- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784434173813
作品紹介・あらすじ
『虹色ほたる』の川口雅幸が贈る、累計14万部突破の冬の感動ファンタジーが待望の軽装版化!時計店の子ども、小6の聖時は不思議な時計の鍵を手に12年前にタイムスリップ。商店街はまだ活気にあふれ、堅物のお兄ちゃんはやんちゃな少年で、そして夢にまで見たお母さんはやはり優しかった——聖時のかけがえのない時間が刻まれてゆく……
感想・レビュー・書評
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タイムスリップに家族愛を絡ませた、冬が舞台のファンタジー。「虹色ほたる」は夏の爽やかさが心地よかったけど、こちらはクリスマスの頃のきんとした空気の冷たさと家族のあったかさが伝わってきます。
「虹色ほたる」のレビューにも書いたけど、著者の川口氏は私と同郷なので、今作の方が故郷をモデルにしているということがダイレクトに伝わってきて、もうしょっぱなから切なかった。舞台でもあるさびれた商店街は、津波にのまれて今はもうない。失われた景色が、久々に鮮やかに甦った。登場する小学校も、どこがモデルかわかってしまうだけに、色々思い出を重ねてしまい、懐かしくて懐かしくて…。
主人公の聖時が、自分が生まれる前~12年前にタイムスリップ。口うるさい年の離れた兄の浩一は、聖時と同い年でやんちゃ盛り。亡くなった母や祖父も生きている。正体を隠し、友達のように浩一や仲間とつるむ聖時。母を知らずに育った聖時は、束の間の母との時間をかみしめる。
川口氏が地元の老舗時計屋の店長ということもあり、聖時や浩一の父が営む時計屋の描写が、当然ながら色々と細かく、興味深い。
とっつきやすいけど、ベタすぎる展開や文体は、好みが分かれるところかな。タイムスリップの理論も、わかるようなわからないような、若干ご都合主義のような。それでも…ベタだよと思いながらも結局クライマックスで涙腺決壊。ん~、やっぱり親の立場で読むようになると、必要以上に母親に感情移入してしまうのよね~。聖時が「鬼いちゃん」と憎まれ口を叩くほど厳しい兄は、聖時と同い年の頃はやんちゃで勉強嫌いなごく普通の男子だった…そんな彼がどうして変わっていったか、その経緯を知るとちょっと切ない。聖時の正体に気付いた祖父(彼の作るビターなココアがとってもおいしそう!)もなかなかにいいキャラ。意外な絡み方をしてくるので目が離せないです。
そして、川口氏の何よりの魅力は情景描写の美しさ。タイトルにもある「からくり時計」が賑やかに動き出すシーンは圧巻です。からくり時計って、きっと全国的にも減ってるよね。私大好きなんだけど、今住んでいるところも何年か前にアーケードのからくり時計がなくなってしまい、残念。それだけに、からくり時計がいろんなものを象徴している気がして…。全国の商店街、頑張ってほしいなという気にもさせられた。
父子家庭に育ち、亡き母に憧れ続けた聖時がタイムスリップで母に会えたように…本書を通じて、失われたあの頃の故郷の景色に出会うことが出来た。正直、今でも当時の写真を見るのは辛いのだが、懐かしい光景は、脳裏に焼き付いているものなんだなと思った。そういう意味でも読めてよかったな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000057010
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お母さんは小さいときに亡くなっていて、そのことに不満のある主人公。ひょんなことでタイムスリップした主人公は自分が産まれる頃の家族としばらく過ごすことに。主人公の出生の秘密がタイムスリップにより明かされる。
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不思議な世界と現実世界とを、上手く繋いでいるファンタジーでした。物語の中盤以降は、展開がおもしろくてあっという間に読めました。(小5~)小6の、読書に抵抗がない子ども達向けです。
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2015/11/24
913.6||カワ (3階日本の小説類)
小6の聖時(せいじ)の家は、時計店・時心堂(じしんどう)。
冬のある日、作業机の下から不思議な鍵を発見し、古い時計に差し込むと12年前にタイムスリップ・・・
そして、聖時(せいじ)のかけがえのない奇跡の時間が刻まれていく、心がホッコリと温まるお話です。 -
ただのタイムスリップものと思いきや、予想外の展開に泣かされました。
何でこんなことになったのか、何で俺なのかと主人公の聖時は考えるけど…必要なことだったんですね。
今書いてて思ったけど〈聖時〉って漢字の使い方にも意味があったんですね。
なんだか心地よい読了感です。 -
物心ついた頃には既に亡くなっていた自分の母親や祖父。
12年前(自分の産まれる数日前)にタイムスリップした小6の聖時(せいじ)。
そこで、出会ったことのない、母や祖母に会うことに。また、12年前の兄と父との交流・・・。
自分の正体を明かせないままの遭遇のなかで、掛け替えのない経験をし、命や家族、地域の大切さを学ぶ。
聖時の家は商店街の時計店「時心堂」。
大型店舗に客を取られ、サビれてしまった商店街なのだが、タイムスリップ先の12年前では生き生きとした商店街が描かれている。
「ラスト、涙が止まらない」と帯にあるけども、そのとおり。
終盤までは大きな起伏のない物語に思えたけども、最後でヤラれてしまうのは前作「虹色ほたる〜永遠の夏休み〜」でもそうだった。
著者は岩手県生まれで、地元にて3代続く時計店「時光堂」の店長とのこと。
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【内容(「BOOK」データベースより)】
小6の聖時の家は時計店。冬のある日、年の離れた兄と大喧嘩、父にも叱られ店の作業部屋に隠れこむ。そこで聖時は不思議な鍵を発見。古い時計に差し込むと、突如、部屋の時計がすべて反時計回りに回転しだした。やがて聖時の前には一人の同じ年頃の男の子が―どう見てもそれは12年前のお兄ちゃん。さらに幼い頃交通事故で死んだ母親の姿が。どうやらタイムスリップしたらしい。そして、聖時のかけがえのない時間が刻まれてゆく…。
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