- Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
- / ISBN・EAN: 9784469213225
感想・レビュー・書評
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『認知文法のエッセンス』
原題:Cognitive Grammar (Oxford University Press, 2002)
著者:John R. Taylor(1944-)
著・訳者:瀬戸賢一(1951-)
【書誌情報+内容紹介】
ジャンル 言語・言語学 > 入門
大学テキスト > 認知言語学
出版年月日 2008/08/20
ISBN:9784469213225
判型:A5
頁数:395
定価:本体2,600円+税
◆認知文法の本質を明らかにする
世界的に名のある認知言語学者、ジョン・R・テイラーと瀬戸賢一による初のコラボレーション。音韻論、形態論、意味論、構文論をコンパクトにまとめた。音素、形態素、語、句、節、構文だけにとどまらず、イディオムやメタファーまでも手厚く解説。また、初学者にも配慮して、随所にQ&Aとその解説というスタイルをとった。認知文法のみならず認知言語学を専攻する学生にとっての必携書。
〈https://www.taishukan.co.jp/book/b197085.html〉
【個人メモ】
・著者について英wikipediaでは記事は見当たらない。
・グーグル・スカラーはこの通り
〈https://scholar.google.com/citations?user=Z0he8pQAAAAJ&hl=en〉
・第一章末の「研究の指針」ではカテゴリー論の文献として「Taylor(2003)」に言及しているいが、タイトルは割愛されているし、巻末の引用献の一覧表には載ってない。
私は門外漢なので論文か書籍か分からない。
・追記。おそらくこの本。
Linguistic Categorization, Oxford University Press, 2003
〈https://global.oup.com/academic/product/linguistic-categorization-9780199266647?cc=jp&lang=en&#.UEB_AiIeoxg〉
【目次】
はじめに(2008年盛夏 瀬戸賢一) [iii-vi]
目次 [vii-xi]
第1部 認知文法の考え方 003
第1章 認知文法と認知言語学 005
I 認知論的転回 005
II 認知論的言語学でないもの 006
III 「認知言語学」としてのチョムスキー言語学 007
IV 認知言語学はどこが認知的か 009
i カテゴリーの形成
ii 図と地
iii イメージと「解釈」(construal)
iv メタファーと「経験基盤主義」(experientialism)
v 概念的アーキタイプ(祖型)
vi 推論
vii 自動化(automatization)
viii 記憶vs.計算、リストvs.ルール
ix 形へのこだわり
x シンボル行動
V 認知文法の全体像 014
i シンボル体系としてのことば
ii 単位間の関係
VI 認知文法の特徴 017
i 認知文法は用例に基づく(usage-based)
ii 認知文法は意味論を重視する
iii 認知文法では境界はファジーである
iv 認知文法は独自の言語観をもつ
<研究の指針> 020
第2章 シンボルとは何か 022
I ソシュールと記号 022
II アイコン、インデックス、シンボル 024
i アイコン
ii インデックス
iii シンボル
III シンボルの性質 030
IV シンボル原理への疑問に答える 031
<研究の指針> 035
第3章 音と意味とシンボル 037
I 音韻構造 037
II 音韻単位 038
III 音韻制約 040
IV 意味構造 042
i 強い合成原理の弱み
ii 弱い合成原理の強み
V 'the football under the table'の意味を問う 049
VI 意味の調整とアクティブ・ゾーン 052
<研究の指針> 056
第2部 認知文法の方法 059
第4章 スキーマと事例で説明する 061
I 意味構造に見るスキーマと事例 061
i 多義ネットワーク
II 音韻構造に見るスキーマと事例 069
i 素性(feature)
III シンボル構造に見るスキーマ構造と事例 075
i 品詞の意味と音韻
<研究の指針> 083
第5章 意味は弾性を示す 084
I 意味研究の3つのアプローチ 084
i 言語と世界の関係を探るアプローチ
ii 言語内部に限るアプローチ
II 概念的アプローチ(プロファイル・ベース・ドメイン) 088
III 意味の弾性 092
i 意味の弾性に限界はないのか
IV 意味ネットワーク 102
i カテゴリーの拡張
ii over物語
<研究の指針> 113
第6章 より大きな単位の作り方 115
I 「関係」をプロファイルする 115
i tr と lm
ii 形容詞と副詞
II 意味単位を結合する 125
i 意味結合の仕組み
III 音韻単位を結合する 130
i 認知文法における音韻制約のあり方
<研究の指針> 136
第3部 語の内部を見る 137
第7章 形態論の意味と形 139
I 形態素分析 139
II 形態素を結合する 141
III スキーマの力 143
IV 形態素-erは多義的か 145
V 指小辞も多義的か 149
i 指小辞の中心と周辺
<研究の指針> 152
第8章 分けることと結ぶこと 156
I 分析可能性を調べる 156
i 部分的な分析可能性
ii 不透明な境界
II 「強制」と一体化 162
III 生産性 165
i 生産性を計量する
IV 「バーガー」はどんな味か 170
<研究の指針> 172
第9章 競合するスキーマ 173
I 規則的な複数形 173
II 不規則的な複数形 178
III 規則とリスト 183
IV 結果としての形を大切にする 187
V キーワードの整理 190
i 内実度またはスキーマ度
ii 自立度と依存度
iii 結合度
iv 強制度
v 内的複合度
vi 定着度
<研究の指針> 200
第4部 語の外側を見る 201
第10章 名詞の外回り 203
I 名詞と名詞句 203
II グラウンディング、事例化、種別化 205
i グラウンディング
ii 事例化
iii 種別化
III 限定詞と数量詞 212
i 限定詞の働き
ii 数量詞の働き
IV グラウンディングされない名詞 218
V 可算名詞と質量名詞 222
VI 2分法から3分法へ 225
VII 可算と質量の境界 230
VIII 数詞類別詞型の言語 233
<研究の指針> 236
第11章 テンスとアスペクト 237
I テンスとグラウンディング 237
i 節の種別化
ii プロセスのグラウンディング
II テンスとアスペクト 241
i 完了と未完了
ii 進行形
III プロセスの種類 248
i 反復
ii 習慣
iii 現在時制と「構成された世界」
IV 法助動詞(modal) 254
i 主体化
<研究の指針> 259
第12章 節の仕組み 261
I 状況のタイプ 261
i 動態プロセス
ii 状態プロセス
iii 認知プロセス
iv 複合プロセス
II 参与者の数 264
i 参与者と非参与者を区別する
ii 参与者とならない名詞句
iii 名詞句以外の参与者
III 参与者の役割と文法関係 269
i 行為連鎖モデル
ii 認知プロセス
iii 非参与者が主語になるとき
IV 節のタイプ 277
i 参与者が1の節(自動詞節)
ii 参与者が2の節(他動詞節)
iii 参与者が3の節(2重目的語節)
iv 移動動詞と参与者
V 補部を埋め込む 284
i 節の結合度
ii 節の分析法
<研究の指針> 289
第5部 メタファーから構文へ 291
第13章 新しいメタファー論 293
I レイコフと概念メタファー 294
i レイコフ理論の概念的基盤に関して
ii レイコフ理論の方法論について
iii メタファーの一般的理論としての写像理論について
II スキーマとしての概念メタファー 299
III メタファーの生産性 304
IV イメージ・スキーマ 305
V タルミーと「力動性」 308
VI メンタル・スペースとブレンディング 312
VII メタファーからメトニミーへ 315
i ドメインについて
ii 語彙的メトニミーについて
iii メトニミーの種類について
iv シネクドキについて
<研究の指針> 320
第14章 イディオムはおもしろい 322
I 文法の中のイディオム 322
II イディオムの範囲 324
i 狭義のイディオム
ii 定型表現(formulas)
iii 引用句('pre-formed' language)
iv 発信イディオムと受信イディオム
III イディオムの意味と形式 330
i 意味のイディオム性
ii 形のイディオム性
IV イディオムと予測可能性 335
<研究の指針> 338
第15章 構文には意味がある 339
I 構文と構文スキーマ 339
i 構文の中のスキーマと事例の関係
ii 構文の部分も構文である
iii 構文スキーマの生産性
II 構文的イディオム 344
i 「まさか」構文
ii もっと構文的イディオムを
III 文法の中での構文的イディオムの位置づけ 351
i 構文的イディオムと語彙
ii 構文的イディオムと統語
iii 言語習得の観点から見れば
IV 構文のエコロジー('Bang goes weekend!') 355
<研究の指針> 361
引用文献 [363-377]
索引 [379-381]詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
英語の例が多い。認知文法だけでなく、英語の理解も深まる。
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わかりやすい…!!!ていらーの本をベースに、日本語の事例を交えながら、認知文法の道具立てを説明してくれています。今読んでみるとなんか感慨深い。意外と基礎が疎かになっているなあ。読書会は真面目にこなすべきだよ!!全部、丁寧に、隅々まで、読みましょう>1年前の自分。せめてそう読み込んでおくべきだった。が、時既に遅しw(121108)。
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認知文法の教科書。
今まで読んだ教科書の中では難しく詳細だった。
認知文法は音と意味をつなぐシンボル、という三つからなるらしいが
音についても詳細に述べられていたのは今までなかった。
また各章の最後には参考文献の紹介が充実している。