- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784476010022
感想・レビュー・書評
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インド伝説の英雄ラーマを主人公とする歌物語。「五の巻」シータの発見・ハニューマンの活躍・捜索隊の帰還、 「六の巻」猿の大群・強敵インドラジット・ラーバナの最期・凱旋、など17話を収める。
「 夜 だけはしずかに 休もうではありませんか。みなさん、あしたになったら、さっそく 橋 にとりかかりましょう」 ラーマのみじかいことばがたいそう 力 づよくひびいたので、 会議 はもうこれで 散会 になりました。 猿 たちはそっとそれぞれのテントにひきさがって、 寝 てしまいましたが、ただふたりの 人間 がそこにのこりました。いうまでもなく、ラーマはラクシマナにあいずして、 黙想 にはいったのです。 ふたりの 王子 は 足 をくみ、 静座 してお祈りしながら 黙想 をつづけました。 星 は 大空 をわたり、まもなく 消えていきました。ジャングルの 猛獣 は 猿 が 寝 ているあいだ、さかんにうなってさわいでいました。ふたりは 天 に 助けをもとめ、すべての 四足 動物 に 助力 をこい、また 鳥 にも 力 をかしてくれるように、と 祈りました。それからまた、 太陽 や 月 や 四季 の 季節 にまでも 助けをもとめました。 眠っていた 鳥 や 動物 は、つぎつぎと、これにこたえていいました。 「 承知 しました。お 助けしますとも」 天体 もまたこれに 応じました。 「ラーマ、おっしゃるとおり、お 助けにいきますよ」 世界中 が 寝 ているあいだに、 目ざめている 魂 はみんなそろって、ラーマの 部下 になりましょう、とちかいをたてました。 ──お祈りをし、 黙想 をつづけると、このような 力 もわくものなのです! ラーマが、ただ 自分 の 妻 のシータを 救うためにたたかうのではなく、 生きとし 生けるもののためにたたかおうとしていたので、 全 宇宙 がよろこんでラーマの 大義名分 に 加勢 したのです。
古い 物語りは、いつか 忘れられていくものですが、インドではいまでも「ラーマーヤナ」は 忘れられるどころではなく、インドの 村 の 広場 などで、いまも 吟誦 詩人 というさすらい 人 が 歌ってきかせているということです。そればかりではなく、 毎年 秋 になるとお祭りがあり、このながい 物 語りを 歌 や 踊りや 劇 として、 毎日 つづけ、 十日 目 に 終わることになっています。この 十 日間 は、 学校 もお 休みだということです。 このように、 古い 昔 から 現代 まで 何 千年 と 生きつづけている 物語りというものは、そうめったにあるものではありません。この 事実 は、いかに「ラーマーヤナ」が、インドの 人びとにとって、どんなになつかしく、 大切 な 物語りであるかということの 証拠 です。つまり、このすぐれた 物語りこそ、インドの 人びとの 心 を 真実 に、あますことなく 歌っているからにほかなりません。
私 たち 日本人 が、これまで「 東洋 的(オリエンタル)」というときの 考え方 は、「 中国 的」ということを もと にしていますが、アジアはもっと 古く 広いのです。インドの 文化 も、この「 東洋 的」という 考え方 にいれないことには、ほんとうのアジアを 考えたことにはなりません。してみると、これまでの「 東洋 的」という 考え方 は、ここらで 変えなければならない 時代 がきたように 思われます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ハニュマーンの活躍がすごい。
今にも通ずる普遍的な教えがある。
(すぐ忘れるんだからメモするべきでしたね…)
無敵に見えるラーバナやほかの兄弟たちにもきちんと弱点があって、力を発揮するのには条件があったり、ラーマが放つ矢も全てが同じものではなかったり。そういった設定が、なんでもありに見えて制約があるところは現実的でもある。
こんなRPGゲームあったような…という感じ。
時折読み返したいような物語。
(インドの人たちは覚えるくらい語り継いでいるらしいが…) -
内容がシンプルだが、物語の原点なんだろうなと思わせてくれる書籍。
口頭伝承で伝わっていたというのだから、当時の誰もが好んでいた作品であることも納得である。 -
ハニュマーンはランカに辿り着き、シータに会う。
逃げる時に、顔が焼けて黒くなった。
魔王ラーバナは、シータに求婚している。
魔王ラーバナの弟ビビシャナと妻サラマは善人。
魔王ラーバナは、人間の王と巨人の娘の子。
弟ビビシャナは巨人の血が弱く出た。
ビビシャナはラーマ軍に付いた。
インドラの神を倒した強敵インドラジット。
1日のみ無敵の巨人クンバーカルナ。
これらを倒し、ラーマはラーバナを神の矢で討つ。
魔王ラーバナは死に臨み、回心し、罪の生涯をこの世で償った。
シータは自らの潔白を示し、14年ぶりにラーマと再会した。
ラーマの弟バーラタとサトルウグナは、玉座にラーマの靴を、自らは宰相として、ラーマの帰還を待っていた。
ラーマは、自国の王となり、猿ハニュマーンはラーマに仕え続けた。
ハニュマーンは体育の神となった。
バールミキのつくったラーマの歌物語は、ラーマのふたりの王子に伝えられた。口から口へ。
ラーマーヤナのヤナは鏡。
ラーマ鏡、つまりラーマの物語。
全文6巻。
文字も無く、口から口へ。 -
(1977.05.12読了)(1977.05.03購入)
副題「インド古典物語」
挿絵は、駒井哲郎です。
*本の表紙より*
聖雄ラーマと魔王ラーバナが対決するインドの歌物語
この物語で活躍したハニュマーンは、おそらく中国の「西遊記」で活躍する、あの孫悟空の先祖といってもよいのではないでしょうか。日本では、この「ラーマーヤナ」は近年になるまでまったく知られていませんでしたが、ある学者によると、すでに平安朝のころにこの物語のことを紹介した本があるそうです。(「あとがき」より)
【目次】
五の巻
ランカ
シータの発見
シータの話
ハニュマーンの活躍
雨季の黙想
捜索隊の帰還
六の巻
猿の大軍
ランカの包囲
強敵インドラジット
クンバーカルナの死
インドラジッドの計略
インドラジッドの死
インドラジッドの葬送
ラーバナの最期
ラーバナの葬送
シータの身のあかし
凱旋
あとがき
☆関連図書(既読)
「ラーマーヤナ(上)」河田清史著、レグルス文庫、1971.06.05 -
古い文体がいい。翻訳で、他の言語でも読みたくなる。
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あれ?ラーマの凱旋帰国時のカイケイー妃の状況って?とかラーマにかけられたターラーの呪いってどうなったんだっけ?と言った疑問は残りますが大団円。
使命を忘れてマンゴーを食べ漁るハニュマーンには笑えた。
勧善懲悪の物語。