SNSの哲学: リアルとオンラインのあいだ (シリーズ「あいだで考える」)

著者 :
  • 創元社
3.47
  • (9)
  • (26)
  • (29)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 483
感想 : 47
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422130118

作品紹介・あらすじ

シリーズ「あいだで考える」創刊!

不確かな時代を共に生きていくために必要な
「自ら考える力」
「他者と対話する力」
「遠い世界を想像する力」
を養う多様な視点を提供する、
10代以上すべての人のための人文書のシリーズ。



『SNSの哲学――リアルとオンラインのあいだ』

10代の生活にすっかり溶け込んでいるSNSの利用をめぐるさまざまな現象――「ブロックする」「拡散する」「死後に残るアカウント」など――を哲学の視点から捉え直し、この世界と自分自身への新しい視点を提供する。若い読者に「物事を哲学によって考える」ことの面白さと大切さを実践的に示す一冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【シリーズ「あいだで考える」】戸谷洋志『SNSの哲学――リアルとオンラインのあいだ』の「はじめに」を公開します|創元社note部|note
    https://note.com/sogensha/n/n0a1935c18a68

    書籍詳細 - SNSの哲学 - 創元社
    https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4572

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      クリーンヒット『SNSの哲学』 | 教文館ナルニア国
      https://onl.bz/TWXiPqb
      クリーンヒット『SNSの哲学』 | 教文館ナルニア国
      https://onl.bz/TWXiPqb
      2023/11/09
  • SNSの使い方(依存しないように生活の中での使い方を考えよう/セキュリティを意識しよう)についての本ではなく、私たちの生活の中にすでに溶け込んでいる(分離して考えることが困難な)SNSという媒体と、それを利用しながら(SNSとともに)生きるとはどういうことか、ということをヘーゲルやハイデガー、アーレントなどの哲学者の思考を組み入れながら分析・考察している本です。

    「SNSについて」を主題としている書籍、というよりも現代のわれわれの生き方について改めて哲学適任考えることが主題になっているように思います。その思考のとっかかりとして、SNSを取り上げている、という印象でしょうか。
    古典的な哲学書を読むとき、現在の自分が置かれている状況と照らし合わせながら読むことが難しいと感じることが少なくありませんが、SNSを切り口に話が進みますから、「自分事」としてとらえることがしやすいように思います。

    特に第一章で取り上げられているSNSでの承認(いいね!をもらうこと)への考察はなるほど、と思わせるものでした。他人から「いいね!」をもらおうとして、自分を「演出」すること(=本来の「自分らしさ」からの乖離)や、お互いに「いいね!」を送り合うために他人の投稿に過剰に反応する事(依存)など、人によっては耳が痛くなるような私的なのではないかと思います。

  • リアルとオンラインの間。
    SNS疲れは承認欲求によるもので、不安、無理をすること、他律性が原因。
    ヘーゲルの相互承認(役に立つかは関係なくわたしはあなたと関わっていきたい)の実現を目指すこと。
    SNSに本来はない時間を作り出している。ハイデガーの「存在と時間」の考え方のように、ストーリーズに一回性を作り出すことで時熟という時間のあり方を経験する。
    難しいようでなんとなくわかる感じがいい。
    159冊目読了。

  • #SNSの哲学
    #戸谷洋志
    #創元社
    #読了
    #YA
    難しい部分もあったが興味深い。「『考えたい』という気持ちを大切にしてほしい」を言い換えると「『考えなければならない』という圧力から、自由になってほしい」と語られる。何事もそうかも。自分も他者も自由にして、そこから生まれるものを大切にしたい。

  • 創元社のヤングアダルト向け新シリーズ。分かりやすい言葉やイラストでSNSとの関わり方や「わたし」の在り方をときます。ヘーゲル、ハイデガー、ウィトゲンシュタインといった難解な哲学のエッセンスも盛り込まれており大人も楽しめます。SNSとの距離感を考えたくなる一冊。

  • 他者から承認されようとすることは、「他者から承認されるような自分」になろうとすることで、必然的に頑張ることを強要されてしまう。
    SNSで他者から承認を得ようとすると、
    ①私の生きやすさが他者に依存する
    ②絶え間ない承認を求めることで、常に不安を喚起する
    ③承認を求めるほど自分自身を見失う(疎外)
    ことにつながる。
    SNSネイティブにとって、人間関係の開始はインスタの相互フォローなどを指し、リアルとSNS上の関係性の区別はできない。
    自律性は他者に頼らないでいられることで、他律性は他者に頼らないではいられないことである。一般的に自律ばかり求められるが、アイデンティティの形成には他律(他者)も必要で、かつ自立は他律の中からしか生まれない。
    ヴィトゲンシュタインの「言語ゲーム」によると、問題に直面した時、「問題が難しい」のではなく、「問題を考えるために適した言葉を使えていない」だけ。この考えによると、相手のルールや文脈が読めないSNSは、ベリーハードな言語ゲームである。
    アルゴリズムは偶然性を排除し、それはすなわち「賭け」(はずれ)と選択による「責任」の排除である。

  • NHK100分de名著、ハイデガー回の指南役戸谷洋志さんの著書。
    この番組での戸谷さんの解説がとても良かったので書店で見つけて即購入。
    創元社の新しい刊行シリーズで、メインターゲットは中高校生。
    それ故に、とても読みやすく理解しやすい内容でした。
    中高校生や若年層に限らず、
    大人でもSNSでの振る舞いに悩むことは多々あります。
    この本は、SNSでの悩みやモヤモヤに対して解決策を示したり
    こうしろああしろという指南本ではなく、哲学と紐付けしつつ
    その悩みの根源って何だろう?
    一緒に考えてみない?という寄り添うような内容です。
    装丁も凝っていて、側に置いておきたい一冊です。

  • 人生をより面白くするものは、「偶然との出会い」であり、今までの自分が好むものから予測されたおすすめに囲まれていては自分が大きく変わることはなかなかできないのかもしれない。SNSに縛られずに、新しい可能性の発見や幸せの実現のためにSNSを活用したい。

  • 『オシント新時代 ルポ・情報戦争』(毎日新聞取材班)を読んでいる時、自身がよく使うSNSが果たして何なのか、もう一度よく知ろうと思い手に取った『SNSの哲学: リアルとオンラインのあいだ』(戸谷洋志)。

    これを読んで、承認欲求を得たいがために読書記録をインスタで行い、「いいね」の数チェックがメインとなってしまっていたここ最近の自分の行動がバカバカしくなった。

    読書をする事は自分の生活レベルの質を上げるための行動を起こすキッカケを得る事であり、「いいね」を得る事じゃない。

    読書を終えた後、どんなアクションを起こすのかを考えていく事に重きを置く事が重要だ。

    という事で、やり方を変えて行く事にしようかと思う。

  • SNSにおける承認欲求、時間、炎上、アルゴリズム、連帯について哲学的に考える。
    参照されるのはヘーゲル、ハイデガー、ウィトゲンシュタイン、ベルクソン、アーレント。

    アルゴリズムの章がよかった。
    私たちのデータをもとに私たちが望むより先に好みを提供してくれるシステム。しかしそれは生を貧しくするのでは? という疑念。

    SNSは利もあるが害も多い。害に自覚的に、節度を持って利用したい。

全47件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

戸谷 洋志(とや・ひろし):1988 年東京都生まれ。立命館大学大学院 先端総合学術研究科准教授。法政大学文学部哲学科卒業後、大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は哲学・倫理学。ドイツ現代思想研究に起点を置いて、社会におけるテクノロジーをめぐる倫理のあり方を探求する傍ら、「哲学カフェ」の実践などを通じて、社会に開かれた対話の場を提案している。著書に『ハンス・ヨナスの哲学』(角川ソフィア文庫)、『ハンス・ヨナス 未来への責任』(慶應義塾大学出版会)、『原子力の哲学』『未来倫理』(集英社新書)、『スマートな悪 技術と暴力について』(講談社)、『友情を哲学する 七人の哲学者たちの友情観』(光文社新書)、『SNSの哲学リアルとオンラインのあいだ』(創元社)、『親ガチャの哲学』(新潮新書)『恋愛の哲学』(晶文社)など。2015年「原子力をめぐる哲学――ドイツ現代思想を中心に」で第31回暁烏敏賞受賞。

「2024年 『悪いことはなぜ楽しいのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

戸谷洋志の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
古田 徹也
千葉 雅也
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×