日本人のこころの言葉 聖徳太子

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422800608

作品紹介・あらすじ

「和をもって貴しとなし」は、すべての日本人が知っている。だが、いま、その精神が失われていないか?こんな時代だからこそ、太子の言葉に耳を傾けたい。

感想・レビュー・書評

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  • 聖徳太子から1万円札から消えてかれこれ30年になるでしょうか。もうかなり福沢諭吉版が普及しだしたころ、大学時代に家庭教師をしていて、その月のバイト代を「ピン札」で貰ったのを覚えていますが、当時の私の経済状態では、それを保存することはできませんでした(残念)。

    さて、この本では彼が制定した「17条憲法」を初めとして、日本の歴史書で触れられている聖徳太子の思いが解説されています。彼は憲法以外にも、多くの経典の解説等を行っている凄い人であることをこの本で知りました。

    特に、聖徳太子が中国からそのまま「仁義礼智信」を導入するのではなく、「徳仁礼信義智」と日本流に置き換えていたことを、この本で初めて知りました、これが日本人がわきまえるべき優先順位なのですね。

    以下は気になったポイントです。

    ・憲法2条で述べられている「三宝」とは、1)仏、2)仏の教え、3)仏を敬う人々の集まり、である。仏の教えとは、あらゆる生きものが最後に帰する拠り所、あらゆる国々が大切にすべき規範となる教え(p24)

    ・年輪年代法により、法隆寺五重塔の心柱の伐採が、594年であることが判明、その年は仏教の興隆の詔を発した年と一致する(p31)

    ・推古天皇と聖徳太子は、「ますます仏教を栄えさせて、それにより国家の安泰が保たれることを願って」7つの寺(法隆学問寺(法隆寺)、四天王寺、中宮尼寺、橘尼寺、蜂岡寺(広隆寺)、池尻尼寺(法起寺)、葛城尼寺)を造った(p46)

    ・太子の遺言によると、放流学問寺に住んでいる僧に対して、法華経・勝鬘経・維摩経を講じてほしいと願っている、太子は「三経義疏(ぎしょ)」で、それら3つの経典の注釈書を記している(p49)

    ・為政者の多くは「仏の教え」を喜ぶというよりも、それに付随してもたらされた異国の優れた文化・技術に魅力を抱いた(p61)

    ・和を実現するためには、「忍辱:他人から悪口を言われても、耐え抜くこと」と共に六波羅蜜の他の5つ(布施、持戒、精進、禅定、智慧)が必要である(p71)

    ・嫉妬は煩悩(人々の心や身体を悩ましたり汚したりする迷いの心)によって起きる、根本の煩悩とは、貪(貪り)、瞋(じん:怒)、痴(無智)、漫(高慢)、疑(疑念)、見(悪見)の6つで、六煩悩という(p87)

    ・仏教のすべての真理が含まれている4句とは、諸悪莫作(しょあくまくま:悪い行いをするな)、諸善奉行(多くの善を行え)、自浄其意(じじょうごい:自らの心を清くせよ)、是諸仏教(これば諸仏の教えである)である(p99)

    ・推古30年に聖徳太子がなくなり、皇極2年(643)に太子一族が滅亡、天智9年(670)には法隆寺が焼失した、現在の法隆寺は、それ以降に再建されたもの、それでも飛鳥時代の様式を濃厚に受け継いで経ち続けている唯一の寺院(p109)

    ・12階は、中国の5つの道徳(仁義礼智信)の上に徳を加えて、それぞれ大小2つに分けて12にした、冠の色は、高位から準に、紫・青・赤・黄・白・黒であった、太子は、礼を仁の次、信を礼の次、つまり、徳・仁・礼(らい)・信・義・智に並び替えた(p118、174)

    ・憲法3条で述べているのは、自然界に生きる人間社会の法則が不変であること(p121)

    ・太子が明らかにしている4つの悪とは、「へつらうこと」「あざむくこと」「ねたむこと」「こびること」である(p130)

    ・聖徳太子の頃の役人の勤務時間は、日本書紀によると午前6時から10時までの4時間であった(p137)

    ・蘇我氏の血を引く天皇が、用明・崇峻・推古と三代にわたって続いて、蘇我氏は皇室の外戚(母方の親類)として強固な地位を占めた(p158)

    2013年2月10日作成

  • 読了。聖徳太子の生涯とその時代背景をとても分かり易くまとめており、又、一言一言が有難く腹落ちする一冊。この時代・分野に興味を持ってしまうと奥が深すぎて良い意味でキリが無い!!

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