- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479308447
作品紹介・あらすじ
ためになるはずはない。
だめになることもない。
ヒロシがわかりかける。
――糸井重里氏 推薦
YouTubeチャンネル登録数100万人突破!
ヒロシが少年時代を振り返った
幻のエッセイ 待望の文庫化!
■プレミア価格で取引されたあの幻の名作が文庫化決定!
「お笑い芸人とは思えない文才」「まさにヒロシ版スタンドバイミー」など高評価されたヒロシ初の執筆作品です。
■熊本、炭鉱の町で生まれ育ち、80年代に少年時代を過ごす
アイドルに本気で恋をしたり、ファミコンの登場に学校中が騒いだ、あの頃。転校生としてマドンナ女子と恋する妄想をしたり、炭鉱夫の父に思いを馳せたり、エロ心を持ちながらも女子とうまく話せない「ずんだれ少年」ヒロシのおかしくも懐かしいノスタルジック短編集。
【目次】
〇閉所恐怖症
〇転校生
〇親父
〇炭鉱住宅
〇ぽっとん便所
〇戦争の傷跡
〇消えたブリーフ
〇偉大なる母 など
感想・レビュー・書評
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炭鉱の町で育ったヒロシが少年時代を振り返る!アイドルに恋したり、ファミコンの登場に盛り上がったりしたあの頃。思わず笑いがこぼれる日常を、ノスタルジックに綴ったエッセイ。
元々は2008年に刊行された作品。絶版後にプレミア化した同作を、ヒロシ自身が出版社に持ち込みして2020年に復刊&文庫化!強く思い入れのある本と語っている通り、ページをめくると昭和の香りが感じられる。著者の少年時代が文字として焼きつけられている大切な作品なんだと伝わってきた。クスッと笑えて、ホロリと泣ける。
まえがきに「平凡な人の昔話を本にして何が面白いんだ?」と自虐があるものの、平凡な少年の生活に存在する「非凡な何か」を切り取っている視点はさすがだと思う。駄菓子屋なのか何なのかわからない「いぬ店」のエピソードが好き。さび付いたシャッターの向こう側がお店になっていて、店主・いぬおばさんは少年たちに必ずインスタントコーヒーを出してくれる。だが、少年たちは何も買わないし、いぬおばさんは何も話さない。そこに足繫く通う少年たちと、無言で迎えるいぬおばさん。もはやシャッターが異界との境界で、いぬおばさんは怪異では?!と勘ぐってしまう。確かめる術はもうない。
炭鉱夫である父の話もよかった。なかなか言葉にはできない心情を、こうして本にして伝えるのは不器用ながらもあたたかい。あの出来事は当時もショックだろうし、その重大さがわかるようになるほどしんどくなるだろうなと。母もタフというか、サンドイッチのエピソードは衝撃。その発想はなかった。玉子焼きを挟んだりするかと思ってた。
アイドルブロマイドくじのようなガチャもこの頃からあったんだなと。推しを引き当てたが身内にはバレたくないヒロシがとったある行動とは?!という問題を当てられる人はいないと思う(笑) 戦時中に使われた火薬工場の跡地がエロ本の墓場になってたとか、そういうのも今ではない風景だろうなあ。
「人にはそれぞれ苦手なもの、苦手なことがあると思う。もし『苦手なものなんて何一つないよ~』っていう人がいるとするならば、俺はその人のことを苦手だと思うだろう。」
このつかみの一言も好き。ちなみに少年期ならではの下ネタもたくさん入っているので、苦手な方は要注意。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヒロシの少年時代のエッセイ。父親は九州の炭鉱夫で24時間体制の勤務下、学校から帰ると、仕事が終わって睡眠中の時もあり、そして小学3年の時「怪我して病院におるけん」と言われ行ってみると、落盤事故で左足がなくなっていた。
1972年生まれなので、1970年代、80年代の九州の炭鉱町での話になる。幼稚園から中学2年頃まで炭鉱住宅に住み、炭鉱住宅に家風呂がなく欲しいといったら母親が玄関にタライを置いた、とか遠足の弁当はおかずが茶系で、パンを食べる習慣のない家だったが、あこがれのサンドイッチ弁当を頼むと弁当箱に味噌を挟んだ食パンがあった・・ など。これ「あたしんち」の中にも同じようなエピソードがあった。カラフルな弁当をというゆずのリクエストに、蓋をあけるとミックスベジタブルが、というの。ヒロシの文では、弁当は経済状態と母親のセンスによるだろう、とあるが、次の遠足では母親はなんと友人の母親に弁当を頼み、あけてみると彩りよい弁当だったとあった。昔堅気の父とパワフル母ちゃんに包まれて順当に育ちました、という雰囲気。
高校の修学旅行は長野へのスキー。周辺の気の利いた学校ではプラス東京も入っていたというが、ヒロシの通う「特に賢い人が通うわけでもなく、だからといって特別勉強のできない人が通うわけでもなく、ずば抜けて運動ができる人が通うわけでもなく」の高校ではスキーのみ。中学の進路調査ですでに「漫才師になりたい」と答えたというが、図書館には「○○になるには」という本がずらりと並んでいたが「芸人になるには」、という本はなかった、とあり、図書館にも行っていたんだねえ。
で、東京に行くほどの勇気もなく、家賃2万円のアパートからなんとなく大学に通っていた1年の時、福岡で公開オーディションがあるのを知り友人とトリオを組むも落選。4年後一人でオーディションを受け事務所に入ったとある。
2008.4発行(ジュリアン社)
2020.12.15文庫版第1刷 図書館 -
あたしゃー誰がなんと言おうと(誰もなにも言わんが)昔っからヒロシが好きなのさ!発売すぐに買ったよ。なんか、切なくってさ、惨めったらしくてさ。。。
でも、ヒロシの母ちゃんのあったかさよ。父ちゃんの厳しさのなかの愛。。。
ヒロシ自身もこのエッセイを気にいってるんだって!
これからも陰ながら応援させてちょうだいな。