ドラッカー名著集2 現代の経営[上] (ドラッカー名著集 2)
- ダイヤモンド社 (2006年11月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478307007
作品紹介・あらすじ
企業に働く者の使命、責任、役割、仕事の方法を説く経営学最高の古典。
感想・レビュー・書評
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会社は営業、生産、人事、経理、財務などと分ける機能別組織とするよりも事業部制とする方が優れている。機能別組織は縦割りになり、官僚化しがち。小さなところでビジネス全体をカバーする事業部制は机上の論理では全体最適にならなそうであるが、アウトプットが見えやすく秀でている。
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OKRとMBOの違いが分からんという疑問から、ではそもそもドラッカー先生はMBOについて何と言っていたのかということで関連するところをざっと読み。
久しぶりのドラッカー本だが、もはや自分の中では経営学者というよりは経営哲学者であり、全てに感じ入るところがあるが、明示的なことは何も言ってくれない。そして、OKRはやっぱりMBOを言い換えただけじゃないかとますます思わせる。 -
・toppointで読む
・マネジメントの機能
・事業マネジメント
・経営管理者マネジメント
・人と仕事のマネジメント -
「企業の目的は顧客の創造である」
経営者に会うのにこの本読んでなかったら話にならないです。 -
わけあって、経営学の大古典「現代の経営」を読むハメに。
変化の早い経営の世界で、1954年に書かれた本を読むのは、あまり気が進まないし、「現代の経営」といえば、「目標管理」を提唱した本。「管理」の好きでない私が、気乗りしないのは、分かっていただけるだろうか。
が、読んでみてびっくり、ここには全く古びれない経営が述べられているのだ。このなかには、ステークホルダー経営もCSR経営もバランス・スコア・カードもあるし、社員のモチベーション向上や計画を実践に移すための社員のプランニングへの参画もある。全く恐るべき本である。ちなみに「目標管理」もそれぞれが自発性をもって取り組むべきもので、いわゆる「管理」ではないのだ。
というわけで、経営学の本を1冊だけ読むとしたら、「現代の経営」という話は嘘ではなかった(翻訳では2冊に分かれているけど)
それでも、評価が最高の星5つではないのは、
・事例等が古くてピンとこない、
・冷戦期に書かれていて、時代背景の文脈を読み取ることが必要、
・記述が哲学的、社会学的すぎて、実務的にはやや分かりにくい、
・「べき論」としては分かるけど、それをどうしたら実現できる、分かりにくい、など
今日の読者にとっての読みやすさという面から。
あと、ドラッカーって、やっぱりウェーバーとかシュンペーターにつながるドイツ人だなと思った。個人的には、英米的な実証主義的な経営学の本を中心に読んでいるので、その辺の読みにくさも1点減点には影響しているかな。
つまり、内容としては、当然の星5つということ。
ちなみに、原題は、the practice of managementで、「現代」という意味はない。経営とは、理論ではなく、実践されるべきものなのだ。 -
本著は経営学の最高の古典、経営の原点、経営の常識と言われています。経営のために必ず読まなければならない本を一冊あげるならば本著だといわれています。
確かに原理原則が丁寧に説明されてあって、どの章も考え深く構成されています。
本著は一回読んだだけでは真髄に触れるまでいかないでしょう。経営者であるなら自分自身の自己啓発というか成長や改革改善につれて、感銘を受ける箇所が変わってくるように思えます。
今読み終わって印象に残った部分はおそらく二回目読んだときは輝きを失い、別の箇所が輝いている、といった書です。だからこそ古典といわれるのでしょう。要再読。
以下印象に残った文章。
・企業の目的は、それぞれ企業の外にある。事実、企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。
・企業経済学の指導原理は利益の最大化ではない。損失の回避である。企業は事業に伴うリスクに備えるために、余剰を生み出さなければならない。リスクに備えるべき余剰の源泉は一つしかない。利益である。
・目標なるものは鉄道の時刻表ではない。それは航海のための羅針盤である。それは目的地にいたる航路を指し示す。
・ほとんどの企業において、経営管理者は最も高価な資源である。最も早く陳腐化する資源であって、最も補充を要する資源である。彼らのチームを築くには数年を要する。しかし、それはわずかの間の失敗によって破壊される。
・ヘンリー・フォードの失敗の根因は、10億ドル規模の巨大企業を経営管理者抜きにマネジメントしようとしたところにあった。彼はその秘密警察のおかげで、他の役員が行おうとする決定をすべて知ることができた。彼が必要としていたのは技術者だけだった。
・組織の文化は、それを最初に形成した人たちがいなくなったはるか後においても生き続ける。それは、新しく入ってくる者の姿勢と行動を規定する。組織の中で成功する者を決める。組織が卓越性として認め報いるべき者を決める。また凡庸として無視すべきものを決める。さらに組織内の人間が成長するか、いじけるかを左右する。健全に育つか、育ち損なうかを左右する。組織の卑しい文化は卑しい経営管理者をつくり、偉大な文化は偉大な経営管理者をつくる。
・マネジメントのセミナーでよく取り上げられる話に、何をしているのかを聞かれた三人の石工の話がある。一人は「これで食べている」と答え、一人は「国で一番の仕事をしている」と答え、一人は「教会を建てている」と答えたという。もちろん、第三の男があるべき姿である。第一の男は、一応の仕事をする。報酬に見合った仕事をする。問題は第二の男である。
・経営管理者に与えられる決定権限については一つの簡単なルールがある。GEの電灯事業部の経営憲章は、アメリカ合衆国をもじって、「明確かつ成文をもって上位のマネジメントに留保されていない権限は、すべて下位のマネジメントに属する」と定めている。
・「重要なことは、できないことではなく、できることである」。自己管理による目標管理は、何をなすべきか教える。適切に仕事を組織するならば、誰でもそのなすべきことをなしうるようになる。しかし、それを実際になさしめるものは組織の文化である。
・一度も間違いをしたことのない者、それも大きな間違いをしたことのない者をトップマネジメントの仕事につかせてはならない。間違いをしたことのない者は凡庸である。そのうえ、いかにして間違いを発見し、いかにしてそれを早く直すかを知らない。
・ナポレオンに抵抗する唯一の国を率いて、国民に勇気と決意とリーダーシップを示した小ピットは、私生活でも高潔な人だった。公正だった。誠実な夫であり父だった。彼が若くして天国の門をくぐろうとしたとき、聖ペテロが「天国に入れると思うのか」と聞いた。小ピットは「賄賂も受けず、愛人も持たなかった」と答えた。しかし聖ペテロは「しなかったことには興味がない。何をしたのか」と再び聞いた。
・組織の文化はトップから形成されていく。士気の高い組織はトップの士気が高い組織である。組織の文化が腐るのはトップが腐るからである。木は梢から枯れる。 -
ドラッカー名著集の2冊目。上下巻の2巻構成になっています。この上巻は飛行機の中で一気に読み通しました。
原題『The Practice of Management』。1954年刊行の本というから改めて驚きです。その内容は今でもほとんど通用するのではないかと思います。
・企業の目的の唯一の定義は、顧客の創造である
・「われわれの事業は何か」を問うこと
・企業の基本的な機能は、マーケティングとイノベーションである
・自己管理による目標管理
など、後の大部『マネジメント』他に至るまで繰り返される重要なコンセプトがここであらわれています。
下巻も楽しみです。 -
[出典]
「参謀の教科書」 伊藤俊幸
p.152
「真摯さに欠ける者は、いかに知識があり、才気があり、仕事ができようとも、組織を腐敗させる」
→ 人格の重要性 -
経営にはマネジメントが必要不可欠だ、という現代では「それはそう」というくらい当たり前になった考え方が丁寧に論じられる。(現代でもたびたびマネジメント不要論は提唱されることを鑑みるに、いまだにそうでない考え方もある)
「壊れたトイレのドア」の逸話などはマネジメントの機能不全がもたらす損害の具体例としてこれ以上ないほどにわかりやすい。