アマゾン化する未来 ベゾノミクスが世界を埋め尽くす

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478107300

作品紹介・あらすじ

コロナ後は、アマゾンが支配する大部分と、
小さな領域をミニ・アマゾンたちが奪い合う過酷な世界

アマゾン一人勝ち時代をハッキングして生き残る方法!

小売り、物流、家電、金融、ヘルスケア、メディア、広告、クラウド、AI・・・
フォーチュン誌のトップ・ジャーナリストが詳細に描く近未来

好むと好まざるとにかかわらず、アマゾンは世界経済においてますます大きなシェアを占め続ける。ベゾノミクスがどのように重要な転換点をもたらすのか、どのように社会を揺るがすのかを知り、ハッキングせよ!

アマゾンを動かす3つの哲学「顧客絶対主義」「技術革命」「長期的視野」。ピーター・ドラッカーも提唱したこれらの3本柱ですが、アマゾンは3つの哲学すべてを「同時に、鮮やかに」実践する力が桁違いだといわれます。それらを可能にしているのがCEOのジェフ・ベゾスの発明した「ベゾノミクス」です。

アマゾンのトップであるジェフ・ベゾスは、創業時にレストランのナプキンに、「フライホイール(はずみ車)」として呼ばれるアマゾンのビジネスモデルを書きつけたことが知られています。ベゾノミクスとは、本書の著者が名づけたもので、このビジネスモデルがAIの力によって、巨大化し、しかも大きく高速にまわりだしたことで、1企業の枠、業界の枠を超え、いまや資本主義全体に影響を及ぼすようになってきた現象を指しています。

本書は、AIフライホイールを軸にベゾノミクスを分析しつつ、さまざまな企業がアマゾンの一人勝ちにどう対抗しようとしているのか、将来の起業家や投資家はベゾノミクスから何を学ぶべきなのか、詳しく解説しています。

コロナ禍の後もアマゾンの独り勝ちが続き、もはやその分野は小売り、家電、クラウド、金融、ヘルスケア、メディア、広告など際限がありません。アマゾンの脅威から逃れられる業種はいまや皆無で、しかもアマゾンが見向きもしないような業界では「●●業界のアマゾン」を目指すミニ・アマゾンたちがしのぎを削っています。もはやベゾノミクスを駆使するのはアマゾンだけではないのです。

ベテランジャーナリストが、ベゾスが君臨するアマゾン帝国の特徴や強み、方針や展望などを読み解くとともに、アマゾンを出し抜き成功をおさめたスタートアップの創意工夫や、大手ライバル企業の対抗策を例に挙げ、アマゾンと共存していくための秘策を伝授します。

感想・レビュー・書評

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  • 加速するアマゾン化に警告をならす書。DXが行き着くところの1つの予兆の予感がしました。

  • 楡さんの「ドックファイト」を読んで、
    amazonの強さ・えげつなさを再認識したいと思って読んでみました。

    ※ドッグファイト
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4041082102#comment

    amazon礼賛本かと思っていましたが、
    意外にamazonの闇の部分にも触れられていて、
    著者はなるべく客観的であろうとしているようです。

    個人的に驚きだったのは、
    amazonがビジョナリー・カンパニー2の「弾み車」の概念を信奉して、
    「AIフライホイール」として愚直に経営している点。
    こういう基本を忠実にできるのがamazonの強みなんだなと再認識しました。

    ※ビジョナリー・カンパニー2
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4822242633#comment

    中国勢のヤラセ対策がイタチごっこで対策が不十分な点は、
    悪いのはヤラセ企業なので、多少の同情はしますが、
    「顧客のため」という大義名分のもとでエゲツナイことをやっていることもまた事実。

    私は、amazonユーザーではありますが、プライム会員ではなく(アメリカではプライムだったけど)、
    企業としてはそこまで信用していないので、
    あまりのめり込まない様にしたいと感じました。

    amazonはあらゆる業界に侵略を進めようとしているので、
    amazonの戦い方を今のうちに理解し、
    将来に備えておくことは、多くの人にとって必要なことだと思います。
    「amazon 世界最先端の戦略がわかる」と一緒に読みたい本です。
    (「amazon 世界最先端の戦略がわかる」が無駄がなく、読みやすい。)

    ※amazon 世界最先端の戦略がわかる
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4478105057#comment

  • べゾノミクスが世界を埋め尽くすという衝撃的なタイトルに惹かれ、現代の世界の小売業界を支配しているようにも見えるAmazonの戦略と野望を知りたくて読んだ。

    Amazonのビジネス戦略の中心にあるのは徹底的な顧客主義と超長期的志向。

    AmazonにおいてはAIがあらゆる事の土台となり、意思決定の多くを機械によって下すまでに達している。

    “べゾノミクス”とはAI技術をあらゆる分野に組み込み、大量に集められた顧客情報をビッグデータとして解析しより安く、便利なサービスを提供するというビジネスモデルを指すが、このようなモデルはAmazonだけにはとどまらず様々な業界に波及し、ビジネスのルールが激変している。

    このような流れは例えAmazonが無くなったとしても変わることがないと予想され、文字通り世界を埋め尽くす破壊的なイノベーションと見ることができる。

    以下気になった点を挙げると、

    ①AI技術を活用した大衆向け、大量の商品を出来るだけ安くという価格競争ではAmazonには勝てない。競合する企業はAmazonの苦手なことを理解した上での戦略が必要

    ②Amazonの苦手な事とは、高度にパーソナライズされたサービスで、顧客にとってオーダーメイドのラグジュアリー体験を提供することや、社会的な善(ソーシャルグッド)を追求したビジネスモデルなど。こういった努力により価格競争から脱却を図る
    必要がある。ニッチ、人間味、カスタマイズ、パーソナライズが鍵となる。


    ③Amazonプライム会員に加入することで無料配送、音楽やビデオのストリーミングサービスが受けられるなどの多くのメリットがあり、Amazonのエコシステムに顧客を取り込むことに成功しておりさらなるフライホイールの加速につなげている。


    いろいろと批判もあるAmazonの戦略だが、徹底的に自らのビジョンを貫くジェフベゾスの冷徹なまでのビジネスへの姿勢を本書を通して知ることができたのが良かった。

    スマートフォンからAmazonの商品を注文する度に、そのワンクリックの先でなにが起きているのかが少しは理解できたと思う。

    今後もAIフライホイールを高速で回転させ宇宙規模のビジネスを目指すAmazonの野望はまだまだ始まったばかりなのかもしれない。

  • ジェフ・ベゾフの興味深い生い立ちやアマゾンの立ち上げをさらりとおさらいして、現在のアマゾンのイノベーションやDeath by amazonの実態を克明に描きます。そして、Death by amazonにならない対アマゾン巧者の実例を挙げて説明し、その戦い方を指南します。AIとデータを徹底的に活用することで、顧客の利便性の更なる追求と低価格攻勢で顧客の習慣をも変えてしまうのが、ビジネス的には素晴らしいと思う反面空恐ろしくもあります。様々な分野に進出してその事業を広げているアマゾンからは今後とも目が離せません。元祖DXのアマゾンを見習うあるいはジェフ・ベゾスになったつもりで思考することがDX推進の一助となりそうです。

  • アマゾンの弾み車は有名であるが、ここまで組織が巨大化しても高速で回し続けているのだから本当にスゴイ。
    個人的にはGAFAの中でも特にアマゾンが気になって、よく解説の関連書籍を購入してしまう。
    お陰でアマゾンに詳しくなった訳であるが、本を読むたびに新しい発見があるのもアマゾンの特徴だと感じてしまう。
    確かに創業者のジェフ・ベゾス氏は「火星人」と例えられるぐらい飛躍した思考の持ち主であるが、たった一人だけでここまでの企業を作り上げられた訳ではない。
    ベゾス氏に共感し、同じような思考を持ち、情熱を持ち、実行した人たちが今のアマゾンを作り上げているのだ。
    そういう意味で、各業界がアマゾンに駆逐されると言われているが、既存の企業達は本当にアマゾンに対抗して戦えるのだろうか。
    「アマゾンは普通の企業じゃない」という言葉もべゾス氏の言葉だったかと思う。
    アマゾンが異なる業界に進出してきた際、その業界のいわゆる普通の企業群は慌てふためくだけだった。
    まさに「ベゾノミクス」のインパクトは凄まじい。
    業界1位を奪取するだけではない。その業界を根こそぎ破壊し、すべてアマゾン色に塗りつぶしてしまうのだ。
    その業界の既存のルールを、アマゾンの都合のいいルールに変えてしまうのだから、たまったものではない。
    その業界の既得権益者は大きなダメージを受ける訳であるが、これは決して悪い話だけではない。
    アマゾンの弾み車の起点はあくまでも「顧客第一主義」である。
    今までの既得権益者だけが甘い汁を吸い、もし顧客から多くの物を搾取していたのであれば、そこはアマゾンが容赦をしない。
    顧客のためになることを、文字通り徹底的に行う。
    そして、今までの既得権益者を駆逐してまでも、顧客第一主義を貫き通すということなのだ。
    文字通り「破壊者」と言われているが、結果顧客にとって喜ばれ、選ばれたのは既得権益者ではなくアマゾンなのだ。
    何かのズルをした訳でも、顧客を騙した訳ではない。
    真の実力で顧客から選ばれたアマゾンは益々力をつけていくのだ。
    アマゾンが次にどこの業界を狙っているのかは分からない。
    しかし、だからこそアマゾンの動きを追いかけておくのは非常に重要なのだと思う。
    おそらく「音声」の部分は、アマゾンAlexaが独り勝ち状態になりそうだ。
    Alexaによって、人々の生活はどう変わっていくのだろうか。
    今人々が想像している範囲以上の効果を生み出しそうな予感がある。
    それは、Alexaの先にあるAIが、凄まじい勢いで進化をしているからである。
    アマゾンが物流を変えているが、この進化も留まることを知らない状態だ。
    ほぼ自動化が実現し、物流に人間の手がほとんど関わらなくなった時に、世の中の商流は一体どうなるのだろうか。
    そういう先の未来世界までアマゾンは見ているのだろうか。
    やはり、変化してから対処していたのでは遅すぎる。
    アマゾンを徹底的にベンチマークして、対策を立てない限り、ある日突然に転覆させられてしまっては遅いのである。
    本書では、アマゾンの裏をかく戦い方も指南している。
    本当にこういう発想が必要なのではないかと思ってしまう。
    そのためには、アマゾンをよく知る事である。
    変化はデジタルの世界に限らない。
    前提を疑い、バイアスを排除して考えなくてはいけない。
    生き残るためには、常に考え続けるしかないのである。
    (2023/3/5)

  • ペソスはソフトウェア開発の為に、現在では伝説となっている「2枚のピザチーム」理論を考案した。プロジェクトチームの人数は、食事のさいにピザ2枚で賄える位の数、つまり10人以下に抑えるべきだ。

  • AIフライホイールで弾み車のように集めたデータを使って新たな価値を作り出していく。その中でウォルマートのような超巨大企業からAmazonマーケットプレイスで商売する中小業者までと競争して、ベゾスの言葉を借りれば「どのような形であっても勝つ」ことを目指す。それが消費者としての我々の利便性を高めるのであればそれは歓迎すべきことなのだろうし、今のところ私は不満をそれほど抱いていない。
    倉庫での過酷な労働環境などの話はよく聞くが、それも金と技術で解決してしまいそれがさらにフライホイールに勢いをつけていくのだろう。
    それにしてもアメリカのこういうタイプの書籍にありがちなくどいくらいの例示が長い。もう少しコンパクトに編集すればいいのにと思う。

  • ベゾノミクス、シャドウ、AIフライホイールなど、Amazonのイノベーションの実態が解説されていて、その思考に驚きや学びがたくさん。

    ここまでさまざま業界に手を広げている手法と、ベゾスの人間性も驚きます。

    たくさんの方が憂いているように、Amazonとの戦い方を今のうちに考慮し、
    備えておくことは、どの業界にも必要ですね。
    すごいと思う反面、なんかちょっと恐ろしくも感じました。

    それでも、宇宙に行こうとしているのは共感できるし、
    Amazonから受けている恩恵もたくさんあるし、いろいろ複雑な心境です。

  • ビッグデータにAIを掛け合わせたジェフ・ベゾス、恐るべし。
    ジェフ・ベゾスに狙われたら逃れることはできない。

  • 2020年77冊目。満足度★★★★☆ アマゾンの「AIフライホイール」をはじめとする「ベゾノミクス」を解説。そして、これがベゾスの手を離れ、世界各国の企業が採用するようになったと指摘。世界が「アマゾン化」しつつあると。やはり、アマゾン株主はもちろん、現代企業をより理解したいのであれば、読んで損はないであろう。

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著者プロフィール

ブライアン・デュメイン(Brian Dumaine)
『フォーチュン』誌を中心に、30年にわたって記事執筆と編集を行なうニューヨーク在住のジャーナリスト。多数の受賞歴を持つ。ビジネス関連のストーリーを紹介するメディア「High Water Press(ハイ・ウォーター・プレス)」を創設、編集責任者を務めている。




「2020年 『アマゾン化する未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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