会社にお金を残したいなら今すぐ経費を増やしなさい グレーゾーンが白になる47の節税ルール

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  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478106556

感想・レビュー・書評

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  • 本書では中小企業の節税策についてグレーゾーンに踏み込むことで合法的に経費を増やす方法が解説されている。顧問税理士が既にいる会社でセカンドオピニオン的に節税策をコンサルする構成だが既存の税理士は、そんな税務処理は合理性がないからダメとか危ない橋を渡る必要はないと言うので、セカンドオピニオンとして経費で落とす方法を説示する構成だ。これを読んでいると本当に税理士というのは税務署の手下だなと思う。税務専門書籍にはない踏み込んだ内容なので個人的には興味深い書籍だった。
    P71
    電話加入権の正体とは
    電話加入権とは、電話回線を引くときの工事代金の負担金です。昔は1本で8万円する時代がありましたが、段々と減額され、現在は4万円を切っています。
    権利というのは名ばかりです。これをNTTに返還しても、お金は戻ってこないため、早速、1本1000円で社長個人(あるいは、他のグループ会社)に売却しましょう
    すると、顧問税理士から、次のようにいわれます。
    「電話加入権を売却するなんて聞いたことがない」「危ない橋を渡る必要はない」
    しかし、そういう税理士は、「電話加入権等譲渡承認請求書」の存在をご存じないのです。
    いまは昔と違い、NTTのホームページに、電話加入権の売却手順の説明が書かれています。「116」に電話してみてください。書類の書き方を含めて、手順を教えてもらえます。
    売却しても、これまでどおり電話を使えるし、電話料金の支払いもこれまでどおりでOKです。
    会社と社長の間で、1本1000円で電話加入権に関する売買契約書を結びましょう。
    NTTへの議渡承認請求書と売買契約書があれば、電話加入権は経費に落とせるのです。
    P211
    退職後、経営にタッチしているエビデンスを残さない
    続いて②高額退職金をもらったあとの話です。退職金をもらったあとも、いままでどおり経営に関与していてはアウトです。税務署にそう見られない、つまり、「退職している」と思わせるポイントはいくつかあります。
    役員報酬・・・これまでの半分以下に落とす、高くても50万円程度とする
    出勤状況・・・週に1~2回 (半日×週3日も)
    社員への指示・・・メールは避ける、従業員の前で堂々と指示しない
    会長室の場所・・・社長室とは別につくる
    経営会議への参加・・・経営会議には参加しない
    経営計画の作成、発表・・・計画づくりに関与しない、計画発表会では激励だけ
    決裁、稟議・・・重要事項の決裁権は持たない(見るのは可)
    体外的な交渉、意思決定・・・会社を代表して交渉、意思決定の前面に出ない
    税務調査では、退職しているかどうかの判断をこうした点から総合的に判断します。
    P232
    エビデンスとは具体的に何をいうのか?
    例えば、本書で説明した主な節税策でいうと、次のようなエビデンスが必要です。
    電話加入権の売却・・・NTTへの譲渡承認請求書、契約書
    家賃の前払い・・・契約書(年払いへの変更契約)
    売掛金の貸倒処理・・・日報、督促の電話や訪問記録、督促書類、貸倒の稟議書
    在庫の廃棄処理・・・稟議書(取締役会議事録)、廃棄証明書、廃棄した写真
    在庫の評価引下げ・・・原材料の仕入記録、仕掛品の製造日報、製品の販売実績
    視察旅行・・・見積書や旅程表(視察目的と明記する)、視察写真、レポート|
    オフバランス(不動産の売却)・・・取締役会議事録、鑑定評価書、売買契約書
    固定資産の除却・・・稟議書 (取締役会議事録)、現場写真、廃棄証明書
    修繕工事・・・工事前後の写真、見積書、契約書、請求書(原状回復と明記)
    高額退職金・・・株主総会議事録、取締役会議事録、役員退職金規定、功績文書
    とくに、大型の節税対策を実行するときは、「なぜそうするか?」という目的が大切です
    決して最初から節税目的で取引したのではない。結果的に節税できた」 というようにしておかないと、税務調査で指摘される可能性が高まります。
    繰り返しますが、 「節税のため」というエビデンスは残さないでください。
    P236
    税務調査が人った直後はチャンス
    ここで、税務調査の間隔について、1つ考えておきたいことがあります。例えば、今年税務調査が入ったとします。次に調査が入るのは、いつでしょうか。これまでの話から7年以上先だとします。7年後、税務調査が入った場合、そのときの調査対象期間は、どうなるでしょうか?
    ご存じのように、ほとんどの場合、税務調査の対象期間は直近3年分です。ということは、来年や再来年の決算は、次回の税務調査では見られないということです。
    「税務調査はすべての期間を調査する」と勘違いしている人がいますが、違います。税務調査には、調査対象とならない空白の期間があるのです
    顧問先の経営者は、税務調査が入るとウキウキしています。
    「だって、調査が終われば、グレーのものを全部処理できるじゃないですか」
    P247
    キレイで丁寧な書類ばかり提出しない
    丁寧な書類は、逆に粗が目立ちます。例えば法人税申告書の別表2です。これは、自社が同族会社かどうかを判定するための表です
    同族会社とは、株主上位3人(3グループ)の議決権が50%超の会社です。
    この別表2を株主名簿と勘違いして、すべての株主を記載している会社があります。そうなると、株式の異動が税務署に手にとるようにわかってしまいます。税務署に提出する書類は、すべてを丸裸にする必要はありません。

  • よく考えずにそういうものだと思っていた税務申告、それにまつわるルール等。
    本書では、「税金はこの世でもっとも見返りの少ないコスト」と冒頭に書いており、興味を持った。
    以下、実務に役立てたいこと、気づいたことを羅列する。

    グレーな取引はエビデンスを揃えて白に持っていけば良いという考え方。もちろん、エビデンスが揃わないならそれは諦めるべきか。
    特別な損失は特別損失に持ってくる(営業利益を増やす)
    資本金を1億未満に減らす。
    電話加入権を捨てる、もしくは格安で売る。
    決算賞与は従業員に通知、支払いを行えば良い。
    資産はばらして買う。
    固定資産の棚卸は定期的に行う。使用していないものは除却する。
    子会社を増やし、所得を分配する。分散したほうが税金が安くなる、経費にできる計上できる枠が増える、税務調査に入られずらい?
    日当は所得にならないので増やす。
    固定資産の区分は曖昧。見積書や請求書の記載がコントロールできるなら検討する。
    通常の給与より、退職金のほうが控除が多いため、退職金を増やす。

  • 今年(令和2年)のGWはステイホームですね、もうすぐ休暇が始まりますが、今回の連休は久しぶりに部屋の大掃除をしようと思っています。在宅勤務をしていると家の中の散らかり度合いが気になりまして、このような決断をしました。

    掃除の中には当然、家の中に積んである本も含まれます。本の整理をしていましたら、昨年に読んだと思われる本が見つかりました。

    この本の読者対象は個人事業主・小規模事業者向けのようですが、ここに書かれている考え方は私の将来に対しても何か役にたつと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・貸借対照表(p6)より読み取れること、1)売掛金+在庫より買掛金が大きいため、短期借入れ(運転資金)は必要ない、2)借入金は月商の3倍以内が安全圏、6ヶ月で危険水域、3)土地、株式など資金を眠らせる資産への投資がない(p6、29)

    ・利益には5つの種類があるが、銀行は営業利益、格付け機関は経常利益を重視する、最終的な純利益を気にする人はほとんどいない、営業利益が黒字ならば、多額の節税策をとって赤字(純損失)にしても怖くない(p8、10)

    ・会社にお金を残す方法、1)経費を増やす、お金の支払いを伴わない経費、あるいは経営に必要な経費を増やす、2)できるだけ早く経費にする(p13)

    ・経常利益を黒字二する方法、1)売上原価の中の特別な原価を特別損失に、2)販売管理費の中の特別な費用を特別損失に、3)家賃収入などの営業外収益を売上高へ(p39)

    ・社内の経費をケチケチするより節税に力をいれる方がなん倍も効率的である(p45)

    ・節税を常時に行なうには、資産の部を活用する、1)過去に手に入れた資産に隠れている含み損(回収できない売掛金や貸付金、売れない在庫、地価の高いときに買った土地、使わなくなった建物など)を吐き出す、2)これから手に入れる資産をできるだけ経費(最新の税制を使う)で処理する(p45、46)

    ・外形標準課税は資本金1億円を超える会社が払う税金、利益が出なくても資本金の0.2%、人権費+支払利息等の合計額の0.5%発生する、中小企業で資本金が少ないのはこの背景がある(p58)

    ・全従業員を対象にすれば、慶弔見舞金・忘年会費用・社宅・保養所・外部福利厚生サービス利用費・育児介護関連も、福利厚生費と認められる(p174)

    ・会社の優劣の判断として、1)自己資本比率、2)総資産経常利益率(ROA)がある。ROAは、売上高経常利益率x総資産回転率に分解できる。前者は損益計算書に、後者は貸借対照表に関係する(p185)

      2020年4月25日作成

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