飢餓の世紀: 食糧不足と人口爆発が世界を襲う

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478870426

作品紹介・あらすじ

食糧の危機管理は、21世紀に向かう人類にとっての最重要課題。本書は「飢餓の世紀」の到来を直視し、食糧と人口をバランスさせるための食糧安全保障戦略を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • SDGs|目標2 飢餓をゼロに|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/479402

  • 95年頃学部の課題図書だった。あの頃は熱かったなあと、2012年本棚整理で見つけて思う。当時、焦燥感と絶望感とやる気が沸いた。現在、現実になっていて、なかなか変わらない世界と、自分の力の小ささを知ってしまって、挫折も味わって、その日の生活に精一杯の毎日で、ほんとどうしようもないんだなぁと、残念な気持ちになった。

  • ◎ほとんどの農業技術が利用つくされており、どんなに熱心で進歩的な農民も、食糧増産のための新しい耕種学的手法の選択肢をもたない。(←??)

    ⇒日本は1984年位コメの収量がヘクタールあたり4.7トンでピークを打った。それ以降の9回の収穫は一度もこれを上回ることができなかった。


    ◎多くの国では、いまある作物品種に対して化学肥料の使用量を増やしても、収量にほとんど効果を現さない。(←??)

    ◎最優先すべき課題は、
    ・家族計画サービスの不足を埋めること。
    ・識字率の低さや貧困など高出生率の根底にある諸原因を解決すること
    ・土壌と資源を保全すること
    ・農業への投資を増やすこと

    ◎近代世界では消費者から遠く離れたところにすんでいるので、消費者への穀物の流れが途切れないようにするには大量の穀物備蓄が必要になる。

    ◎近年の根拠のない楽観主義を導いている要因は、政府によって高く保たれている農産物価格と、
    化学肥料および灌漑のための補助金が穀物生産を促進しているという事実。

    ◎1990年代半ばの今日、世界はあまりに多くの食糧不安の種を抱えている。
    米国の厳しい旱魃や、インドの不作。何らかの大きな攪乱ひとたび起きるとたちまち価格が急騰しかねない状況にある。

    ◎価格上昇は、多数の低所得穀物輸入国における政治的安定を同時に揺るがす。

    ◎人口が増えて、人々の要求が森林、草地、耕地、地下帯水層の持続可能産出量を超え始めると、人々は直接あるいは間接的にそれらの資源基盤そのものを食いつぶしはじめる。

    ◎1950年から1993年の間に、西ヨーロッパの穀物総生産量は152%の増加、アフリカは118%の増加。

    西ヨーロッパの一人当たり生産量は235キロから約500キロへ倍増したが、
    アフリカは162キロから118キロに低迷。
    人口増加率の大きな開きがこのような違いを作り出した。

    ◎豊かな人々が食糧の消費量を減らすべき理由はたくさんある。
    世界で最も健康な人々は、デンプン質に偏った穀物中心の生活をしている人々でもなければ、大量の畜産物を食べている人々でもない。
    より健康な人はその中間に位置する。
    たとえば、米国の一人当たりの健康管理への支出はイタリアよりはるかに多いが、米国人よりもイタリア人のほうが長生きしている。

    ◎世界中の貧しい人々が食物連鎖を昇りたがっていること。
    貧しい人々は購買力を得るやいなや、より多くの動物性タンパク質を消費する。

    ◎生産のはずみが失われた原因は、ウシ、ヒツジ、ヤギの群れを育てることが、多くの国においていまや放牧地の収容能力を超えつつあることにある。

    ◎過放牧による土地劣化は、家畜生産性の低下という形で大きな損失をもたらしつつある。過放牧の初期の段階では、その損失は土地生産性の低下として現れる。しかし、このプロセスが続くと、植生が破壊され、風や水による土壌浸食と広大な土地劣化が起こり、最終的には土壌の喪失を招いて荒地をつくりだす。


    ◎1978年以降に見られる】灌漑面積拡大の鈍化は、新たな水の時代を象徴している。多くの国は、灌漑面積を拡大し続けるだろう。だが、非農業需要を満たすために、既存の灌漑用水を維持することさえ困難な国々もある。灌漑面積の急成長の再来はとても望めない。

    化石帯水層の枯渇、地下水面の低下、非農業用途の需要拡大、灌漑用水系への沈泥堆積、十度の塩分集積による灌漑地の放棄といった問題はすべて、これからの灌漑面積の拡大はごく緩やかなものでしかなく、しかもその拡大は水利用の効率改善に大きく依存していることを示している。

    1978年から進行している一人当たりの灌漑面積の減少傾向は、我々に見えている将来にわたって変わることはないであろう。このことからも、一人当たり食糧生産量の増大がこれまでになく困難であることがわかる。


    ◎米国は化学肥料使用量の伸びが頭打ちになってしまった。試験栽培の進歩により、植物の要求する肥料成分量に応じた施肥が可能になり、過剰使用が避けられるようになった。

    ◎92年に発展途上国の化学肥料使用量が先進国のそれをはじめて追い越した。
    化学肥料がこれほど大量に使用されていることは、すべての国が直面している食糧増産の困難さを物語っている。

    ◎日本では、コメの政府感知価格が世界市場水準の6倍に設定されているので、価格上昇が増産効果を上げるという仮説を検証する上で、最良の実例。
    勤勉な日本の農民がいくら努力しても、最近10年間、コメの収量はまったく増加していない。

    ◎4大食糧生産国(米国・中国・旧ソ連・インド)についての需給予測の結果
    輸入穀物需要が大幅に増加し、輸出に回せる穀物は減少する。
    2030年には、これら4大国は8200トンの穀物を輸出し、2億8600万トンを輸入するとみられる。

    ◎各国政府は工作に利用可能な土地の量、長期的に灌漑に利用できそうな水の量、そして似通った栽培条件をもつ農業先進国の収量に基づく作物収量を推定することにより、自国の人口収容能力を算出することができる。


    ◎今必要なことは、世界の指導者たちが、1974年に開始されたマーシャルプランにも比肩しうる大胆な取り組みのために主導力を発揮すること。米国が敵も見方もなく戦争で後輩した経済を復興させるためのこのプランを発表したとき、それは戦争と得にその結果についての各国政府の考え方を変えさせた。

  • 10年以上前に書かれたものですが、
    現実になりそうで恐ろしいです。
    具体的に世界が食料問題や
    環境問題解決に向けて
    動いている今だからこそ
    リアリティを感じます。
    2030年をどのように私達は迎えるのでしょうか。

    保護主義には否定派なのですが、
    日本の農業政策や漁業について、
    ある程度自給自足できるよう見直す必要性を感じました。

    戦時中の白洲次郎さんのように飢餓に備えて
    畑でも作りたいなと思ってしまいました。

  • 水資源の枯渇と配分、より。

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