AIに負けない「教育」 (認知科学のフロンティア)

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469213706

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    https://libopac.kamakura-u.ac.jp/webopac/BB00288263

  • 東北大学のオンライン講座のテキストになっていたので読んだ。
    自閉症の子どもとAIの共通点など、考える価値のあるアイデアがある

  • ふむ

  • ある意味でこの著者の回顧録というか研究史というか。特に各章末のケーススタディは個人ブログ的な印象を持ちます。この本のタイトルに対する綿密な提案や方法論が呈示されているわけではありません。

    以前から,人工知能の知見と対比させながら教育を問うスタイルであることは存じ上げていて,非常に興味深いと思います。

    ただ,一応以下に引用しましたが,チューリングテストと中国語の部屋で問われていることを母語に適用すると,「我々は本当に日本語を理解した上で使っているのか?」という問いが生まれます。果たして「メッチャ理解している」と明言できる日本人はどれくらいいるのでしょうか?

    パフォームできるようになってから,年をとってようやく「意味づけ」ができるようになることだってあるのですから,教育でどうこうというのは,高尚に過ぎるのではないかとも感じます。

    また,教師なし学習によってAI開発者すらAIがどのように学習しているのか分からなくなったという事実から,「主体的な学び」を実現させるためにどのように学習者に働きかけるかを問う。疑問の持ち方としては分かるけど,これも「AIと学習者」,あるいは「AI開発者と教育者」を同列に置くことができるのだろうか?

    「問題の解き方」ではなく「問いと答えのセット」を提示する方法が重要だと言うけれど,それが可能なのは「答えがある」という条件付きであるだけでなく,

    \int_1^5 xdx = 12
    \int_3^6 x^2 dx = 63

    など問題と答えを羅列してもどうにもならない領域もある(「解き方を学習者自らが発見するのを待つ」ことなど不可能だろう)。

    この本で論じようとしている「教育」の対象がはっきりしません。著者の専門だからでしょうが,自閉症児の例が登場するので特別支援教育なのかもしれません。「フレーム」の設定がしにくい本ということになるでしょうか。


    この本で初めて知ったのは,MOOC (Massive Open Online Courses) というもので,受講料が無料の講座だけど,学習者の個人データをビジネスデータとして利用し,優秀な学生を探し出し,提携している企業に紹介するという展開がなされているということ。優秀なヤツは,自分で学ぶときのプロセスを見れば分かるということでしょうね。確かに入社試験はいらなくなるかも。


    *****
     このような「チューリングテスト」と「中国語の部屋」の研究は,人間の「知」や「(知的)能力」を考えるとき,非常に示唆的である。つまり,教育現場ではこれまで「見える能力(パフォーマンス)」を中心にして評価を行い教育してきた。しかし,これらの古典研究が示唆しているのは,その基礎にある「見えない能力」あるいは「見えにくい能力」の重要性である (渡辺 二〇一七)。つまり,「翻訳を専門にするエキスパートシステム」が「本質的には中国語を理解しているわけではない」にもかかわらず表面的には「中国語が使える」と判断されてしまうという事実であり,これは現在の「教育」に対しても大きな示唆を含んでいる。
     大切なことは「本当に中国語を理解していること」であり,「人工知能」の開発に携わってきた研究者が目標としたのも「本当に知識を理解した上で中国語を使える人工知能」であった。これまでの「教育」は,「本当に知識を理解した上でその知識を使える子ども」を育成してきたと言えるだろうか? (p.113)

  •  AIの歴史と現状も学べる。人の教育とAIの進歩をリンクさせつつ、人とAIとの違いを明らかにして、著者のこれからの教育論の概要をわかりやすく示す好著。注が巻末で、本文ページ数なしで羅列されているのは、不便。

  • AI時代の到来をチャンスと捉えて質の高い教育に発展させるためには?

    社会産業形態に類似しているとするならば,

    工業製品における規格化
     ↓
    自ら学べるagent化

  • 東2法経図・6F開架:371.41A/W45a//K

  • 人工知能とは何か、という技術論ではなく、重要な部分を押さえながら、具体例が多く、今から向かい合うべき何かを順序立てて理解できる。
    技術ありきではなく、教育ありきなのが新鮮。
    前半の説明はどこにでもあるものなので、後半にボリュームが欲しかった。

  • 「アルファ碁」の基になっている人工知能
    DQN(Deep QーNetwork)

  • 1章から4章までは、人工知能の開発について説明されている。そして、最終章にAIに負けない教育について述べられている。「自分は何をすべきか、どの方向に進むべきか」という自分のフレームを持つことが大事で、自分のフレームをいかに育成していくかが今後の教育であると述べられている。

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著者プロフィール

2020年6月現在 東北大学大学院教育学研究科 教授

「2020年 『AI時代の教師・授業・生きる力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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