認知音韻・形態論 (シリ-ズ認知言語学入門)

制作 : 吉村 公宏 
  • 大修館書店
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  • / ISBN・EAN: 9784469212822

感想・レビュー・書評

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  • 最後の章が個人的に面白かった。

  • 認知言語学は意味論ばかりではなく音韻論、形態論にも有効だということを示そうとしている。特に面白く読めるのは認知形態論を扱う第2章。生成学派は、形態論を音韻論に組み込んだり(形態音韻論)、統語論と同一視したりする(分散形態論)が、形態論は独自の分野として研究すべきことが、形態素(の連なり)のネットワーク構造の図示等で示される。

  • 【版元】
    ・シリーズ
    https://www.taishukan.co.jp/smp/search/s6859.html

    [書誌情報]
    編者:吉村公宏 編
    監修:池上嘉彦
    監修:河上誓作
    監修:山梨正明
    定価 2,400円+税
    出版年月日:2003/07/01
    9784469212822
    A5 312ページ

     認知言語学を生み出した新しい言語観は、これまでにない音韻論・形態論を誕生させた。無限の可能性を秘めた知的冒険。
    https://www.taishukan.co.jp/smp/book/b197007.html


    【目次】
    はじめに

    第1章 認知音韻論(熊代文子) 
    1 認知文法と音韻論
      1.1 認知音韻論と生成音韻論
      1.2 カテゴリーと理論的構築物
      1.3 ネットワーク
    2 富者繁栄システム
      2.1 規則変化の生産性
      2.2 適格性の原則
    3 音素配列規則
      3.1 音素配列規則を表すスキーマ
      3.2 音素配列規則から見た適格性
      3.3 声の一致制約
    4 日本語音韻論の概観
      4.1 尾子音条件
      4.2 動詞の活用変化
    5 日本語動詞の活用変化の分析
      5.1 声の安定制約
      5.2 尾子音条件
      5.3 モーラー数一定制約
      5.4 短母音音節型
      5.5 子音交替・尾子音形成:〔b〕〔r〕〔w〕で終わる語幹
      5.6 母音補充・核形成:〔s〕で終わる語幹
      5.7 軟口蓋音消失:〔g〕〔k〕で終わる語幹
      5.8 適格性判断における下位レベル・スキーマの重要性
    6 ヤマト語彙特有の音素配列規則
    7 結論

     練習問題
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    第2章 認知形態論(黒田航) 
    1 はじめに 
    2 認知言語学を生成言語学から区別する3つの基準 
      2.1 3つの根本的な違い
       2.1.1 言語力の研究としての生成言語学、言語運用の研究
             としての認知言語学
       2.1.2 用法の体系と規則の体系
       2.1.3 説明的妥当性と記述的妥当性
      2.2 複雑系の科学としての言語学
       2.2.1 「認知的」であるとは正確にはどういうことか?
       2.2.2 「認知」対「生成」、「機能」対「形式」
       2.2.3 言語に関する最大の謎を解く
      2.3 理解すべきなのは体系性より複雑性
    3 形態論の研究対象とは何か
      3.1 形態論に出会う
       3.1.1 文形成論と語形成論
      3.1.2 構成論の規模相対化
      3.2 形態論を認知的に構想する
       3.2.1 形態素と異形態
       3.2.2 語の内部の意味論:認知的アプローチの強み
       3.2.3 何が形態論を定義するか
       3.2.4 異形態
       3.2.5 表層形のネットワーク
       3.2.6 語の「外部」と「内部」の形成論
       3.2.7 分節化と厳密分析
       3.2.8 語形成規則
       3.2.9 厳密分岐分析の欠点
       3.2.10 拡大X-バー理論
      3.3 形態論的な現象の「適切」な取扱いに関して
       3.3.1 「形態論部門なしですます」文法理論に関する注意
       3.3.2 言語の記号的性質と自然的性質
       3.3.3 規模の効果の由来
       3.3.4 形態論のモジュール
    4 認知的な形態論研究の具体的指針
      4.1 自然生成音韻論と辞書の構造論
       4.1.1 NGPの特徴
      4.2 辞書は自己組織化するシステム
       4.2.1 辞書の自己組織化
       4.2.2 語彙ネットワークとしての辞書
       4.2.3 Bybee-Langacker のネットワーク・モデルを統合する
       4.2.4 例外発生の「規則性」
      4.3 辞書の構造論としての形態論
       4.3.1 規則から表示へ:語形成の生産性の問題
       4.3.2 名詞派生の生産性
       4.3.3 源泉感受性と慣習の役割
      4.4 カッコ入れの逆理を認知的に解釈する
       4.4.1 第一類、第二類接辞の区別とレベル順序づけ、
             その認知的解釈
       4.4.2 カッコ入れの逆理発生
    5 形態論的現象の基本分類とその認知的解釈
      5.1 形態論の基本概念
       5.1.1 形態論の形式的特徴
       5.1.2 基体と接辞
       5.1.3 形態論的現象の同値分類
       5.1.4 接辞の種類と位置
      5.2 英語形態論の具体的分析
       5.2.1 語形式一覧
       5.2.2 屈折・派生・複合
       5.2.3 音韻論と形態論の関係
       5.2.4 派生形態論と屈折形態論の区別
      5.3 派生形態論
       5.3.1 派生の多型性
       5.3.2 複合名詞形成:有形態と無形態
      5.4 屈折形態論の位置づけ
       5.4.1 属格形の形成と句形性との接点
       5.4.2 膠着と屈折
       5.4.3 第一類、第二類接辞化の再解釈:句形成と語形成との接点

    練習問題
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    第3章 認知音韻・形態論とコネクショニズム(出口雅也) 
    1 はじめに
    2 認知言語学と身体性
      2.1 モーホーク語の分析に見られる違い
      2.2 派生と心的実在性
      2.3 言語観の違い
      2.4 〈脳=シリアル・コンピュータ〉メタファー
      2.5 言語能力・言語運用の区別
      2.6 生得性に関わる問題
      2.7 開かれた学問としての認知言語学
    3 コネクショニズム
      3.1 コネクショニズムとは
      3.2 ニューロンの構造
      3.3 ニューロンの数理モデル
      3.4 分散表示
      3.5 層状回路
      3.6 パーセプトロン
      3.7 パーセプトロン型回路の学習
      3.8 相互結合型回路
      3.9 コネクショニスト・モデルのまとめ
    4 認知音韻・形態論のパースペクティブ
      4.1 モデルの妥当性
      4.2 英語の過去形
      4.3 NETtalk
      4.4 脳における情報処理の流れ
      4.5 意味と形式
      4.6 認知音韻・形態論のキーワード

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    第4章 認知語彙論(吉村公宏)
    1 はじめに
    2 認知語彙論の誕生
      2.1 語
      2.2 基本概念
       2.2.1 ICM と概念化
       2.2.2 スキーマ化
       2.2.3 語の位相
       2.2.4 プロトタイプと拡張
      2.3 単一階層的アプローチ
      2.4 語の意味
      2.5 解釈
      2.6 品詞とカテゴリー
    3 認知語彙論の展開
      3.1 語義学と名辞学
       3.1.1 多義性と意味連鎖
       3.1.2 意味ネットワーク
       3.1.3 状況の意味づけ
      3.2 生成語彙と参照点構造
       3.2.1 クオリア構造
       3.2.2 参照点構造
      3.3 文化語彙論
      3.4 動詞と構文
    4 まとめ

     練習問題
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    第5章 認知語彙論と構文の習得(児玉一宏)
    1 はじめに
    2 構文の交替現象
      2.1 授与事象
      2.2 to 付き与格構文と二重目的語構文
       2.2.1 to 付き与格構文
       2.2.2 二重目的語構文
      2.3 二重目的語構文と所有者効果
    3 与格交替現象と習得可能性
      3.1 子供の文法
      3.2 与格交替と過剰一般化
      3.3 否定証拠
      3.4  恣意性
    4 与格交替と習得可能性
      4.1 習得可能性のパラドクス
      4.2 与格交替と語彙規則
      4.3 与格交替と動詞の形態・音韻的パタン
       4.3.1 英語の語彙
       4.3.2 本来語とラテン系の語彙
       4.3.3 動詞の形態・音韻パタン
       4.3.4 本来語化と構文現象
    5 認知的な構文習得論
      5.1 構文パタンの習得
      5.2 コンテクストとしての構文パタン
      5.3 構文文法
      5.4 二重目的語構文と構文の多義性
      5.5 事象目的語構文と体系的メタファー
    6 結語にかえて

    練習問題
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    参考文献
    索引

  • 黒田さんの章が最高に面白い。

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