学力をのばす美術鑑賞 ヴィジュアル・ シンキング・ ストラテジーズ: どこからそう思う?
- 淡交社 (2015年1月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784473039798
感想・レビュー・書評
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「何が起こっている?」「どこからそう思う?」「もっと発見はある?」問いかけから始まる美術鑑賞が思考やコミュケーションのトレーニングとして行われている。アートを通した学習効果、とりわけ非連続テキストによる読解力・記述力の教育法の研究に必読の一冊だと思う。
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借りたもの。
VTS(ヴィジュアル・シンキング・ストラテジーズ)による、俯瞰で物事をとらえ、細部に注意をはらえる洞察力を鍛えるカリキュラムの実践方法とその効果、美術に留まらず他学科へ活かせることを検証し、まとめたもの。
主に小学生くらいまでの児童を対象にしたカリキュラムだが、これがMFAなどにも通じていると思う。
主に90年代後半での試みだが、昨今、取り上げられているデザイン思考・アート思考の先駆けとなったプログラムではないだろうか?
子供のコーチングやアドラー心理学の子育て術に通じるものがある気がする。VTSを通して、児童が自己肯定感を養われている様子が文章から伝わってくる。
うまくいかない事例も包み隠さず取り上げ、どうすれば改選するかのヒントや試行錯誤もしている。
奥村高明『エグゼクティブは美術館に集う』( https://booklog.jp/item/1/4895288951 )に通じる。
子どもたちはアートの“世界”に入り込み、体感しながらそれらを学んでいる、感じている。
◆VTS公式ウェブサイト( https://vtshome.org/ )
◆http://vtsj.acop.jp/ -
アート鑑賞を通して、観察・推理・説得・集中の力を養う学習法が紹介されている。集団学習を前提としているが、個人でも十分に応用できる内容だろう。
ただし、この書籍の主要な内容は、この学習法を学校教育にどう取り入れていくか?であり、そもそもが教育者に向けて書かれている。
僕としては、生徒の可能性を信じ、かつ尊重する著者や教師たちの態度に、自伝じみた面白さを覚えたが、教育に興味のない人にとってはかなり退屈かもしれない。