ザ・ニューリッチ―アメリカ新富裕層の知られざる実態

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478001196

作品紹介・あらすじ

アメリカの資産100万ドル以上の世帯は、1995年から2004年までの10年間で倍増し、900万世帯を突破した。実に、アメリカの総世帯数の1%に迫る勢いである。この増加分の大部分を占めるのが、まだ若くて、勤勉な金持ちたち、すなわちニューリッチ(新富裕層)と呼ばれる人々である。彼らはいったい、どういう人たちなのか、いかにして巨万の富を得たのか。また、その富によって彼らの生活はどのように変わったのか。そして、彼らはいま何を考え、行動しているのか。ニューリッチの生活の実態をリアルに描き出した本書は、アメリカで刊行と同時に、大反響を呼んだ。

感想・レビュー・書評

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  • 農耕が余剰と予測性を生んだ。
    人の寿命を超える長期計画が可能になった。
    そのために文字、法律、権力が育った。

    必要を満たすための生産優位性、
    そし被支配と搾取から逃れるため
    技術革新へのインセンティブが生まれた。

    生産には土地、生産設備、労働資本が必要であった。
    優れた技術から生産設備は低コストで高品質が生まれた。
    スケールメリット、勝者総取り。

    必要が満たされ、飽食の時代、そしてIT革命。
    価値は、抽象(情報)領域に移った。
    土地も、生産設備も不要になった。

    だから、自分あるいは小集団が、自分の体と頭を使って
    情報 = 価値 = 実質的に通貨を作れるようになった。

    結果、これまでの富製造装置(土地、生産設備、労働資本)のうち、
    土地、生産設備の相続を基本とする古いお金持ちではなく
    労働資本を基本とする新しいタイプのお金持ちが生まれる土壌ができた。

    資産100万ドル(約1億円)以上の人口は
    1980年代から2000年にかけて3倍の800万人にまで増えた。
    今日、資産数百万ドル以上を持つ人々のうち
    有名人はわずか3%、資産を相続で得た人々は10%にも満たないという。

    相続ではなく、能力(給与、中小企業経営、株式)で資産を形成すること
    時代の変化スピードの加速から、彼ら彼女らは相続を待つまでもなく
    30代や40代でお金持ち、資産家となる。

    旧型の土地うあ生産設備を相続するタイプお金持ちと、
    新型の自らの労働資本で富を生み出すタイプのお金持ちの間には亀裂がある。
    考え方や文化もだいぶ違って、特に新型は人種、年齢、文化が多様だ。

    これだけでも、お金持ちなどと一括りにできない時代になってきた。
    さらに、お金持ち度によっても断絶がある。

    お金持ち界の最下層はロウアー・リッチスタン。
    純資産100万〜1000万ドル(1億〜10億円)で、小金持ちといったところ。
    このレベルだと、見栄をはるのも大変だし、お金が底を付く心配もある。
    アンドリュー・カネーギー曰く、この層の人々が持っているのは
    「富ではなく、ただの能力」ということらしい。

    お金持ち界の中間層はミドル・リッチスタン。
    純資産1000万〜1億ドル(10億〜100億円)で、まぁ普通に金持ち。
    企業オーナー、起業家で会社を起こして売却するなどで財をなす。
    使えるお金は多く、お金が底をつく心配もない。
    よって慈善活動、あるいは政治なら教育や環境や技術政策を重視する。

    お金持ち界の上位層はアッパー・リッチスタン。
    純資産1億〜10億ドル(100億〜1000億円)で、相当な金持ち。
    金銭感覚が一変する。つまり、投資信託ではなく、森林や油田を買う。
    資産が富を生み出すスピードが、それを使うスピードより早い。
    一生かかっても使いきれない、下手をすれば減らすことすらできない。

    お金持ち界の雲上人。
    「このゴルフコースいいね!僕に譲ってはくれないだろうか?」
    と衝動買いで4億ドル(約400億円)を提示する。
    本当のお金持ちというのはこういうものらしい。


    しかし、お金持ちの年間支出明細を見ると
    我々一般人とそう変わらない印象を受ける。
    資産に応じて桁が違うだけで。

    見た瞬間、明らかに違うとわかるのは3つ。

    1つ目は「家事スタッフ・個人アシスタント」という項目があり、
    その支出割合があるていど大きいこと。

    2つ目は「航空機チャーター」「自家用ジェット機」「クラブ会費」「旅行」「クルーザー」など
    交換価値ではなく、経験価値を重視している風な支出が大きいこと。

    3つ目は「慈善寄付・慈善行事」「政治献金」「自宅での接待」などの
    社会的ポジションを取るための支出が大きいこと。

    ざっくり、我々一般人に置き換えたイメージでは
    ・住宅 : 37万円/月 (食費、家具、家電など含む)
    ・光熱 : 3万円/月
    ・学校 : 4万円/月
    ・保険 : 3万円/月
    ・執事 : 31万円/月 *
    ・旅行 : 50万円/月 *
    ・慈善 : 1万円/月 *


    なお、富裕層専門の調査会社プリンス・アンド・アソシエイツの調査によると、
    資産2500万ドル(約25億円)以上の世帯では、財産の75%を自分の子供に残すという。
    裕福な人は慈善活動に力を入れる傾向にあるようだが、しかし、
    遺産まで慈善のために残すというのは誤った通念なのかもしれない。

    もっとも、労働資本で一代で資産家になれるのなら、遺産を慈善に残すことよりも、
    裕福な人が生きているうちに教育や環境や技術政策に尽力することの方が、
    慈善に対しては拡大再生産的で尊いことなのかもしれない。

  • 米新聞記者が、米国の新富裕層について書いた本。新富裕層が急激に増えていることや、新富裕層がどのようなものかの一端を理解した。
    「製造業で中国やインドに水をあけられているアメリカも、こと富豪を生み出すことにかけては世界に君臨している」i
    「アッパー・リッチスタンの住民になると、金銭感覚は一変する。自分の財産が、一生かかっても使い切れない(減らすことさえできない)こと、気前よく使っても年々増えていくことに気づくからだ。とはいえ、そんな彼らも、ビリオネアビルの住民の前では、どうしても影が薄くなる(劣等感を抱く)」xii
    「リッチスタンが求めているのは、執事ではなく「株式会社○○家」の最高執行責任者(COO)」である」p12
    「アメリカにおける過去の大規模な富の急増は、いずれも3つの力が一体となって起こった。新技術、投機市場の台頭、そして自由市場と高所得者を支援する政府である」p27
    「赤十字のような大手団体に小切手を切るつもりはさらさらない。彼に言わせれば、こうした団体は寄付金を人件費やマーケッティング、無駄な報告書に浪費しているのだ」p163
    「ほとんどのNGOは、民間企業だったら破産している。私たちが生きているうちに変革の風が吹き、寄付をする人々が寄付金の使途についてもっとよく知るようになるだろう。実際の援助に寄付金の19%しか使っていない団体もあると知ったら、誰でもショックなはずだ」p165
    「元気に生きているうちにせいぜい慈善事業をしたほうがずっといい。100年後まで大金を残す必要はない。今なら頭を使って、よりよい世界を築くことができる」p165
    「2005年のある調査によると、いまのリッチスタン人のうち、「資産のおかげで以前より幸せになった」と感じている人は、全体の半数にも満たないという」p209
    「雑用を全部やってしまう人がいると、子供の人生はまったく変わってしまいます。そういう子供は、その後の人生に欠かせない基本的な技能を学べません。恵まれた境遇が健全な成熟を妨げるのです。お金があると、人生経験を積まなくてもお金で解決することができます。親はよかれと思ってやっているのでしょうが、実は子供から大切なものを奪っているのです」p229
    「アメリカはより不平等な社会になりつつある。資産額上位1%の層が総資産の33%以上を所有し、その資産総額は下位90%の資産総額を上回っている」p252

  • これ、相当おもしろい。ためになる。

    財をなしたひとは、企業経営者、資金運用マネージャー

    ★アッパーリッチスタンは、100年先まで見越した財務諸表を立てる

    連結子会社・持ち株会社・投資会社・財団からなる5段階のフローチャート

    44 ありふれた事業を魅力的な投資対象へと変貌させる達人であふれている。

    73 意外性を重視する一種のゲリラ慈善家

    178 ビジネスの基本原則5
    1.顧客を知る
    2.コストを削減し、中間業者を排除する
    3.説明責任をもたせる
    4.顧客を巻き込む
    5.レバレッジを活用する

    215 不安と欲は実は深く関わりあっている

    217 富裕層の投資は、昔は「株と債券」だった。
       今は、
       商品ファンド
       プライベートエクイティファンド
       デリバティブ
       カレンシー スワップ
       

    218 資産1000万ドルある人は、長期的に資産を増やそうとするのに対し、それ以下の人々は富の源泉として、いますぐ投資収益を求めるのが特徴です。

    221 タイガー21

    226 心理学者 リー・ハウスナー博士

    227 IFFアドバイザーズ社
      富裕層専門の調査会社 プリンス・アンド・アソシエイツ

    234 人気急上昇 資産教育産業

    245 株の投資方法
       「安全マージン」率の高い順に株式を選んでいく

  • 生協で気になっていて、ちょうど前の本が読み終わっていたので早速図書館で借りて読んでみた。


    内容はアメリカのセレブリティーな人々のセレブリティーな生活とそこに行くまでの過程とか。最後にアメリカの格差問題との関連などなど。あまり経済学的な本ではなくどちらかと言うと娯楽の要素が大きかった。


    まあ何はともあれアメリカのセレブリティーの私生活とか考え方とかがたくさん出てきたなかなか面白かった。


    ただ、ひとつだけ気になることが。


    この本が書かれたの(日本で出版されたの)2007年www

    果たして彼らはリーマンショック、そして今のヨーロッパ経済危機を乗り越えたのだろうかwww

  •  富裕層の社会「リッチスタン」。豪華な車や持ち船、パーティーにリゾート、豪邸の生活
     新旧の富裕層の反目、社会的信用の維持や見栄のために行われる浪費、短期間に築かれた富が短期間で消えていく不安定さや、子供たちの将来への不安、富がもたらす影の部分が書かれている

  • 想像もできない世界が広がっている。金持ちも大変だな…

  • アメリカの新興リッチの話。
    リッチスタンという言葉の語源。
    まぁ、IPOするか、投資銀行で大成功するかが歴史の無い身分からの成り上がり方なんだろうね。
    日本ではどうだろうか。そんなにリッチになるチャンスはあるかね?

  • 世の中、こういうお金持ちもいるのかーという参考になるかな。

  • この本はこの10年間に急増したアメリカの
    ニューリッチ(資産1000万ドル以上)に密着取材し
    その生活の光と影をリアルに映し出す本です。

    この本によると近年本当に富裕層は急増していて
    アメリカの上位1%の富裕層の消費だけで
    いくつかの国の予算くらいあるらしいです。
    家計簿はもはや法人になっていることが多く
    連結子会社とかまで出てくるらしいです。

    お金持ちはお金を誇示するために高い買い物をし
    寄付をするという風土があるみたいです。
    別にお金を誇示するようになりたいとは
    思えないけれど、発展途上国の人とかを救う上で
    実際にお金の力で救えるっていうのは
    非常に魅力的な選択肢の一つだと思います。

    いくら、偽善だとか色々な事を言われようとも
    実際に貧困を救える事は事実ですからね。

    と思ったんですが、彼らの消費活動そのものが
    もしかしたら、貧困を生み出しているのかもしれないですね。

    ちょっと色々と考えてみたいと思います。

  • ITバブル崩壊と不況、2001年テロの攻撃などを経たにもかかわらず、アメリカでは全国のあらゆる年齢層、ほとんど全業種で資産が急増してきており、百万長者、億万長者を生み出し続けているそうです。

    本書は、そのまだ若くて勤勉な金持ちたち、「ニューリッチ」(新世代の富裕層)と呼ばれる人たちの中でも資産総額1000万ドル以上の人々を対象に、彼らの生活と時代をフルタイムで取材し、ニューリッチの生活の実態をリアルに描き出したものです。

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