粘菌 知性のはじまりとそのサイエンス: 特徴から研究の歴史、動画撮影法、アート、人工知能への応用まで
- 誠文堂新光社 (2017年12月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784416717202
作品紹介・あらすじ
脳や神経をもたない単細胞生物でありながら、外的刺激に対して複雑な行動様式を示す粘菌(変形菌)。
その特異なふるまいは、コンピューターサイエンスや人工知能研究の黎明期から
科学者たちを悩ませてきた「単一始点最短経路問題」に最適な解を与えうる能力をもつことで注目を集めた。
この驚くべき生物が、どのようにして無数の色や形へと変身をとげるのか、
その体内でどのような化学反応がおき、多様な行動・判断を生み出しているのか、
その情報処理システムには、まだ多くの謎が残されている。
本書は、サイエンスドキュメンタリーフィルム『The Creeping Garden』の製作を通して、
2人の英国人がどのように研究を深めていったかを描き出す。
その過程で粘菌研究の歴史や、現在第一線で活躍する科学者たちの研究をふまえ、
粘菌を応用したコンピュータや人工知能、ウェアラブルデバイスなどの取り組みについても紹介する。
巻末には、粘菌を活用した研究で2度のイグ・ノーベル賞を受賞した中垣俊之博士と、
現在日本の変形菌研究をリードする川上新一博士による対談も収録。
感想・レビュー・書評
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皆さんは「The Creeping Garden」という映画をご存知でしょうか。と問いかけると、さも私は存じているかのようですが、寡聞にして本書を読むまで存じ上げませんでした。本書を読むと、粘菌を題材にドキュメンタリーを撮ったイギリスの映画監督の、粘菌に対する情熱をヒシヒシと感じることができます。また個人的に本書から、「実は日本・日本人が粘菌に対して古くから興味をもち、研究を重ねてきた」ということを逆に教えていただきました。「これから粘菌に触れてみよう」という初心者の方から、「粘菌?割と知ってるよ」という玄人の方まで楽しめる本だと思います。ぜひご一読ください。
(生命理工学コース M2)詳細をみるコメント0件をすべて表示