なぜ安くしても売れないのか―一人二極化消費の真実

  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 98
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478502709

作品紹介・あらすじ

安く買うにはわけがある。安く買うホントの気持ち。価値ある「ワンランク下」が巨大な市場になる。

感想・レビュー・書評

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  • マクロトレンドとして、消費の一人二極化について解説した本。

    ・ミドル層の市場は大きいものの、縮小が続いており(2極化が進んでおり)、ここをターゲットとしている企業の成長は難しい

    ・消費者の購買行動が2極化しており、ハイエンドではワンランク上、ローエンドでもワンランク下の消費が行われ、その間には凡庸で利益率も低いミドルエンドな商品が残る。

    ・ローエンドのワンランク下として、欧州ではハードディスカウンター(アルディ、リトル)が存在しており、製品数を通常のディスカウントストアの10分の1の回転率の高い製品だけに絞った商売を展開している、アメリカではダラー・ストア

    企業サイドでビジネスモデルを考える際のヒント
    ①価値計算ロジックの変わり目と変化の方向性を読み解く
    ②安くてもとんがり・こだわりを作る
    ③消費の楽しみ・選ぶことの楽しみを残す
    ④安心・信頼できるブランドになる

  • なぜ高くても買ってしまうのか、の続編というかローエンド版で消費者視点からの事例が豊富。

    前作でのニューラグジュアリー的な価値観がロープライスな世界でも適用できるという内容で、結局のところ惰性でいけばジリ貧で頭使わないといかんよね、ということになるかしら?

    相変わらずボスコンの分析はわかりやすいんだけど、前作に比べるとそんなに目新しさはなかったような。。。前作の復習的に読むにはちょうどいいかな

  • 我々の消費行動は二極化が進行している。
    ワンランク上を求める消費とワンランク下を求める消費である。
    本書はその両極の起こりと問題について、また二極化が進む消費社会をいかにして制覇するかを説いた本です。消費者を知るには良い本だと私は思います。

  • コンサル会社の噛んでる本は
    「実例豊富、結論うやむや」
    の構成が多い気がするが、例に漏れずこの本も。

    ミドルクラスの消費行動研究の本。
    消費の一点豪華傾向の事例が豊富です。

    まず一章でなぜワンランク下・ワンランク上の消費に分かれているのかを解説。

    端的に言えば、質の平準化により普通の価格で普通のものを買わなくても
    ・ちょっと多く出せば結構いいものが
    ・少し安くても十分質の高いものが
    入手できてしまうので、普通の価格・普通の品質のものは売れないね

    ってとこかな。

    後の章で
    各消費者がなぜそのように消費するのかについて、インタビューをまとめた形で報告。
    ここがすごくサンプルが多く、興味がある人にとっては読みごたえがあります。

    それらの例に対して、その価値計算プロセスに適応した企業の例が出てきますが、
    成功企業の例は、そのプロセスについては書いてあるものの
    なぜ成功したのか?といった観点からの記述は弱い気もしました。

    監訳者あとがきが、一番内容が濃い気もします 笑。

    結構面白く読めました。

  • 「高くても買ってしまうのか」というテーマの前作から、
    今回は「安くしても売れないのか」というテーマ。

    サブタイトルである一人二極化消費をキーワードとして、
    様々な登場人物をケースに取り上げて、卑近な事例に落とすことで、
    理由付けに読者の納得感を醸成する構成。

    最大ボリュームゾーンであるミドル層の購買行動は、
    1ランク上(プレミアム)か、1ランク下に偏るようになり、
    中間層のモノは売れない。
    でも、ただ安くすれば売れるわけではない。

    安いことへの納得感、
    買うこと・選ぶことの楽しさ(本書では冒険と表記)
    がないことには売れないとし、
    更に、個人の中の価値計算ロジックに沿わない限り駄目だとしている。
    特に安いものを買う理由付けの提供、買いやすい演出(売場・ブランド)を
    売り手はキチンと提供する必要があるとされている。


    ケースに挙げられている事例が反対に分かりにくくしている感もあり、
    非常に読みにくい本だった。

    正直、最後のまとめと後書きを読めば事足りる。

    個人のお財布は有限であり、売り手の立場からすれば、
    「早い者勝ち」という考えは、個人的には新しいもので、
    ビジネスのスピードの重要性を改めて認識した。

  • 興味あるものにはとことんお金をかけて、
    生活用品みたいなものにはお金をかけないという二極化消費
    における話。特に女性の買い物はこういうスタイルらしい。
    購買を通じて経済を支えるのはやはり女性だなと思う。

    以下ネタバレですが、

    なぜ売れないかの回答の1つとしては、
    「単に安くしただけでは売れない。一番安くないと選ばれない。」がある。
    ちょっとでも高ければ簡単に切り捨てられる厳しい世界だ。

    もう1つの回答が重要で、これは原著のタイトルにもなっている
    「Treasure Hunt」。単に安い店にいくんじゃなくて、
    「宝探しにいく楽しみもあるよ」ということである。

    例えば、100円均一のショップは安いけども、
    何か面白いものが無いかとか、こんなものまで100円で買えるんだ、
    とか、そういう購買意欲の創出を狙っている、というのが本書の主張
    のように感じた。

  • マーケティングの本にありがちなことだが、定量的な話が抜け落ちている。その為、実際にプロジェクトでアウトプットに落とし込む際には、この本は役に立たないと感じた

  • リーマンショック前に書かれた本ですが、
    消費の二極化について良くわかります。

    日用品・自分で使う物は低価格に抑え、
    特別な物や子供の物には惜しみなくお金を使うため
    ミドルクラスの物が売れなくなってきている。

    ただしリーマンショックによる景気悪化の影響で
    高級品の買い控えが進んでおり、
    現在の消費は「低価格」への一極化なのかも。

  • 開始:20071001、完了:20071001

    アメリカの典型的ミドル層を例にとり、ミドルクラスの消費動向を指し示している。特にワンランク下の消費に焦点をあて、企業がどういう戦略をとっているか解説している。日本でのユニクロやしまむら、ヤマダ、ジョイフル本田なんかに置き換えて読み進めるとよい。以下、気になった言葉。ワンランク下の低価格帯とワンランク上のプレミアム価格帯の市場が成長する一方、マンネリ化して値打ち感のない中間価格帯の商品・サービスには目が向けられなくなっている。前作「なぜ高くても買ってしまうのか」では、ワンランク上の消費に焦点。本書ではワンランク下の消費に焦点。ミドルクラス消費者の購買行動の裏にある真理や感情を理解することに注力している。なぜワンランク下を買うのか、実質的な違いがないから。ワンランク下のプレーヤー10位、ウォルマート、ホーム・デポ、ターゲット、ロウズ、コールズ、コストコ、ステープルズ、TJXカンパニーズ、ファミリー・ダラー、ダラー・ゼネラル、ワンランク上のプレーヤー10位、コーチ、ホールフーズマーケット、ティファニー、ウィリアムズ・ソノマ、リミテッド・ブランズ、チーズケーキ・ファクトリー、ノードストローム、ニーマン・マーカス、サックス、プリンカー・インターナショナル。ワンランク下の消費は大都市から遠く離れた農村地帯や郊外で始まり、その後、じょじょに沿岸地域や都市部に波及していく場合が多い。ウォルマートは当初は農村地帯に出店する戦略。働く若い女性は、ファッションと外食ではワンランク上の消費だがその他の多くのカテゴリーではワンランク下の消費を行う。ワンランク下を狙うときのモットーは、BLCR、B(Basic 基本)、LC(Low Cost 低価格)、R(Reliability 信頼)。両極を支配しているのはトヨタ。韓国のLGも。ヴァイキング・レンジ・コーポレーションも。二極化している市場で成功している企業、①中間価格帯から脱出する、②コストを下げ、品質をあげる、③アウトサイダーのように攻撃する、④消費者の声をひたすら聞く、⑤得意客に焦点を合わせる。ディスカウント店と高級店の急成長が衰えることはなさそうだ。ドイツでは国民性といえるほど倹約が尊ばれており、あらゆるものを可能な限り安く買うことが消費者の誇りとなっている。フラット画面テレビの最強のライバルがカリブ海クルージングや高性能のマウンテンバイクでもおかしくない。消費者が本音で話すようなインタビュー法を工夫する。市場調査データに頼っている限り、二極化する市場での成功戦略を進めることはできない。ドイツ人にとってアルディは重要。ダラー・ストア = 日本でいう100円ショップ。セーフウェイは中間で身動きがとれない。イーベイ、世界最大の宝探しの場。イーベイユーザのほとんどは中間層。イーベイ、中毒性高い、イーベイの醍醐味はオークションのスリル。Kマートは時間限定で特価戦略。チボー、「今ここでしか買えない商品を売る」、「テーマ性のある世界」、比較的安い、何より雰囲気とサービスが抜群。小売業の成功は物語作りから始まる。バス・アンド・ボディ・和^クス、BBWのような感覚的体験を提供する企業には大きな追い風も吹いているようだ。今のアメリカ女性で週に一度以上「ゆっくり時間をかけて」シャワーを浴びるのは全体の52%にすぎない。週に一度以上、バスタブに浸かる女性はわずか28%。毎日、体に保湿剤を塗る女性は53%、足に保湿剤を塗る女性は55%しかいない。それに「もっと自分の時間がほしい」「ストレスを減らしたい」「美しく見られたい」「自分を美しく感じたい」という普遍的ウォンツがある。最低価格から上を目指したLG。もともと、ラッキー化学工業所としてスタート。LG=Lucky Goldstar。ホテルの業績を決める最大の要因は稼働率と操業コスト。設備投資も固定費も高いビジネス。ベスト・バリュー・イン、業界きっての成長率。観察の大切さに気づくこと、観察を真面目にとらえることが必要。ハワード・シュルツはイタリア人のコーヒーの飲み方に魅力を感じた。顧客との重要な接点となる活動(調査、インタビュー、人物像の設定、ターゲット設定、メッセージの作成、製品の実地テスト、CRMなど)を外部委託してしまい、結局自分では何も学べなくなってしまうケース。訳者あとがき、日本の事例、ジーユー、第三のビール、船井電機、ユニデン、無農薬野菜の宅配、コンビニの低価格弁当、ドンキホーテ、100円ショップ、HIS。

  • 松田
    長いので別途まとめ中

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