日本人らしさの構造―言語文化論講義

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  • 大修館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469212907

作品紹介・あらすじ

日本人の意識と行動の型を端的に表現するキーワードは数限りなくある。勿体ない・なつかしい・やるせない・仕方ない・義理・恥・世間体・貸し借り・先輩・後輩、その節はどうも・すみません・目は口ほどに・角が立つ・円くおさまる…これらのはそのまま「日本文化の索引」となるもの。本書は、その索引語をフルに使って、日本人の自然観・宇宙観、対人意識、美意識、道徳意識、事物認識の方法、等等を明快・懇切な語り口で手にとるように活写したものである。

感想・レビュー・書評

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  • いやーおもしろかった。

    【メモ】
    ・三部15章構成。
    ・※下記の目次では、ダッシュは連続二つにしておいた。本書と出版社掲載目次では「全角ダッシュ+半角スペース」と、判読しにくかったので。

    【目次】
      基礎論 人間における文化と言語
     第一章 文化というもの 002
    東は東、西は西/「アジアは一つ」ではない/歴史的個体の共存――国際社会/“○○人らしさ”――人類社会の多様性/<文化>――集団の構成/社会的遺伝の重み/意識と行動の型
     第二章 言語というもの 012
    言語の本性――記号の体系/個別言語―― 一組の“風習”/壮大な“象徴の世界”/言語行動――コミュニケーションの核心部分
     第三章 文化共同体と言語共同体――民族・民族性・民族語など 021
    言語圏と文化圏/<文化>を担う共同体――民族/民族性――文化の核心部分/民族語――民族の精神的血液/国家と国民/“自然民族”が国家の母体/国語(国家語)、母語(母国語)/「母の言葉」の重み

      第一部 日本人の精神空間――キーワードで描く<凹型文化>の像
     第一章 序説――日本人像を知る<文化の索引> 036
    隔絶した文化の「島」――日本列島/<文化の索引>――指標語句/<凹型文化>――日本民族の像
     第二章 自然との調和・一体感――日本人の自然観・宇宙観 043
    自然との共感/“柔らしき心”を育んだ風土/四季と不可分の文化/植物・鳥・魚・虫を愛でる文化/自然に屹立する西洋人、融合する日本人/自然と人事の連続/アニミズム的自然観/“自然宗教”神道/寛容な多神教の世界
     第三章 他律・他人志向の処世――日本人の対人意識・社会意識 065
    最高の美徳は“和”/察しの文化/<他人志向>の二面/年齢秩序の根強さ/ウチとヨソ/先輩・後輩/異文化への“察し”は不足/「社会」以前は…/世間・世の中・浮き世/貸し借り・世渡り/気がね・横並び・世間並み/視線恐怖・他人恐怖/恥の文化
     第四章 直感・非分析・成り行き本位――日本人の事物認識と思考法 098
    あいまいさの効用/合わせの文化/カンとコツ――非分析の認識/即物的表現の妙/真の抽象思考がない――空語・空文の呪術/日本人の論理構成/日本人の思想形成/日本流の事態処理
     第五章 謙遜・自己修養・心情主義――日本人の道徳意識 122
    間人道徳の世界/謙譲の美徳/修養という文化/「自己を深める」文化と教養主義/心情主義――ガンバル/ユーモア不足/無私の精神/心情主義の無方向性
     第六章 ささやか・陰影・風流――日本人の美意識 143
    日常生活の美的表現/小規模・キメ細かさの美/暗示・余情・陰影/不完全・不充足の美/風流・風雅の境地
     第七章 結びと補説――文化・言語・伝統 158
    文化の重層的形成と“永遠の日本人”/言語の二面性――実在反映性と自律性/文法を民族性から解釈する勇み足/文化と言語のフィードバック― 「伝統」の貫流

      第二部 日本言語文化の世界
     第一章 序説―― <言語文化>の概念と位置づけ 172
    “日本人らしさ”の言語的側面――<日本語文化>/宗教文化・法文化・政治文化……など/<言語文化>のユニークな地位
     第二章 日本語の構造内にみる文化 182
    A 語彙― “脳中の辞書”に書かれた宇宙像
    語彙の体系――民族の宇宙像/意味の体系と思考の回路――サピア=ウォーフの仮説など/“意識の中の辞書”の差異――民族の得意分野・苦手分野/内に秘めた愛――対人感情動詞/意味範疇形成の深層部分/顕在文化と潜在文化――民族の感覚の深奥部分
    B 文法―特に動詞―と社会的発想の型
    叙述展開のカナメ――動詞/自動詞型発想の日本人/「する」と「なる」を文化のタイポロジーに照らせば…/迷惑の受身を「妙用」する日本人/了解の共鳴、人情の共鳴
     第三章 日本語の運用にみる文化(その一)――言語表現の発想法 216
    民族的口癖――常用語句・頻用語句/修辞の感覚――民族的文体論の視点/「第二国語」(翻訳文体)の是非/民族的文体の重層的形成/民族的心象風景と内在律/名づけに見る日本文化
     第四章 日本語の運用に見る文化(その二)――言語行動と言語意識 240
    沈黙する日本人/凹型言語行動の根強さ/「世界有数の話し下手」を苦にせず/<敬語行動>を支配する心理/二面的言語思想――“実用言語不信”と“社交・鑑賞重視”
     第五章 言語による<高文化>の世界――文芸の日本的民族様式 264
    A <高文化>とその日本的特質
    日常文化と高文化の関係/文字のはたらきとその思想/日本の<高文化>の特色――(その一)外来高文化の吸収と日本化/日本の<高文化>の特色――(その二)日常文化との連続性
    B 言語の世界における文芸、その日本的性格
    文芸と言語の関係――文芸は<言語の世界>の一部/日本的と西欧的――詩歌重視と散文重視/美的経路―文芸を文芸たらしめるもの/作品の文芸性と人間における「美」/文芸は民族を写す鏡/文芸の日本的性格(その一~三)/総合芸術に見る日本的様式

    あとがき  306
    主要参考文献  310
    索引   [311-315]

  • 810.13 H12

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