JUDGMENT 決断力の構造―優れたリーダーの思考と行動

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478005903

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  • 最近の自分の周囲の閉塞感を考えるに、リーダーの決断が大きな要因としてあるという課題感から、本棚から引っ張り出して、再度復習してみる。

    ポイント:
    『決断力の構造』 ノール・M.ティシー+ウォレン・ベニス 著

    • リーダーシップの核心は、決断にある。不明確な状況、不確実な状態、錯綜する要求に直面し、それが時間的に切迫したものであっても、リーダーは組織の生き残りと成功を確実にするために、決断を下し、実効性のある行動を起こさなければならない

    • 意思決定に当たって重要なことはただ1つ、勝つか負けるか、つまり結果だ

    • リーダーは、人事、戦略、危機の、3つの決断が必要である

    • その中で、人事で賢い決断をしなければ、組織全体の健全な方向性も戦略も示せる可能性がないばかりか、有効な危機管理もできない。最優先課題は、適切な人材をチームに配置し、戦略を策定し、必ずやって来る危機に備えることだ

    • リーダーがどれだけ優れた戦略的決断の宣言ができるかどうかは、次の2つで決まる
     地平のかなたまで見渡し、適切な疑問を呈するリーダー自身の能力
     リーダーが互いに意見を交換するために選んだ人物の存在
    • 「今日、戦略の重要性は、つまり成長の見込みのある事業を見極めることの重要性は、かつてないほど大きくなっている・・・GEの会長という立場になり、膨大な時間を使って、どの事業を選択するか、例えば健康事業に投資するのか、娯楽事業なのか、といったことを考えている・・・現在我々の環境の下では、優れた実行力と優れたオペレーションだけでは、お粗末な戦略に頼り切っている事業を立て直すには不十分だ。」

    • 社内生え抜きのCEO候補を育てて順調に成長してきた企業、例えばGE、ペプシ、インテルそしてP&Gといった企業では、特に優れた決断の宣言をするのに役立つリーダーの仕組みができあがっているのだ

    • ジェフ・イメルトは、新しいテクノロジーに10億ドル単位の資金を投資する戦略的な決断を下すとき、”まばたき“的な決断をすることはない。“もがき苦しむ”といっている。1年以上の長さになることもある

    • 最高に良くできたストーリーには説得力があり、そして実践的でもある

    • 次々に起こる出来事に見られる異質の要素を互いにつなぎ合わせてくれる

    • リーダーは、「人に教えられる視点(TPOV)」を開発するために、時間をかける。TPOVによって、リーダーは自分の頭の中に蓄積してきた貴重な知識や体験を抽出し、周りの人たちにそれを教えられるようになる。実力のあるリーダーや教師は、自分のTPOVを活用することによって、アイデアや価値観を伝え、周りの人たちに活力を与え、そして彼らが明確で断固とした意思決定ができるように仕向ける

    • 実力のあるリーダーは、組織が今どこに向かっているのか、どのようにしてそこに到達しようとしているのかということを伝える強力なビジョンやストーリーを考え出す。次にそれを“頭の中での反復思考”として利用する

    • 優れた決断を重ねるには、リーダーに品格と勇気が備わっていなければならない

    • 品格を備えるとは、価値観を持つということ。自分がすることとしないことについての、明確なパラメーターを設定する道徳的な基準をもつことだ

    • 品格のある人は、自分に対する世の中の評判よりも、自尊心を大切にしている

    • 人事の決断は、戦略と危機両方の優れた決断をするための礎である

    • 「最初の100日間に、人事の決断をできるだけ多く下すべきだ。なぜなら、自分のチームを常に臨戦態勢にしておかなければならないからだ」

    • ウェルチが作成したリーダーが取り組むべき成長面での課題:
    1. 集団をまとめるために多彩なことができる能力を磨く。これは損益を基準に評価される事業部門を経営するのに必要な能力だ
    2. リーダーだけに許された意思決定の権限を、効果的に発揮する術を身につける
    3. 企業のビジョンを練り上げる。そのビジョンをはっきりと効果的に伝え、確実に企業の内部でそれを根付かせる
    4. 自分が直接体験したことのない状況にも対処するため、事業構築や予測の能力を向上させる。洞察力の鋭い疑問を発する術を学ぶ
    5. 変革を考え出し、それに取り組む能力を養う(現状維持とは対極にある)
    6. 自分の担当する事業が活動している業界の力学を効果的に理解する力を養う
    7. “実践的な政治”に対する感覚を磨き、人を動かす力を養う
    8. 自分の事業部門におけるリーダーシップと、他の事業部門との連携・協力との間の均衡を保つ態度を養う
    9. コミュニティーとのつながりをうまく構築し維持する能力を養う

    • CEOの候補者になるための条件:
    1. 世界展開をしている事業に対して多面的な視野を持ち、損益に責任を負うという経営者の役割を十分に理解している姿勢を示している
    2. 決断力のあるビジネスリーダーであり、効果的に力を発揮していることがわかる。意思決定をし、行動を起こす度胸がある
    3. 事業にとって有意義なビジョンを練り上げられるよう自分のチームを指導する能力が認められる。事業組織のすみずみにまでそのビジョンを効果的に伝え、理解と共感を得ている
    4. 直感的なプロセスに基づいて、卓越した経営の決断をする。また、多くの情報源から得た情報を徹底的に調査する積極性が認められる
    5. ここぞというタイミングでしかも効果的な手法を使って、事業全体を立て直すための触媒となる能力が認められる。組織の変身あるいは変革を効果的に果たしてきた実績が認められる
    6. 曖昧なことや矛盾を抱えたことに前向きに対処できる能力の持ち主
    7. 自分の担当する事業が活動している業界の力学を効果的に理解する力が認められる。加えて、この理解をもとに創造的でしかも現実的な戦略や戦術を練り上げる力を発揮している
    8. 会社の内外を問わず、高度な政治的状況に効果的な対処をする能力がある
    9. 自分の担当する事業のためという狭い範囲の利益よりも、会社全体の成績を重視する前向きの姿勢が認められる。社内にあるほかの事業部門に力を貸し、部下にもこの考え方をうまく浸透させている
    10. コミュニティーとのつながりを上手く構築し、維持する能力を発揮している

    • リーダーは、自分なりの戦略を練り上げなければならない。官僚主義的な“企画屋”に任せてはならない
    • 戦略的な思考は、論理と感性の融合だ。質問と答えを具体的に示せるリーダーの知性と、周りの人たちを実行へと駆り立てるリーダーの感情的なエネルギーが必要
    • リーダーにとって、戦略を練り上げる作業は、成功へのストーリーを考える終わりのない仕事だ。それは、「そうか、わかった」とひらめていてくれるような明確なビジョンであることはほとんどない。よくわからないまま始まり伸展していくストーリーであり、イメルトがCEOの職務に踏み込んだときもそうだった。このイメルトのストーリーは、絶えず検証されており、戦略の決断が下されるに伴ってますます明確になる

    • GEが実質的な成長を果たすための最高の方法は、その強力な研究とテクノロジーの基盤を活用して新たなマーケットを開拓すること。膨大なビジネスチャンスが認められるマーケットの1つは、電力、水、エネルギーそして輸送のためのインフラストラクチャーを構築する必要に迫られている開発途上国だ。先進国は、ヘルスケア、エネルギーの節約と生産、環境に配慮した製品群が挙げられる

    • イメルトの定義したリーダーの5つの能力目標
    1. 社内に注目する意識を持つ。これがあればマーケットの言葉で成功を定義できる
    2. 明快な考え方の持ち主になる。つまり、戦略を具体的な表現にまで落とし込み、意思決定をし、そして優先順位をはっきりと伝えられる人になる
    3. 人材とアイデアに関してリスクを背負える想像力と度胸の持ち主になる
    4. 人に対する包容力と気持ちのつながりによってチームに活力を与える
    5. ひとつの部署あるいは分野における専門的知識に磨きをかける。そのとき、変革を推進する自信の源泉として奥の深い知識を活用する
    • 危機における優れた決断が下されるのは、リーダーに決断のよりどころを用意してくれる確固とした“人に教えられる視点(TPOV)”とストーリーがあるときだ
    • リーダーは、上に立つ者としてリーダーシップを発揮して、危機を掌握しなければならない・・・危機に臨んだとき、その問題を新人に丸投げしてはならない。なぜなら、新人には危機を乗り越えた経験がないからだ。彼らに危機を克服する仕事を与えたときには、その方策を教えるべきだ。危機管理を他人任せにしてはならない。自ら現場に立ち、部下に知恵を授ける。人に任せるときは、自分よりもはるかに良くわかっている相手を選ぶことだ

    • 優れたリーダーは、自分自身を出発点にして、生まれ変わるためのたびを続けている。この旅の行き先はチームや組織だ。生まれ変わるためには、リーダーに自信と学習を続ける謙虚さという、相矛盾する要素が不可欠だ

    • ウェルチの感心するところは、他のリーダーをベンチマークに設定し、どこからでも新しいアイデアを探し出そうとしていた。毎週のようにクロトンビルを訪れると、その機会を経営者ヅラするために使うのではなく、自分のリーダーシップがどのように機能しているかを学び取る、そして新しい見識を吸収する、さらにはGEや自分のチームがよりよいリーダーシップの決断ができるよう彼らを育成する、そうした方法を考え出すための環境として、活用していたのだ

    • GEのアクションラーニングは、現実的な課題に取り組ませている。例えば、チームを数週間韓国に派遣してその地域におけるGEの戦略を再検討させる、GEは環境と福祉活動の両面で世界市民としての課題にどのように取り組むべきかとう戦略的なアイデアをイメルトともに考える、といった広い範囲にまで及んでいる
    • ウェルチはイメルトを後継CEOに選んだ。その主な理由は、イメルト本人が自分が成長することにどこまでも貪欲なリーダーであり、自己認識の創造にきわめて熱心な人物でもあると認めたからだ

    • リーダーには、広範な知識創造のための重要な3つのてこがある
    1. 組織の業務遂行システム-戦略の整備、予算作成プロセス、継承者の計画
    2. リーダーシップ育成活動-個人のキャリア、仕事経験、ジョブローテーション、様々な教育訓練
    3. 大規模な全社的な知識創造の土壌

  • 優れた決断(実行されて成功を収める決断)をするためには、何が必要なのか?
    本書では「人に教えられる力」と「ストーリー性」と書かれている。
    現状を読み解き、将来を考え、人を巻き込む力を持つリーダーシップを持つことで成功に近づく。仲間の力がなければ、決して成功はしない。
    ストーリーをもって目的意識を作り出し、自身の価値観や規範に従って決断を下すことが必要。

  • ・優れたリーダとは
     人事・戦略・危機の領域で優れた決断を下すことの出来る人物

    ・優れた決断をするには
     品格と勇気が備わってなければならない

    ・品格とは
     価値観を持つこと
     自分がすること,しないことについての明確なパラメータを設定する道徳的な基準を持つこと
     さらに,障害にぶつかっても基準を守る勇気が必要

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