フランス語の歴史

著者 :
  • 大学書林
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784475015677

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  • 島岡茂『フランス語の歴史』大学書林、1974年

    フランス語の先生に古いスペリングの話をしたら、勧めてもらったので、読んでみた。

    éをesと綴る文に出くわして、どうなっているのかと悩んでいたのだが、e+子音のsが消失したのは、12〜13世紀らしいが、表記の上では18世紀までのこっていたのだそう。scola(ラテン語)→escole(古仏語)→école(仏語)「学校」(p.41)だそうである。

    この本はたいへん面白い語史で、ラテン語、俗ラテン語、ガリア人の言葉、ゲルマン語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、英語、南仏プロヴァンス語など、西欧全体に目が届いていて、パズルが解けていく感じがとても快感である。ラテン語の名詞の語尾変化が格・性・数を表す冠詞として名詞の前にでてくる様子とか、そんなのが書いてある。ガリアの言葉や俗ラテン語から説きおこし、古仏語、中仏語、古典仏語、近代仏語までまとめてあって、現代フランス語の変化まで書いてあります。

    語源についてもいろいろ書いてあって、「火」は本来ラテン語ではignisだったのだが、これが第三曲用(活用、ラテン語では名詞も活用する)に属してメンドクサイので、focus(炉)で「火」の意味を表すようになって、これがフランス語のfeuになったのだそう。4世紀のころだから、俗ラテン語のころの話だろう。

    fromage(チーズ)はもともと、caseu formaticuで「型にはめたチーズ」で、省略がおこって、「型にはめた」部分だけでチーズをあらわすようになったんだと。ドイツ語のケーゼや英語のチーズはなどはラテン語のcaseusを保っているようだ。

    動詞を名詞化する-mentはラテン語mens(心、menteの奪格)からきとるそうで、「〜の心で」の意味だそうだ。それで、menteが女性名詞なんで、現代でもこの語尾をもつ名詞は女性名詞なんだそう。

    あと、なんか聞いたことがあったけどよくわからんかった「斜格」というのが、ちゃんと書いてあった。ラテン語の対格(〜を)と奪格(〜によって)が合わさった格らしい。俗ラテン語の特長だそうだが、要するに面倒なもんは変化していくんだな。

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