも、意味があるのだと知ります。
仏教で用いられる数には、自然数の二乗数が多いという意見も新鮮でした。
四天王の4、九品仏の9、十六羅漢の16、二十五菩薩の25、不動明王三十六童子の36、四十九日の49、六十四転大劫(だいこう)の64、一会金剛界八十一尊曼荼羅の81。
確かにその通りです。
その理由は、精神的に落ち着くという作用を考慮したというところが大きいとのこと。
五芒星は清明桔梗であり、ソロモンの星。
また六芒星はダビデの星とされます。この辺りは自分の知識が足りないと思います。
興味が持てる内容だったので、類似本があったらさらに読んでみたいと思いました。 -
とても興味深い。
のだが、なんというか、とても惜しい書き方だと思った。もう一歩踏み込んで丁寧に書いてくれればよかったのだが「ここまで書けば分かるよね」とばかりに寸前のところで話題が閉じてしまう。残りは自分で調べろということか…。 -
テーマ性のある雑学の良書、といった印象。所々仏教と関係ない話題があったのも気にならない。特に北極星が年月によって変わるという事を恥ずかしながら初めて知って衝撃だった。
「そうなんだ!」が一杯で非常に面白い。 -
義兄がなくなってもうすぐ1ヶ月になろうとしている。
週末になると、少しづつ遺品を整理していたが、そろそろ話題は、納骨をいつにするかということに。
義父はまだしばらくいいだろうと言っている。
妻は四十九日がそろそろだという。
そして、なぜ四十九日なのかという話題に。
そんな中、新聞の広告で見つけた、「冥土の旅はなぜ四十九日なのか」というタイトル。
たまたま少し遠い客先に出かけたときに手持ちの本を読み終わってしまい、本屋に立ち寄ると、この本が。
実際には、数学者が仏教に出てくる数字を解き明かすという本なのだが、仏教と高度な数学がこんな風につながっているのかと、なんとなく不思議な感じ。
五重の塔はなぜ倒れないのか?
曼荼羅の不思議とは。
黄金比はなぜ黄金比なのか?
そして、べき乗数が持つ魅力などなど。
これまで無宗教=毛嫌いしていた辛気臭い宗教の世界だったが、こんなに奥が深いのかと妙に感心させられてしまった。
ただ、文中の言葉(主に神仏の名前だと思う)の意味がよくわからず、書いてあることの本当に深いところがいまいち理解できなかったのも事実。
それでも、いにしえの知恵と思慮深さを思い知った。
数学者が読み解く 冥土の旅はなぜ四十九日なのか