企業戦略論【下】全社戦略編 競争優位の構築と持続

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478374542

作品紹介・あらすじ

市場環境の視点と企業内部の視点を融合。コンピタンスの視点で競争優位を徹底解説。

感想・レビュー・書評

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  • 企業戦略論 下 全社戦略編
    競争優位の構築と持続
    著:J・B・バーニー
    訳:岡田 正大

    上巻、中巻については、単一企業の戦略を論じてきた
    下巻は、企業の全体戦略。アライアンス、買収など、複合戦略と、グループ経営を論ずる。
    出資を伴わない業務提携からはじまり、多角戦略、合併、買収、国際戦略にいたる


    <本書の前提>
    組織行動学(OrganizationalBehavior) と、財務(Finance)
    会計学(accounting)と会計原則(generally accpted accouning rules)
    企業戦略論(Strategic Management)
    マイケル・ポーターの「競争の戦略」

    ■戦略的提携

    ・戦略的提携の類型
     ①業務提携(出資伴わない)
      ライセンス契約
      供給契約
      配送契約
     ②業務・資本提携
     ③ジョイント・ベンチャー

    ・戦略的提携を促す、企業間の範囲の経済
     ①規模の経済の追求
     ②競合からの学習
     ③リスク管理とコスト分担
     ④暗黙的談合の促進
     ⑤低コストでの新規市場参入
     ⑥新たな業界、業界内セグメントへの低コスト参入
     ⑦業界、業界内セグメントからの低コストでの撤退
     ⑧不確実性の対処

    ・戦略的提携の裏切り
     逆選択
     モラル・ハザード
     ホールドアップ

    ・戦略的提携の代替
     内部開発
     買収

    ・戦略的提携における組織
     業務提携
     業務・資本提携
     企業の評判
     ジョイント・ベンチャー
     信頼関係

    ■多角化戦略

    ・多角化の類型
     限定的多角化 各事業が同一業界に属している
     関連多角化 単独事業70%未満、複数事業に関連
     非関連多角化 単独事業70%未満、複数事業はいずれも独立

    ・多角化戦略を実行する動機
     ①事業運営上の範囲の経済
      活動の共有
      コア・コンピタンス
     ②財務上の範囲の経済
      内部資本配分
      リスク分散
      税効果
     ③反競争的な範囲の経済
      多地点競争
      市場支配力の活用
     ④従業員とステークホルダーの多角化インセンティブ
      従業員の人的効果の多角化
      従業員以外のステークホルダーのリスクの多角化
      マネジャーの報酬の最大化


    ■多角化戦略の組織体制

    ・エージェンシー:代理店
     経営者特典
     リスク回避性向

    ・事業部 損益センター
     取締役会
     機関投資家
     トップ経営者
     執行役員会 CEO,COO,
     コーポレート・スタッフ

    ・マネジメント・コントロール
     事業部パフォーマンスの評価システム
      パフォーマンス評価基準の設定
      予算編成
      経営上の自由裁量
      短期指向のバイアス
     各事業部への資本配分システム
      ゼロベース
      事業部横断的な資本配分
     事業部間で中間製品を移転するためのシステム
      最適な移転価格の設定
      現実的な移転価格の設定

    ・報酬政策

    ■合併買収

    ・合併のカテゴリー分類
     垂直型合併 供給者や、顧客を買収
     水平型合併 競合を合併
     製品拡張型合併 M&Aにて既存製品を補完
     市場拡張性合併 あらたな市場を獲得
     コングロマリット型合併 戦略的関連性なし

    ・M&Aの理由
     生産コストや流通コストの削減
     財務的な動機
     製品市場における市場支配力の獲得
     ターゲット企業の非効率な経営陣を排除

    ・M&Aの動機
     企業存続の確保
     フリーキャッシュフローの存在
     エージェンシー問題(代理店)
     経営者の傲慢
     標準を上回る利益を得られる可能性

    ・マネージャーの規範
     価値があり希少性を有する範囲の経済を探索せよ
     情報を他のビンディング企業に漏らすな
     情報をターゲット企業に漏らすな
     入札競争に勝ち抜く、という事態は避けよ
     交渉をできる限り速やかに終わらせよ
     商いの薄い市場、で買収を完遂せよ

    ・ターゲット企業のマネージャーのための原則
     ビンディング企業に情報提供を要求せよ
     入札競争に他のビンディング企業を読み込め
     買収プロセスをゆっくり進めよ

    ・ターゲット企業の経営陣が買収に対してとる行動
     ①富を減らす行動
      グリーンメール
      停戦合意 
      ポイズンビル
     ②富に影響を与えない
      サメよけ
      パックマン戦法
      王冠の宝石の売却
      訴訟
     ③富を増大させる行動
      白馬の騎士
      オークション
      黄金のパラシュード


    ■国際戦略

    国際戦略とは、多角化戦略の特殊なケース

    ・国際戦略の経済価値
     ①既存製品やサービスに対する新規顧客の獲得
      国際化と企業の売上
      国際化と製品ライフサイクル 導入期・・成長期・成熟期・衰退期
      国際化とコスト削減
     ②安価な生産要素へのアクセス確保
      原材料
      労働力
      技術
     ③新たなコア・コンピタンスの形成
      国際事業からの学習
      学習しようとする明確な意図
      透明度と学習
      学習への感受性・受容性
      新たなコア・コンピタンスを新たな市場で活用
     ④現行のコア・コンピタンスを新たな方法で活用する
     ⑤企業リスクの軽減

    ・現地適応と、国際統合のトレードオフ ⇒双方の優位を同時に実現する、トランスナショナル戦略

    ・国際戦略における金融・政治リスク
     金融リスク:貨幣価値の変動とインフレ
     政治リスク

    ・国際戦略における組織体制
     輸出
     ライセンス契約
     業務提携
     業務・資本提携
     ジョイント・ベンチャー
     合併
     買収
     100%の現地法人

    目次

    上巻 基本編

    第1章 戦略とは何か
    第2章 パフォーマンスとは何か
    第3章 脅威の分析
    第4章 機会の分析
    第5章 企業の強みと弱み

    中巻 事業戦略編

    第6章 垂直統合
    第7章 コスト・リーダシップ
    第8章 製品差別化
    第9章 柔軟性
    第10章 暗黙的談合

    下巻 全社戦略編

    第11章 戦略的提携
    第12章 多角化戦略
    第13章 多角化戦略の組織体制
    第14章 合併買収
    第15章 国際戦略

    ISBN:9784478374542
    。出版社:ダイヤモンド社
    。判型:A5
    。ページ数:320ページ
    。定価:2400円(本体)
    。発行年月日:2003年12月
    。発売日:2003年12月04日

  • 全社戦略である、戦略的提携、多角化戦略、M&A、国際戦略がテーマ。関連性のない多角化が失敗する理由がよくわかった。
    上中下通して繰り返し述べられてたのは、VRIOを持つコアコンピタンスを構築することが持続的競争優位の源泉だってこと。
    繰り返し読むと発見が多そう。

  • 戦略の初学者には必須の書籍。

  • 下巻
    11章:戦略的提携
    12章:多角化戦略
    13章:多角化戦略の組織体制
    14章:合併買収
    15章:国際戦略

    下巻は、他社と協力していくか、取り込んでいいくかをまとめてくれていた。
    行ったときの価値、行うための方法や組織体制まで踏みこんでくている。

  • コーポレー ト・スタッフの主要な責務は、トップ経営者に対してその企業の外部環境および内部環境に関する情報を提供することにある。

    情報は提供しています。ただそれが有益なものになっているとはとても思えません。ふ〜んそう、で終わられている気がして仕方ありません。

    知財でいう有益な情報、経営層に刺さる情報とはどういうものか。今、あるツールを使って何か情報というよりも知識を引き出せないか、検討しています。今度こそうまくいくといいな。。。

  • 所謂経営戦略の全て

  • J.B.バーニーによる企業戦略の名著。全三巻、1000ページを超える重厚なシリーズだが、翻訳本特有の読みにくさがない。訳が非常にこなれている。訳者である岡田氏はバーニーに学んだ方だそうだ。名著に名訳。ありがたい。

  • -

  • 多角化や合併買収、国際戦略について述べられている。
    それでも、上巻中巻に記載されていることから一貫しており、何を以て差別化するのか、希少性を得られるのか、価値あることを提供できるのかが問われ続けている。

  • 企業戦略論のバイブルの下巻。全社戦略編ということで、複数事業を運営することで競争優位を築くための事業領域の拡張方法や複数事業の運営方法を考察する。
    事業戦略編と同様に、それぞれの全社戦略の定義とVRIO(どんな競争優位か、稀少性や模倣困難性はあるか、どのような組織体制で進めるのが効果的か)の観点からの分析について書かれている。

    以下は覚書。

    ■第11章 戦略的提携
    他社と協業するもの。暗黙的談合とは違い、交渉等により明らかな協力関係を構築する。大きくは資本関係の有無で提携と合弁会社の2パターンについて述べている。また、協力関係の裏切りについても、メリット・デメリットを考察している。
    ※キーワード: 範囲の経済、シナジー

    ■第12章 多角化戦略
    複数事業を自社で運営するもの。本書のメインと言っていいと思う。ボリュームが多く、組織体制については次章に書かれている。最初に多角化の分類から入っているが、基本は事業間の関連性の有無で関連・非関連多角化の2パターンと思ってよい。特にポイントになるのは、生産、物流などバリューチェーン上の機能を複数事業間で共有してコスト優位を築く活動の共有、コア・コンピタンスをベースにした多角化、の2つと思う。事業リスクの分散についても考察している。
    ※キーワード: コア・コンピタンス

    ■第13章 多角化戦略の組織体制
    前章の続き。複数事業を運営する際のコーポレートと事業の役割分担のあり方についてがメインの論点。大手企業に勤めていると、ふむふむと読める。各事業にどれだけのリソースを配分するかの予算編成の話や組織の力学の話もあり、おもしろい。

    ■第14章 合併買収
    流行りのM&A。M&Aによって単なる足し算以上の価値が得られるか、競合他社とのM&Aを巡る駆け引き、M&A後に効果を刈り取るための事業運営などなど。ここもおもしろい章。コーポレートの企画で一番おもしろいところじゃないかなと個人的に思う。

    ■第15章 国際戦略
    複数の国で事業運営をするもの。ちょっと他のと比べると違和感があるが、輸出ではなく現地法人の設立を考えるなら全社戦略に入るのも納得。現地のニーズに合ったサービス供給(現地適応)と国を越えて範囲の経済を実現することのバランス、各国の政治リスク等について考察している。

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著者プロフィール

ジェイ B.バーニー(Jay B.Barny)
ユタ大学経営大学院教授。アメリカ経営戦略領域におけるリソース・ベースト・ビュー発展の原動力となった戦略理論家。1996年にはアメリカ経営学会の経営政策・戦略部会会長を務めた。エール大学で博士号を取得後、オハイオ州立大学経営学部フィッシャー・ビジネススクール企業戦略バンク・ワン・チェアーシップ教授などを経て現職。経営学のトップジャーナルAMR、AMJ、AME、SMJ、Management Science等に50を超える掲載論文。

ウィリアム S. ヘスタリー(William S.Hesterly)
ユタ大学経営大学院教授

「2021年 『新版 企業戦略論【上】基本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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