自衛隊最強の部隊へ-戦法開発・模擬戦闘編: 敵の戦闘重心を打ち砕く”勝つため”の戦い方

著者 :
  • 誠文堂新光社
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784416520581

作品紹介・あらすじ

(まえがきより抜粋)
私が連隊長を務めた福岡県北九州市小倉に所在する第40普通科連隊は、ガンハンドリング・インストラクターのナガタ・イチロー氏からCQB技術を学び、市街地戦闘や小部隊の戦闘において高いレベルを保持していました(『自衛隊最強の部隊へ-CQB・ガンハンドリング編』参照)。
同時期に、S氏を中心とするスカウト・インストラクターチームから、スカウトの技術も学び、敵に見つからない動き、偵察技術を身に付けました(『自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編』参照)。スカウトの技術は、他部隊にはほとんど広めていません。当時、他部隊がなかなか40連隊に追いつけなかったのは、40連隊がCQB技術とスカウトの技術を融合させていたからです。
しかし、40連隊が全力で取り組んでいたものは、高強度の戦闘や火力戦闘であり、戦闘における戦法の開発だったことは、あまり知られていません。
40連隊が一番得意なものは、戦車、特科火力を組み込んだ高強度の戦闘です。CQBとスカウトの技術を学ぶことにより、隊員個々の戦闘技術・情報収集能力を向上させ、高強度戦闘能力全体のレベルを上げ、40連隊としての新たな戦法の開発を第1の目標としました。
戦法開発後、新たな戦法を駆使して連戦連勝のFTC対抗部隊を撃破することが、次の目標です。さらにその先の目標は、編み出した戦法を陸上自衛隊へ普及することです。連隊長でいられる時間は、通常2年でそんなに長い時間ではありません。どこまでいけるか、時間との戦いでした。

本書は、福岡県北九州市の小倉駐屯地に駐屯する第40普通科連隊が、真に、戦場で必要となる戦法の開発経緯、そして、実際にその戦法を用いた連隊規模での模擬戦闘を記録した電子書籍『戦闘重心を破壊せよ―40連隊の新戦法―PART.1』、『戦闘重心を破壊せよ―40連隊の新戦法―PART.1』の2冊を合本・再編集したものです。
どうしたら強くなれるのか…、その答えを求めて訓練に明け暮れた陸上自衛隊・第一線部隊の記録です。

感想・レビュー・書評

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  • 借りたもの。
    自衛隊の模擬戦闘の中で、いかに戦術を練り上げ更新しているかを書いた一冊。
    同著『自衛隊最強の部隊へ』シリーズ第3弾。
    世界の最新の戦術や戦略を取り入れてく話かと思ったが、ちょっと違った。
    富士トレーニングセンターの対抗部隊(FTC)に対抗するため、現代版LRRPを駆使し、40連隊がどの様に戦法開発をしていったかをまとめたもの。

    伊藤祐靖『国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動』( https://booklog.jp/item/1/4166610694 )が懸念していた、実戦を想定した訓練……それがようやく実現していると思った。
    反復する日々の身体、技術鍛錬精進と、形骸化しマンネリ化する訓練は全く異なることを意識させられた。

    この本で何度も復唱され、その重要度を意識させられる、「情報」。
    それは指揮官だけに留まらず、展開する小隊、斥候……隊の全てにとって大切であることを痛感する。
    火力が不利であったり、防御戦闘であれば尚更。
    ジョン・キーガン『情報と戦争-古代からナポレオン戦争、南北戦争、二度の世界大戦、現代まで』( https://booklog.jp/item/1/4120051285 )でも、実際の戦争でそれが重要であることがわかる。(圧倒的な物量が、結局は勝敗を分けるけれども)

    後半の模擬戦闘のシーンは、映画でよくあるシチュエーション――激戦地を駆け抜ける小隊の姿――とは異なる。戦局を判断し部隊に指示する指揮官の視点。手に汗握る展開に読んでいて緊張感が伝わってくる。「勝つ」ための情報戦、勝機を掴む判断力……前半まで丁寧に語られたことが実を結んでゆく様に、感嘆する。
    敵の斥候を叩き情報収集させず、通信を叩き情報を伝えさせず、通信できず混乱する敵部隊を特科部隊で叩く……そのための部隊の動き。
    しかし何というか…こうした前線に立つ小隊ばかりでなく、背後をどう守っているか気になるところ。それは機密?

  • 学ぶことやその学びから実践することで、いままで出来なかったことが出来るようになったり、出来てたことが出来なくなったりと色んな経験でき、それが変化なのだと言うことを感じさせられました。
    この書籍は自衛隊に置いてのそういった変化の記録であり、自衛隊の習慣や幹部の重要視していることがなんなのかがわかる書籍であった。
    結構読みやすいので自衛官はもちろんのこと、一つの教養と読むには面白いと考えます。

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著者プロフィール

■二見 龍(フタミ リュウ)
元陸上自衛隊幹部。現在は民間企業に勤めながらブログやSNS、ユーチューブでの情報発信から書籍の執筆まで、多岐にわたり活動している。

「2022年 『君にもできる刃物犯罪対処マニュアル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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