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- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784469222258
感想・レビュー・書評
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国芳というよりは、その弟子たちによって引き継がれた浮世絵の系譜を辿る本(横浜美術館展示カタログ)。国芳-芳年の浮世絵師弟から、鏑木清方が出現し、岡倉天心による「日本画」が出来上がる。しかしその動きとは別に、木版画による浮世絵リバイバルのようなこととして伊東深水や川瀬巴水が出現する。その後、現代日本のアートに連なる明確な系譜は、本書で語られないが、マンガやアニメーションにはその遺伝子を伺えるような気がする。
不思議なのは、日本の幕末に当たる時期にヨーロッパでは浮世絵によるジャポニズムが起こり、文化産業の期待が有っただろうに、日本では浮世絵が衰退するという事態になったこと。産業進行の推進よりも、文明開化や脱亜入欧の文化・イデオロギー的な転換要請が優先されたゆえなのか。
西洋美術のリアリズムや啓蒙性に驚嘆し、憧れた日本。リアリズムや自らの西欧文明の矛盾と混乱の解放をオルタナティブカルチャーに求めたヨーロッパ。不思議な歴史の交錯。詳細をみるコメント0件をすべて表示