まなざしの共有: アメリア・アレナスの鑑賞教育に学ぶ

  • 淡交社
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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784473017970

作品紹介・あらすじ

対話ですすめる美術鑑賞が、いまなぜ必要なのか。1998年の「なぜ、これがアートなの?」展以来、注目の集まるアメリア・アレナスの対話型鑑賞法を、日本の教育に即した詳細な解説と、美術館や学校での実践レポートでわかりやすく紹介。教室が美術館に早がわり、CD‐ROM版ティーチャーズ・キット付録。

感想・レビュー・書評

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  • 2000年代初めなので,少し状況は変わっているかもしれないが,美術館の立ち位置を踏まえながら美術教育にどう関わっていくかを,アメリア・アレナスの美術鑑賞方法論,国内の美術館での企画実施やその期待について書かれている。作品に添えられたキャプションを当てにせず,よく見て,考えて,話すという流れを整理しながら,美術作品の解釈を展開する。どのような効果が発生しているかのエビデンス研究はこれから。


    *****
    芸術とは,作品のなかに込められているものではなく,作品と私たちのあいだに生じる関係のことなのです。(p.31)

     たとえば,ミケランジェロがどういう意図でダビデ像を制作したかについては,重要で興味深いところです。それを推理することも可能です。しかし,この作品がこれほど人々に愛され,フィレンツェのダビデ像の前に人々が行列をなすのは,ミケランジェロの創作意図とは無関係なのではないでしょうか。そういう意味で,子どもたちにどのように美術を教えるかは,むしろ文化が芸術をどういうふうにみてきたかに関係してくるといえます。(p.31)

    鑑賞教育では,作品がわかることと同時に自分がわかり,他者がわかるようになることが大切である。(p.57)

     生徒の疑問にすべて答えられるように,美術について勉強しなければいけないとは考えないでください。司会の役目は,あくまで生徒たちが主体的に作品を見る手助けをし,話の交通整理をすることですから,美術の知識は必要ないのです。むしろ,知識のない人のほうが純粋に司会者に徹し,中立的な立場で話の舵取りができるし,「正しい」解釈を生徒に押しつける危険が少ないという強みがあります。美術についてよく知らないとこの授業はできないと思われているとしたら,それは誤解です。また,美術の問題とは,多くの場合,どんな人にも簡単に答えは出せないものです。「先生にも分からないことがある」「答えがない」ということを知らせるのも,美術鑑賞の重要な役割です。(p.108 アメリア・アレナスの説明 林 寿美 美術館と小・中学校の連携 pp.98-130)

     膨大な数の作品を展示している美術館。通常私たちは作品をつぎからつぎへと,ただ漠然とみていることが多いのではないだろうか。多くの参加者と作品についての意見交換を進めるうちに,思いもよらない他者の視点に驚き,共感することもある。それは,自分が作品をよくみているようで,みていないということに気づく瞬間でもあるのだ。(p.144 都筑正敏 市民ボランティアの挑戦 pp.132-154)

  • 美術鑑賞教育・ギャラリートークについての本。

    美術は情報を与えられて、誰かに決められた様に鑑賞するのではなく、鑑賞者自らが見方を発見していく行為であるべきという主張。

  • 707.9/U45 CD-ROM有

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