北アメリカ 第2版: ニュースを現代史から理解する アメリカ カナダ (国際情勢ベーシックシリーズ 8)

著者 : 久保文明

• 自由国民社 (2005年11月1日発売)

感想・レビュー・書評

[Emorandumさんの感想 · 2012年9月17日]

他民族社会アメリカにおける、先住民や各国からの移民について詳細に書かれている本。アメリカは多種多様な文化が融合した「人種のるつぼ」と言われる一方で、並立的に共存する「サラダボウル」の国と言われている。興味深いことに、本書を見る限りでは、それは一概に言えないということだ。肌の色やどこの国から移民してきたかによって、アメリカにおける地位や優位性が大きく異なる傾向があると主張している。そもそも移民には長く複雑な歴史が関わっているので、他の人種や文化とはそう簡単に一緒くたにはならないはずである。もちろん、ある程度は周囲の影響を受けていると思うが、人種が多様だからといって文化までもが多様だという見方は、歴史を軽視して民族関連の問題の本質を見落としているのではないだろうか、と読んで思った。自分の大学の図書館に置かれていないのが残念である。

著者プロフィール

防衛大学校長、東京大学名誉教授

「2022年 『アメリカ政治史講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」