- Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
- / ISBN・EAN: 9784422113333
感想・レビュー・書評
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マイケル・ホワイトと一緒にナラティヴ・アプローチを開発したデイヴィッド・エプストンの本。エプストンの単著で役されているのはこれだけなのかな?
ケースの紹介以外のところは、かなり読みにくいホワイトと比べると、だいぶ読みやすいかな?
とくに最初の数章は個人的なエピソードとかが紹介されていて、ユーモラスで、心温まる感じ。
が、章が進むにつれ、だんだん状況がわからなくなっていく?そこまで難しいわけではないんだけど、1991〜1996年に発表された論文やエッセイーを集めたものなので、やや全体が見えにくくなる感じかな?
ある程度、ナラティブ・セラピーを実践したことがある人向けの本という印象かな?
最後に面白そうなエクササイズものっていて、ちょっと試してみたい感じはした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ナラティヴ・セラピーの大家、エプストンの論文集
語りを治療へ。そこへの変化、手法が鮮やかに描き出されている。特に彼らは「外在化」手法をとても大事にしている。いつだったか読んだM,Whiteの著作では、外在化が、精神分析の批判と言ってるのに、精神分析のようで投げ出してしまった。だが、外在化とは社会や外部のせいにしてしまうのではなく、ひとえに問題を問題として切り離すということなのだとわかった。しかも、問題に名前を付けるのは、クライアントの語りの中にちりばめられたメタファーからだ。
そう気付くと、ナラティヴ・セラピーのやっていることは、短期療法のそれとなんら変わりがない。ただ、do differentをalternative story と呼んでいるかどうかだけだ。また、エプストンの書く手紙は、セラピストがセラピーの中で頭の中で行っていることを文字化したものだ。聞いてすぐに整理することが難しくても、手紙なら整理して確認することができる。だが、手紙は単なるセラピーの記録ではない。手紙の中にさえも、エプストンは様々な工夫を凝らしている。質問だったり課題だったり、クライアントの語りから見いだされたメタファーだったり…
物語療法が物語である所以は、たぶんこういうところにあるのだと思う。