- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478104545
作品紹介・あらすじ
これからの社会で人の上に立つ人が身につけるべき世界標準の知恵が、ここにある。
感想・レビュー・書評
-
トリプルフォーカスとは、自分・他者・外界の3つに目を向けること。本書では、これらの能力をどうやって子どもたちの学びに取り込んでいくかを、社会との関わりと感情の扱いについて学ぶSEL(Social Emotional Learning)とシステム思考から考察している。
SELで育む5つの能力
自分に気づく力(セルフ・アウェアネス)、セルフマネジメント、他者を理解する力(エンパシー)、ソーシャルスキル、より良い意思決定
SELについてはもうちょっと調べないとわからないなというのが率直な感想で、ここで言われていることが学校教育で実践されているイメージが湧かない。学校というよりも家庭や地域コミュニティのなかで育まれるもののように感じる。親になるとしたらこういったことを意識したいなと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原書は『トリプルフォーカス』というタイトルで、なんと8年も前の2014年に出版された本らしい。それを2022年に読んでいるけれど、決して古臭さを感じない。むしろ大きな気づきを与えてくれた、鮮度ある内容だと思えた。
教育に関わり続けている2人の著者は「SEE-Learning」という新しい学習プログラムを提案している。SEE-Learningは、すでに広く知られている(とはいえ自分は知らなかったけど)SEL(Social Emotional Learning)と、システム思考を掛け合わせて生まれたものらしい。
著者たちは、この世界を航海するために必要なものとして3つのスキルを提唱する。それが「トリプルフォーカス」と呼ばれるものだ。
1. 自己へのフォーカス:自分の感情や意識に気づく
2. 他者へのフォーカス:他者の感情や意識に気づく
3. 社会システムへのフォーカス:社会システムの存在に気づく
この3つの整理が非常に共感する。フォーカスという単語を使っているのも良い。いま社会に必要なのは「気づく力」なのだ。自分の気持ちに気づかず、他者の気持ちに気づかず、そして自分という存在や自分の行動が社会システムの結果として生まれていることに気づかない。そうした“気づく力の弱さ”が、生きづらさを生み出しているんじゃないかと思う。トリプルフォーカスだけでなく、SELが教える5つのスキルも素晴らしい。
ああ、自分が実現したいのはこれなんだと思った。自分についてちゃんと気づいていること。それが何よりも他者との信頼関係を築くのに欠かせない。気づき、気づき合う。そういう関係に憧れるのは、自分も人生のどこかで近い体験をし、そこに幸せを感じたからだと思う。
SELやSEE-Learningを導入した学校をつくれたら最高だけど、そうでなくても、自分の家族や自分が所属するコミュニティで実践していけたら、幸せな人生を歩んでいけるかもしれない。その意味で、最後の巻末付録にSEL/SEE-Learningについて具体的な手法を解説してくれているのはとてもありがたかった。
自分が幼少期にSELやSEE-Learningに触れていたら、人生は変わっただろうか。でも、今の人生に後悔してるわけでもない。おそらく現実の状況を考えれば、自分の子供もSELやSEE-Learningとは限りなく無縁の環境で育っていくだろう。でも、だからといって大きな欠落を持った大人になるわけでもない。今日までSELすら知らなかった自分がこうして社会の中でメシを食えていることが何よりの証拠だ。
SELやSEE-Learningの必要性は強く感じる。でも、SELやSEE-Learningを誰かに押し付けたり、SELやSEE-Learningがない環境を安易に非難することは避けていきたい。 -
「EQ」のダニエル・ゴールマンと
「学習する組織」のピーター・センゲが出す教育本ということで、
読んでみたが自分にとってはちょっと期待外れ。
※EQ
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4062562928#comment
※学習する組織
https://booklog.jp/item/1/4862761011?carousel=B071WR7XMH
本の主張は、乱暴に言うと、
これからの教育は「SEL教育」だ!ってことなんでしょうが、
SELがなにかもよく分からない自分にとっては、
抽象的で今ひとつピンときませんでした。
(ちなみに、SELとはSocial-Emotional Learningのことで、
「感情と社会性を育む学び」が日本語訳。)
最後の巻末にSELについての説明があるので、
ようやくおぼろげながら理解が進みました。
(SELを知らない人は、巻末から読んだ方が良いです。)
ま、簡単に言うと、感情をコントロールして、
相手との関係性を構築して、
システム思考で考えましょう、
ってことなんでしょうが、
SELもシステム思考も理解が浅い自分にとっては、
ちょっと手に取るべき本ではなかったかな…という印象。
悪い本ではないんですが、これだけだと不十分。
別の本で、それぞれをしっかり別の本で学ぶべきかな、という感じ。 -
訳が分かりにくいところがあり、原著の英文と併記して読みたい。
ただし、SELのコンセプトはこれから日本でも広がっていくだろう -
最近、教育に関心を持ち始め、購読。本書「はじめに」にもあるように、現代は注意を逸らすものに溢れている社会。電車に乗っても、ソファでくつろいでも、常時接続のデバイスからの情報をついつい眺めてしまう。ぼんやりと、あるいはしっかりと、自分や周囲の人、社会を考えることをしにくくなっていることは確かで、それが学びや思いやりといった「能力」を育むことを妨げているということも体感としてある。本書では、これからを生きるために必要なスキルセットとして、3つのフォーカスを提案している。「自分自身」「他者」「外の世界」の3つ。自分が寂しいと感じている、ということを正しく自覚できなければ、他人が寂しいと感じていることを理解できない。他者の理解がなければ、抱えている課題を解決するための接触や支援ができない。何が正しいかを判断するには、社会で起こっていることに自ら気づかなければならない。これらを子供達、先生、親、社会に広めるためのメソッドがSEL教育ということで、国内でもじわじわ広がりを見せている。事例がいくつか紹介されているので、関係者はぜひ読んでほしい。こんなの自分が子供の頃にはなかったけど、誰かが気づいて実践してくれてよかったよ。
-
SELで述べられている5つの能力(セルフアウェアネス、セルフマネジメント、エンパシー、ソーシャルスキル、より良い意思決定)は学校という枠組みだけではなくこれからの社会をより良く生きるために必須の能力だと感じた。
また、それらの力をつけるためには心理的安全性が土台にあるというところや教師が子どもの安全基地になるなど共感する内容が多かった。
SELとは全く新しい特効薬ではなく、これまでもそれぞれの場所で大切にされていたものを整理しまとめたものであり、これまでにも大切にしていた部分も多かった。
また、その方法に一つの正解があるわけではないし直ぐに効果が出るわけでもない。
なので、何のためにこの活動をしているのかという部分をはっきりさせ、種をまき、水を与え続けることが大切だなと思った。 -
EQと学習の関係をSELの原則とともに、平易な文章で理解できる。
SELはLSPとの関係が非常に良い。 -
21世紀を生きる人たちに必要な3つのスキル「トリプルフォーカス」について書かれています。SEL(Social Emotional Learning)という社会性と感情の学習についてもよく分かります。
-
ココロのEQを育てるための、環境づくり、指導者の心の持ち方について。
子供って小さい頃からしっかりしてるもんね。しっかり考えて自分の気持ちを整理してもらうことは重要と理解しました。
IQや知識ではなく、どうしてそう思ったのか感じたのかをしっかり聞く事。
ビジネスとおんなじだね。 -
SELとシステム思考の相互作用教育。
著名な方々の理論と実践を教育の場で活かす。
自分自身に気づくことから始まり、他者の理解を通じて世の中のシステムに気づく。
このシステムの発見が連鎖の断ち切り方を生む。
それは、6歳の子供も実践可能なことを実例から学ぶ。
学びの基本を考えさせられた。