- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784418113170
作品紹介・あらすじ
120のオリジナルレシピ、写真家ジャン=ブレーズ・アルによる44枚の料理や素材のカラー写真。「エクスプレス」誌記者、フランソワ=レジス・ゴードリーとの会話を収録。「グルマン世界料理本大賞」グランプリ、「ウジェニー・ブラジエ賞」グランプリW受賞。
感想・レビュー・書評
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目が驚き、こころが喜ぶ美しさの料理。彼女がどんな過程を経て、これらの料理を作るのに行き着いたのか、コルドン・ブルーで学び、三つ星レストランのスーシェフ、世界のセレブをもてなす出張料理、フォションの調理のディレクタ。結果、激務のため体調を崩し、そこからまた新たなる世界の料理に目を向けていることだろう。
レシピの内容はフレンチのプロフェッショナル向き。世界のフレンチのシェフが読む本である。日本で手に入らない食材も多用、写真は多くないが、絵を描くような美しさのあるプレート。
ぽん酢についての説明(なければビネガーと醤油を合わせたもので代用)もあるところから、もともとはフランス語の本の翻訳であることに気がつく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「世界的な料理家・狐野扶実子さんの料理人生の始まりとは」
今回お届けするのは、知る人ぞ知る世界的な料理家・狐野扶実子(この・ふみこ)さんのお話。彼女はパリの三ツ星レストラン、アラン・パッサール「アルページュ」の総シェフ代理から世界中のVIPを顧客に持つ出張料理人となり、パリの老舗「フォション」エグゼクティブ・シェフを務めました。
輝かしい経歴を持つ料理人になった彼女を突き動かしたものは何か。そんな料理人になる人にはどのような素養があったのか、紐解いていきましょう。
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扶実子が毎日学校に携えて行ったお弁当に欠かさず入っていた、味つけがまるでないゆでほうれん草の話は禁物だ。それは悪夢のような記憶として彼女の脳裏に焼きついているから。が、東京の大叔父(東京・練馬で野菜とハーブを育てていた)が作ってくれたきのこごはんや、鯖寿司を思い出し始めた途端に彼女の笑みは戻ってくる。これは、特筆すべきポイントだ。
とても小さな頃から、扶実子は味覚の研ぎすまされた少女だった。大叔父が日々淡々と作ってくれた、健やかでフレッシュな料理を幸せいっぱいについばんでは、中でももっとも大胆な味覚の調和に恍惚(こうこつ)とし、食いしん坊の小さな儀式をこしらえては、夢中になった……。
たとえば、庭でもぎ取ったばかりのスイートコーンの穂:その皮をむき、<<皮とひげ>>を大切に取り置き、それらを使って自分で刷毛(はけ)を作り、醤油と酒とみりんで作ったタレを炭火の上でとうもろこしに塗りかけたり。
また、茎の下のほうから手折り、かりかりの花のところまで歯の間を滑らせて食感と香りを味わった紫蘇(しそ)の花、その天ぷら……。ほかにも、家庭の味の象徴といえば、かの:ねこまんまがある。文字通り<<猫のごはん>>だ。
菜園の野菜を料理した時の残りの皮と、天ぷらをした後に残った揚げ玉を、少量のごはんと溶き卵入りの出汁にぱっと全部放り込む。
<<これらの気ままで自由な料理のすべては、レシピに書き表すことはできないけれど、その精神と心意気は、私の料理の根底を支え続けているのです>>。
~『LA CUISINE DE FUMIKO フミコの120皿』(狐野扶実子)より
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特別なことがある人だけが特別なわけではありません。その人を動かすきっかけがあり、その人が動くことを選んだかどうか(あるいは逆を)でしかありません。そして、狐野さんは、動いた。ただ、それだけなのです。
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「いつもの材料・いつもの味をとびきり美味しくする、スープとサラダのレシピ」
家で作るスープとサラダにはそれぞれ定番があると思います。極論すると、どんな野菜を使っても同じ味になることもあり。それをなじみの味と思って満足することもあれば、違う味を食べたいと思うことともありますよね。
今回お届けするのはいつもの材料なのに、とびきり美味しくできるスープとサラダのレシピ。ひと手間はかかりますが、目が醒めるくらい美味しくできますよ。レシピはフランスでその名を成した一流シェフ、狐野扶実子さんのレシピより。
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[雲のように軽やかな、新小玉葱のスープ]
☆準備:10分、調理:20分
■材料(4人分)
新小玉葱(茎を除く) 300g
有塩バター 40g
牛乳(低脂肪) 400ml
塩
■作り方
[1]新小玉葱の皮をむき、スライスする。
[2]厚手の深鍋に有塩バターを溶かし、スライスした玉葱を加える。玉葱がやわらかく、半透明になるまで、弱火でゆっくり炒める。
[3]温めた牛乳を加え、塩で調味する。
[4]クリーム状にムースが泡立つまでミキサーにかける。
[5]小さなボウルに入れて、熱いうちに食卓へ。
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[焼き茄子のサラダ、ヨーグルトソース]
☆準備:10分、調理:10分
■材料(4人分)
茄子 8本
E.V.オリーブオイル(※) ディナースプーン3~4杯
レモン 1/2個
ギリシャ風ヨーグルト(クリーミーなもの) ディナースプーン4杯
塩 少々
白胡椒(挽き) 少々
ざくろの実 1/4~1/2個
※E.V.オリーブオイル……エクストラヴァージンオイルの略。
■作り方
[1]ギリシャ風ヨーグルトは塩、白胡椒で軽く味をつけて冷やしておく(A)。
[2]茄子は直火にかけ、焼き茄子の要領で皮を焦がし、茄子の身に火を通す。熱いうちに皮をむき、ナイフの先を使って縦に裂く。軽く塩をふり、E.V.オリーブオイルをかけ、冷やしておく。
[3]冷たくなったところで、(A)のヨーグルトソースと和え、器に盛り、ざくろの実をふりかける。
[4]全体にE.V.オリーブオイルと塩、白胡椒を軽くふる。トーストしたピタパンなどを添える。
~『LA CUISINE DE FUMIKO フミコの120皿』(狐野扶実子)より
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狐野扶実子さんが料理をされる際は、どう調理すると美味しくできるかを考えるために“食材の声を聴く”のだそうです。ちょっとおしゃれなこのレシピ、味はもちろん、気分転換にもおすすめのレシピです。