ロジャーズ選集(下):カウンセラーなら一度は読んでおきたい厳選33論文

著者 :
制作 : H.カーシェンバウム  V.L.ヘンダーソン 
  • 誠信書房
4.21
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本棚登録 : 57
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784414302929

感想・レビュー・書評

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  • ・生徒がただたんに理解されているというだけで―評価もされず、判定もされず、教師の観点からではなくその生徒自身の観点から理解された場合に―それをいかに深く感謝しているか。

  • 目次だけ見ると、上巻よりも興味と期待が低いところから読み始めたが、読後感は素晴らしいの一言に尽きる。

    心理学なかんずく人間中心療法から発展したエンカウンターグループの可能性を十二分に見出せたし、それは単なる心理療法の枠を超えて、国家や人類の運命をもにないゆくものだった。

    なぜロジャーズがノーベル平和賞の候補者にノミネートされたかが下巻を読んで初めて分かった。

    彼の思想、業績は、心理学だけでなく、人類の遺産といっていいと思う。

  • ロジャーズは、カウンセリングを通して自分が発見した人間の本性、そしてその本性を豊かに引き出すための関わりのあり方、聴く姿勢を、心理学的問題へのカウンセリングという領域をはるかに超えて、教育や異文化交流の分野に持ち込み、実践した。
    その仕事がいかに革命的で巨大な志に貫かれていたかを、明瞭に示す論文集。
    彼が心理学の世界で初めてノーベル平和賞にノミネートされた理由がよく分かる。

  • ロジャーズという人がどんな人かを知る上巻、下巻では彼が世界をどのように見ていてどんな世界が理想であるかを知る。

    傾聴、受容、主体性を認められること、それらを実現するための心からの配慮‥人間として生きるに必要なことで、対話を促進させるに値することであるし、「コミュニケーションの促進」はあらゆる対立しているものごとを、平和的に解決する重要な手立てであることー。そして文化、民族、国籍、人種、そういった相違を超えた人間性を見い出しており(ダーウィンを思い出す)それは今の地球にも、もちろん必要なことなのだと思う。

    だけど、私は世界を俯瞰してみることは難しいしできそうにない。だからロジャーズの考える「世界」をそのまま消化できそうにないな、というのが感想かも。

    「私たちの未来の生き方や教育は、現実は人間の数ほどあるという仮説に基づかなければならないし、この仮説を受け入れて、そこから出発することを最優先させなければならないと思う。」(p.212)誰に委ねることなく私を生きること、それを自立というのかな、今の地球はずっとそれかしやすくなったな、と思う。

  •  上巻では、個人カウンセリングに関する論文が中心だったが、下巻では、学校や社会、そして世界へと視野が広がっている。そのため、思想的な色合いが上巻よりも濃くなっているといえる。ある種の理想論が繰り広げられているために、読者を選ぶ内容のように思う。ただ、その方向性というのは人類が根底に望んでいる普遍的な理想でもあるように感じられた。そういった意味では、とても学ぶところの多い一冊だった。
     個人的には『第Ⅷ部 人間論』に感銘を受けた。対人援助を行う上で理論は重要であると思うが、このようなロジャーズの考えに触れておくことは決してマイナスにはならないように思う。そして、妄信的にロジャーズの考えに従うのではなく、自分なりの答えを出していくことこそが大切なのだろうとも思った。

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