- Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
- / ISBN・EAN: 9784422114606
作品紹介・あらすじ
心理相談や学校教育、医療・福祉現場など、あらゆる対人援助で必須となる“傾聴”スピリット。いまや常識ともなった“傾聴”の根底にある、聴き手の「受容と共感そして自己一致」を、まったくの初心者にも必ずわかる導入と、経験豊かな援助職にも味わえる探究で、徹底解説した三分冊。どのような場面でも参照できるよう、どこまでも実践に即して見渡された、総合ガイダンス! ――第3弾は「共感的理解:わかること」について。
感想・レビュー・書評
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アカデミック寄りというか、浅学の身には、「なるほど参考になる」と思うレベルで落とし込めることは少なかった。そんな中で、永野浩二先生の『feelingをベースとする共感的理解』は面白かった。
俺は"頭デッカチ"の権化のような存在であり、感情の理解、そもそも「感じること」が苦手なので、フォーカシングのフェルトセンスとか言われても何も感じず、理解に苦しむわけであるが、上記の文章はそれをロジックで説明されていて助かった。
ロジャーズとジェンドリンが、何となく共通の視野からつながった気がする。
たまにこういう「掘り出し物」に当たることがあるので、やめられない。広く貪欲に目を通すべき、と感じた次第である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「共感的理解」は共感、同意、理解のいずれでもなく、「あたかも…のように」理解することを、本書で学ぶことができる。
カウンセラーがクライエントを通して、言語的な体験と非言語的な体験をし、カウンセラー自身を見失わずに支え続けることで、クライエントの変容へと繋がったケースが読める。
「共感的理解」は、目に見えないところで、ゆっくりと確実にクライエントに伝わることを忘れないようにしたい。 -
〈共感〉とは
他者の主観的世界に入り,
…そこで感じられる意味に敏感であり,
…その正確さを相手に確かめながら,
その反応に導かれながらついていくこと。
―――
P17
クライエントの話は大きな木。その大きな木の頭が水面に見えている。その水が濁っていると水底にあるかもしれない根っこは見えない。水面に見えている木の頭を見て,「緑がある」って思う。しかし,緑があるということは,その下に幹があり,根っこがあるかもしれないという考えがあっても良いのである。もし水が澄んでいたら,水底が見え,あるかもしれない根っこまでの幹の様子が分かる。
P18
水が透明であるためには,ここにある木の存在を受け入れることが大切である。そして,そこに漂う水を理解すること,知ること,分かろうとすることが大切になってくる…
P37
[気質]を「心の利き手」と表現することもあるが,まさに言い得て妙である。気がつくと使っている心の動かし方,自分の有り様のようなものが,[気質]であり,本人はそれを個性だとすら認識していないことが多いのである。