定年前後の「やってはいけない」 (青春新書インテリジェンス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413045384

作品紹介・あらすじ

「定年前」の常識は「定年後」の非常識!? 82歳にして現役のビジネスマンであり、これまでに3000人以上の再就職をサポートしてきた人材紹介のプロである著者が働き方から、お金、健康、人づきあいといった暮らし方まで、「定年後」うまくいく人、いかない人の違いを解説。人生100年時代を生きるためのヒント。

感想・レビュー・書評

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  • 最近、本屋では「定年」本がはやりのようだ。

    定年前後の「やってはいけない」というタイトル本の帯に、「×雇用延長で働く」「×資格・勉強に時間とお金を使う」「×過去の人脈で仕事を探す」とバッテンが並ぶ。

    少子高齢化の進展に従って厳しくなる年金財源の確保のため年金支給年齢が後ろへシフトした。従って従来の60歳定年では、定年退職後、年金受給までの収入ゼロの期間が発生する。

    これをフォローするため、高齢法は企業に、①定年を廃止するか、②定年年齢を引き上げるか、③雇用延長の制度を導入するか義務付けられている。

    当事者としては、退職後別の会社を見つけて再就職するか、それともその雇用継続の制度を利用して、同じ会社で働き続けるかを考えるものだ。

    単純な選択肢は、雇用延長でそのまま同じ会社に務める・・・だが、それは「×」という。ならば違う会社に再就職だ。再就職するなら、資格の一つもとっておいたほうが有利だろうと思うものだが、それも「×」。

    再就職はハローワークでイチから探すよりかは、これまでの人脈で探すのが有利ではと思うが、それも「×」だという。

    著者は人材紹介会社を経営しており、3000人以上の転職・再就職を斡旋しているいわばこの世界のプロであり、その経験からそのような提言を発している。

    その提言にすべて則って再就職に取り組めば、好条件で就職先が決まるのかと言えば、それは一切ない。これまでの肩書がどうあれ、再就職では給与の額にはこだわるなとキッパリ。定年前の常識は、定年後の非常識だとまでいう。これまでのこだわりを捨てよと。

    その他、人生の第2ハーフでは倹約生活を徹底して奨励している。そのための倹約の提案は、「それはあなたの考えで、人にわざわざ述べるようなことではないのでは?」と思えるようなことも列挙されている。合理的な考えであり、同調する人もおれば、違う意見の持ち主も多いだろう。見方によれば押しつけっぽい内容でもある。

    まぁ、だけど、著者の意見を鵜呑みにせず、自分で考えてアクションを考えてみたとしても、結局のところ著者のいうような行動を選びそうな気がする。

    「やってはいけないこと」をずらっと書いた後、最後に「やってほしいこと」のコーナーがあるが、これも自分で考えても「こうしたいな」と思うことが並んでいた。

  • 説得力のある文章で非常に役立った。
    金銭面では決してバラ色ではないが考え方を変える事でまあまあ、、、の定年後を送れるように思う。
    具体的にやる事、やってはいけない事が記載されていた。
    私も資格はいくつか取得したが医者、弁護士と異なり仕事に直結する資格ではない。
    資格取得は金銭的な対価をもたらさなかったが学びが深まるよい機会になったと思う。それ以上でもそれ以下でもない。

  • 「定年前後」とありますが、定年雇用制度がなくなりつつあるこのご時世、退職年代の人以外にもヒントになる内容です。

    退職するということは、仕事を通じた社会とのつながりがなくなること。
    その後どのように有意義な生活を送るかは、新たな別の社会の中に入っていけるかにかかっているそうです。

    十分働いてきた高齢者にとっての幸せは「お金」ではなく「社会とのつながり」から得られるもの。
    バリバリ働いてきたビジネスマンにとって、生活上のプライオリティの変換を行うことになります。
    「もうビジネス書は読まなくていい。」という一文が印象的でした。

    老後の幸せのために働いてきたようなところもあるのに、働くことを止めてしまったために不幸になるのは、本末転倒。

    幸せであるために、仕事を介さない社会とのつながりを持つことが必要になります。
    家に閉じこもってTVばかり見ているのは心身によくないもの。
    趣味などのつながりで、社会との関係を続けていくことの大切さがアドバイス的に語られています。

  • 著者は、伊藤忠、ソニー等で働き、ソニーでは常務取締役や、子会社の社長、会長、顧問を歴任し、その後はプロ経営幹部の派遣・紹介を行う会社を設立した人。本書出版時の2018年時点で何と83歳(!)だが、現役のビジネスマンである。
    そんな著者が3000人に及ぶ再就職希望者をサポートして見えてきた、定年前後でやってはいけないことを中心に心が目を記したものが本書である。
    著者は人生100年時代と言われる現在、90歳まで働くことを目標とし、働き方も45歳までを「第一ハーフ」、残り90歳までを「第二ハーフ」と二つに分け働き方を考えるべきであると主張する。
    その観点から言えば、本書は第2ハーフに入った人だけではなく、まだ第一ハーフにいる人たちにこそ読んでほしい本である。
    もちろん、定年前後の人たちが本書の第一ターゲットであり、著者の実体験に基づく数々の定年前後の戒めが記載されているので、第二ハーフの人たちにすぐ役立つ実用書として非常に有用性が高い書となっている。
    厳しい話が多いが、現実を理解するためにも全サラリーマン必読の書である。

  • 人生100年時代とか、65歳まで完全現役で勤務すべき時代だとか、この数年でよく言われるようになったと思います。私が社会人になった平成元年頃は、60歳まで働いて、その後は一部の人(子会社に移るような人)を除いては、年金をもらいながらひっそりと暮らしていたように思います。

    年金制度が崩壊する等と言われていますが、年金受給開始時期が遅くなり、年金受給額が削減されたのは事実で、今の人口構成を見ると、さらに変わる可能性もあります。

    そういう状況なので、雇用延長で働くべき、資格や勉強を取って次の就職に備える、働くとしても過去の人脈を利用する等、これらは有効であると思ってきました。ところが、この本の帯に「すべきでない!」と書かれていて、頭から水をかけられた気分になりました。それも定年前後にそれをしてはいけないので、時間も限られていると思います。自分の考え方を見直す必要性を感じた、衝撃的な本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・定年後に仕事をせずに暮らしていくための「老後に必要なお金」を計算するよりも、少しでも働いて日々の生活費を稼ぎ、これから先の人生に楽しみを見出していく方が、ずっと幸せになれる(p5)

    ・45歳を過ぎる(第2ハーフを過ぎる)と、新しい能力はほとんど身につかない、その代わりに、いまある能力を磨いたり熟成させることはできる(p25)

    ・第1ハーフの競争社会から、第2ハーフの「共存社会」へと意識を切り替え、元気なうちは働き続ける、そうすれば健康にもつながり、経済的な不安も解消されるだろう(p28)

    ・高い実務能力を持つ一方、ほかの社員にも指導もできる人材を「実務コンサルタント」呼び、経営者からそのように認められれば、何かと頼りにされる(p33)

    ・最初に好待遇を望み、それが叶わないとわかると少しずつ条件を下げていく方法は、無駄に仕事ブランクを長引かせるだけで得策でない、ブランクは人材としての市場価値が落ちる(p36)

    ・企業が欲しいのは、自分で新たに何かを作ることができる人、である(p42)

    ・個人事業主のようにいくつかの仕事を掛け持ちして収入を増やすのを推奨しているが、起業だけは決してお薦めしない(p71)

    ・定年後の仕事は、「選手からコーチ」のように、近い領域にばかりこだわる必要はない、定年前までに身に付けたスキル、経験の延長線上で、できる仕事を探すようにする(p76)

    ・定年後の仕事のキーワードは、安い・やめない・休まない、に加えて、コミュニケーション能力の高さ(p84)

    ・3回転職すると、書類審査さえも通過できない、この傾向はこの10年で顕著になってきた(p86)

    ・日本老年学会が、高齢者の定義を、いままでの65歳から75歳に変更した、2017年5月、自民党の一億総活躍推進本部が「65歳までは完全現役、70歳まではほぼ現役」という提言を発表した(p111)

    ・定年退職後の生活費は月平均で27万、30年間で1億円かかるが、そのうち5000-8000万円は公的年金で賄える。不足分の2000-5000万円をあらかじめ貯金しておくという発想は、良くない(p117)

    ・すぐに次が決まる人は、あれこれ情報を聞くのではなく、相手の会社名とポジションの情報だけを知って、あとはその会社、求められる能力までを自分で調べる(p145)

    ・第2ハーフの勉強は、趣味と割り切る、政府は「いくつになっても学べる」というが、ここで想定しているのは、第1ハーフ(45歳まで)の社会人を指している(p146、151)

    2018年6月10日作成

  • ソニーの元役員が書いた本。やや上からの断定的な物言いが鼻につくが、人生を第1ハーフと第2ハーフに分けて考えるところや、第2ハーフでの仕事の選び方、暮らしの見直し方などは共感出来た。

  • 長寿は是が非かが分からないのです。

  • 第二は共創 人のために

  • 現職(社名や役職)に固執する人ほど転職がうまくいかない。新しいことを覚えられて体もよく動くのは45歳まで。そこからゆっくり退職後に働ける第2の職場を探し始めるのがいい。老後に起業してはいけない。

    立派な経歴を持ってしても、再就職に苦労した筆者と、そこからリタイア人材の派遣業を立ち上げた経験と実績に基づく仕事とお金の話。一読の価値ありありあり。

  • 働くことは傍を楽にすること、傍を楽しくすること。定年後は報酬にこだわらず、誰かの役に立つという幸せだけを追求して働ける。社会に貢献しながら自分がやりたいことができる幸せを感じて生きて行きたい。

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著者プロフィール

1935年生まれ。株式会社CEAFOM代表取締役社長。
一橋大学経済学部卒業後、伊藤忠商事を経て、1959年ソニー入社。73年米国のシンガー社に転職後、81年ソニーに再入社、85年取締役、90年常務取締役、95年ソニーPCL社長、2000年同社会長、02年ソニー顧問を歴任。04年、プロ経営幹部を紹介する株式会社CEAFOMを設立し、代表取締役に就任する。人材紹介業をおこなう傍ら、これまでに5000人以上の定年退職者をサポート。著書に、ベストセラーとなった『定年前後の「やってはいけない」』ほか、『転職の「やってはいけない」』『定年格差』(小社刊)などがある。

「2023年 『ソニー創業者の側近が今こそ伝えたい 井深大と盛田昭夫 仕事と人生を切り拓く力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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